◆メーサイ。ブラックアジアの隠されたテーマは売春ではなく貧困の女性だった
私は1986年からタイのスラムや歓楽街に沈没するようになり、当初は何も知らずに女性とつき合っていたのだが、やがて彼女たちの背負っているものが見えてくるようになってきた。 そこにあったのは、貧困だった。 『ブラックアジア売春地帯をさまよい歩いた日々』は、すべて貧困の女性を書いた話であり、ブラックアジアの隠されたテーマは売春ではなく貧困であったことに気づいた読者もいると思う。 私自身は、ごく普通の中流 […]
私は1986年からタイのスラムや歓楽街に沈没するようになり、当初は何も知らずに女性とつき合っていたのだが、やがて彼女たちの背負っているものが見えてくるようになってきた。 そこにあったのは、貧困だった。 『ブラックアジア売春地帯をさまよい歩いた日々』は、すべて貧困の女性を書いた話であり、ブラックアジアの隠されたテーマは売春ではなく貧困であったことに気づいた読者もいると思う。 私自身は、ごく普通の中流 […]
ブラジルで開催されたG20で、ベトナムのファム・ミン・チン首相が「ベトナムの貧困率が下がった」と報告している。これを聞くと、ベトナムは豊かになったのかと勘違いしてしまうかもしれない。しかし、貧困率が下がっても、ベトナムが豊かになったという意味ではない。(鈴木傾城)
タイの高齢化は日本よりもさらに深刻になっていきそうだ。今は小手先の対応をしているが、いよいよ間に合わなくなったらタイ政府はどうするのだろうか。私は、タイの国民・社会・政府の気質から、思いっきり「ある方向」に突っ走るような気がしてならないのだ……(鈴木傾城)
大統領を2期務めたジョコ・ウィドドが10年の任期を終えて退任する。ひとつの時代が終わったともいえる。ジョコ・ウィドド大統領の時代に入ってから、インドネシアは変わったと思う。インフラ基盤を整備し、インドネシアを成長させた。素晴らしい実績だった。(鈴木傾城)
前ドゥテルテ政権下では、約6,000人以上が薬物関連の取り締まりで命を落とし、数十万人のドラッグ使用者が逮捕された。ところが、現在も覚醒剤はフィリピンの各地で依然として流通している。残念ながら、現政権も現状を根底から変えることはできそうにない。(鈴木傾城)
閲覧注意いつも懐かしくなってカンボジアの記事を追ったりしているのだが、カンボジアでもけっこう残酷な事件や、滑稽な事件や、貧困を感じさせるような事件などがいつも起こっている。 ときには、日本と違って現場の生々しい写真が裏側で流れてきたりするので、食い入るように見てしまう。 日本では現場写真などが外部に流出したというのは聞いたことがないのだが、途上国ではずさんな管理をしているのか、そういうのがしょっち […]
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のベビーパウダーは日本ではまだ普通に売っているのであまり気づかないのだが、欧米では数年前から販売中止になってしまって手に入らなくなっている。 このベビーパウダーには発がん性物質であるアスベストが含まれるとして1万6000人以上が訴訟を起こし、ベビーパウダーを販売しているJ&Jは1.2兆円規模の莫大な和解金の支払いに直面した。 このベビーパウダ […]
「身を持ち崩す」という言葉がある。私は東南アジアの歓楽街(Red Light District)にずっと転落していたので、私のまわりには売春屋アルコールやドラッグで身を持ち崩した女性たちばかりだった。 しかし、彼女たちはまだ持ち前のバイタリティーがあって、何か突き抜けた明るさもあって、貧困で転落したように見えない女性も多かった。 「自分の境遇を深く考えてしまう性格の女性は、転落と堕落の世界では生き […]
今後、日本も多文化共生によって外国人が大量になだれ込み、しかも貧困化した若者が増えるので、間違いなくドラッグ禍が膨らんでいくことになる。 すでに、若者を中心にしてマリファナの所持や使用で逮捕される人数が毎年のように伸びており、2020年には摘発が初の4000人超えとなり、そのうち20代以下が6割を占めるという統計が出てきている。 日本政府が進める多文化共生(留学生・技能実習生・単純労働者・インバウ […]
