一般

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◆シティ。はじめて堕ちる彼女の心の中には何があるのだろう

はじめての性体験は、誰でも強烈な印象として脳裏に刻まれているはずだ。それは人によって素晴らしかったり、あるいは惨めなものだったりする。 真夜中の退廃した世界で生きる女性は、初体験とは別に、もうひとつの体験をしなければならない。それは、売春ビジネスでの初体験だ。 愛ではなく、金で自分の身体を売る。結婚のあとの性体験は祝福されるが、売春での性体験は社会から批判される。 売春ビジネスに堕ちた女性は、それ […]

◆チカがずっといてくれるのなら、この島で暮らせると思った

インドネシア・リアウ諸島のある島で、港町からずっと外れた山奥の村に沈没したとき、見えて来たのは激しい荒淫の嵐が通り過ぎて、今は静かに生きるだけの年を経た女性だった。 彼女たちは、外国人に対しても温かく包み込んでくれるように接してくれる。 彼女の暮らすリズムがただれた時間をつぶす自分のリズムとよく合っているので、一緒にいると本当に落ち着く。 彼女は軽く沐浴(マンディ)をして髪が濡れたまま売春村の入口 […]

アンヘレスの幽霊が出るホテル。部屋の片隅で震える裸の女

フィリピンのアンヘレスで、モリーンと呼ばれていた女と知り合った。 ダンサーにふさわしく、長身で足の長い女性だった。店の用意した白のカウボーイ・ブーツをはいてステージに立つと、数いるダンサーの中でも彼女は一際目立った。踊り終わった彼女がステージから降りてきたとき、他の女性と話をしていた。 しかし、モリーンは強引に割り込んできて隣に座り、強引なアイ・コンタクトをしてくるのだった。 水着姿の彼女の身体は […]

アンヘレス。米軍基地が発祥の退廃したフィリピン売春地帯

タイとフィリピンは、夜をさまよい歩く男にとって、兄弟国だと言ってもいいくらいよく似ている。 バンコクにはパッポンがあるように、マニラにはパサイがある。バンコクにナナ・プラザがあるように、フィリピンにはエドサ・コンプレックスがある。そして、バンコクにテルメがあるように、マニラにはLAカフェがある。 また、タイには米軍が作り上げた歓楽街パタヤがあるが、フィリピンに目を向けると、そっくり同じ雰囲気の街が […]

大陸から来たピァオ。華人の目を釘付けにする熱い身体

ときどき、正体がつかめない女性が売春地帯にいる。シンガポールの売春地帯ゲイランにいた中国大陸から来たひとりの女性は、まさに正体のつかめない得体の知れないものを持っていた。 1キロ先でも男が全員振り返るような派手なファッション。大きな胸。不思議なセックス・テクニック。 言葉すら通じないのに、ポン引きを介さないで売春ビジネスに一匹狼で飛び込める度胸。その上、詐欺のテクニックも知っているが、詐欺師ではな […]

◆鉄格子の奥の売春宿。突如として、女性を殴るオーナー

インド・ムンバイの売春地帯では売春宿のことをときどき、ケージ(鳥かご)と呼ぶ人もいる。女性たちがそこに閉じ込められていて、鉄格子で締め切られ、入口には用心棒が立って逃げられないようになっている。 なぜ逃げられないようにしているのか。それは、女性たちを人身売買で連れてきているからである。言うことを聞かない女性を、閉じ込め、密室の中で虐待するのである。 牙を抜かれ、女たちが運命に押しつぶされて逃げるこ […]

LAカフェ。男は、売春地帯にいる女性の80%が見えない

マニラ・エルミタ地区。ここは、かつて隆盛を誇った歓楽街、マビニ通りとデル・ピラール通りを擁していたところだ。 しかし、一九九二年にマニラ市長に当選したアルフレッド・リムが、歓楽街の浄化政策を開始、有無を言わせぬ強引さで風俗店を閉鎖させた。リム市長は脅迫や抗議をまったく意に介さず、意固地なまでの厳格さでマビニ通りを「大掃除」していった。 そして、風俗店とドラッグの売人《ディーラー》を荒っぽく叩き出し […]

フィリピンへの道。2005年3月15日、絆が断ち切られていた

「フィリピンの女というのは、ひまわりだね」と私に言った男がいる。 日本人女性と違って、ひまわりのように|燦々《さんさん》と明るいという意味だ。いつも太陽を向いて明るく大きな花をつけているような、そんなイメージがするフィリピン女性を愛する日本人は多い。 底抜けの明るさ、自由奔放な振る舞い、信心深く家族思いな性格……。 フィリピンは、一九九〇年代にフィリピンパブが勃興する前から日本人の男たちとの関係も […]

◆現地妻。シンガポーリアンの現地妻だったヨシという