タイの歓楽街は素晴らしい。そんなところを野良犬のようにうろつき回り、ゴーゴーバーでひとりの女性と会って意気投合したとする。 「明日も会おう」「OK。夜の8時に店に来て」「分かった」 そういう約束をしたとする。軽い約束ではなく、本当に会いたいと思って言っており、相手も乗り気になっている。それで、翌日になって8時に店に行くと、女性は休んでいたり、居なかったりする。 約束は守られなかった。その時、どのよ […]
私は二十歳になってから早々に日本社会からドロップアウトしたし、親からも関係が切れてしまったし、仕事もしていなかった。ただ非常に運が良いことに、私が二十歳の頃から日本はバブル経済に入った頃だった。 株式市場が爆上げしていったので、株式市場に出入りしていた私は1990年までその恩恵を受けて、東南アジアでぶらぶらするくらいの金は働かなくても作ることができた。 このバブル経済がなければ、間違いなく私は浮浪 […]
日本で行方不明者の統計を見ていると、面白いことが分かる。2020年の統計で言うと、行方不明者で最も多いのは10代・20代である。彼らはなぜ「行方不明者」になるのか。国外で言うと犯罪に巻き込まれた確率が高いと誰もが考えるのだが、日本の場合はやや事情が違う。 日本では10代・20代の行方不明の原因は「家出」が最も大きな理由であり、家出の原因は家庭環境にある。 子供に対して激しいアプローチで接する親が一 […]
私自身は「2022年も国外には行けそうにない」というのは、オミクロンが広がりつつあった2021年の12月には、すでに結論を出していた。この頃はオミクロン株が爆発的に広がっていた。 オミクロンがどういう性質の変異種なのかは重要なのではなくて、この変異種が国境の規制を再び厳しいものにし、歓楽地の全面的なオープンをも遅らせるという社会情勢が重要だった。 状況が変われば、国外に行く予定も考えようと思ったの […]
当たり前の話だが、一個人がどのような権力を持ったとしても、それで社会を自分の思い通りに変えられるわけではない。 プーチン大統領がウクライナを占領したいと思ってもうまくいかないのは見ての通りだし、逆に言えばバイデン大統領がロシアを何とかしたいと思っても戦争を止めることすらもできない。 社会は独裁的な地位を持った権力者ですらも「何ともならない」ものなのである。 まして、独裁者でも何でもない個人が社会を […]
あまりにも下劣な日本人YouTuberがタイで騒動を起こしている。このYouTuberは若者ではなく、初老の男なのだが出会ったタイ女性に卑猥な言葉をかけてそれをYouTubeで流して喜んでいたのだった。 この御時世にいったい何を考えているのか知らないが、非常に不謹慎で馬鹿げた日本人ではある。すでに、この男の下劣さは全タイ人が知るところになったので、日本人の評判はガタ落ちになるのだろう。 いったい、 […]
先日、久しぶりに私は自分の小説である『カリマンタン島のデズリー』を必要があって読み返していたのだが、その時にふと気づいたことがある。 この小説も例によって登場人物はすべて実在の女性をモデルにしているのだが、この中には執拗に私を誘う40代の女性が出てきて、主人公が頑なに彼女の誘いを断る場面が出てくる。サンティという女性だ。 サンティはすでに40代にある女性だったのだが、主人公は彼女が歳を取り過ぎてい […]
日本の社会保障が崩壊したら、一気にホームレスの群れが増大する。「ホームレスって?言っちゃ悪いけど、本当に言っちゃ悪いこといいますけど、いない方がよくない?」という男は、ホームレスまみれになった日本で生きていけないに違いない。(鈴木傾城)
新型コロナウイルスのデルタ型の登場で、東南アジアもインド圏も最悪の状況になっている。これらの国々の真夜中に生きる女性たちはどうしているのだろうかと時々思ったりする。 彼女たちとは2年近くまったく関わり合っていないので、ここのところずっと白黒のままで生きているような寂しい気持ちが解消できない。ストレスでいっぱいだ。 この感情は何かに似ている。そうだ、「ホームシックに近いものかもしれない」と思い至った […]
私の売春地帯の記憶は常に貧困とセットになっていた。だから、私は清潔できらびやかな世界のセレブ的な女性にはまったく関心がなく、今でも貧困の光景や貧困の世界に生きる女性の方に強い関心を持っている。 昭和時代に生きていた人がまだ貧しかった頃の昭和を懐かしむように、大都会に出て10年も20年も脇目も振らずに働いていた人が急に故郷の山や川や海が懐かしくなってしまうように、私はかつての貧しかった東南アジアの売 […]
中国発コロナウイルスは、当面落ち着くことはない。半年は続くかもしれない。ということは私たちはひとつの事実を考えておくべきだ。それは、もう観光業は壊滅的ダメージを受けて売上が立たなくなってしまうということである。 全世界で言えることは、航空業界は危機に瀕して安く飛べる飛行機はなくなってしまうということだ。ホテル業界も危機に瀕して多くのホテルが潰れてしまうということだ。さらに民泊も壊滅してしまうだろう […]
自粛だの隔離だの外出制限などというのは、金持ちだけに許された「贅沢」であって、貧困層にとっては最初から無理なものだったのだ。それでも政府が強権を行使して国民に自粛を強制すれば、餓死者や自殺者が続出することになる。これは推測ではない。収入が断たれた上に自粛から逃れられないのであれば、人々には逃げ場などないのだ。(鈴木傾城)
先日、久しぶりにバンコクに行って、ヤワラー地区をも野良犬のようにうろつき回っていた。 この地区を歩くのは約8年ぶりだったにも関わらず、そこに到着したらまるで8年のブランクはまるでなかったかのように、すべての道を思い出した。名前もないような路地裏さえも覚えていた。 ヤワラー地区は「今度、再開発する」と言われながら、今もなおそれほど変わっていない地区である。いったい、いつになったら再開発に入るのだろう […]
「責任感が強い」というのは褒め言葉でもあり、社会的に求められる資質でもある。何か仕事を頼むときは、ぜひとも「責任感が強い」人に頼みたい。 日本人は全般的に見ると、責任感が強い人が多いので、何かを頼んで不安になることはない。すべてのサービスで「この日」と約束したら、ほぼ100%に近い確率でその約束は履行される。 列車の運行にしても、配達にしても、依頼した製品の納期にしても、期日ぴったりに遂行されて、 […]
2018年9月11日。カンボジアでひとりの日本人が亡くなっている。現地に在住し日本語教師として働いていた日本人で52歳だった。 発見したのはふたりの日本人女性で、携帯電話で呼んでも応答がないことで異変を知り、自宅のベッドで死んでいるのを発見した。 事件性はなかった。病院での検死の結果、心臓発作であることが分かった。 日本に憧れるカンボジアの子供たちに日本語や日本の文化をきちんと教えるのが日本語教師 […]
東南アジアの貧困地帯は最初は怖かった。最初にスラムに立ち入ったのはクロントイ・スラムだった。私はクロントイが巨大スラム地帯であると知っていたわけではない。 私は当初、ヤワラーの旅社(ゲストハウス)に泊まっていたのだが、次第にパッポンが私の主戦場になってくるに従って、拠点をマレーシアホテル界隈の格安ゲストハウスに置くようになっていた。 パッポンは真夜中の街だ。昼間に起き出して食事をしたいのと冒険をし […]
2013年4月13日、タイ北部ピサヌロークの山間部で観光バスが崖から転落して5人が死亡するという事故が起きている。チェンマイに向かう途中だったという。 この事故の少し前、4月8日には、エジプトでバスが横転して日本人女性が重傷を負っている。 こちらは、最初は軽傷だと報道されていたが、実は骨盤を骨折するほどの重傷で全治4〜6週間だという。 旅人が長距離バスや観光バスに乗っていて事故に巻き込まれるケース […]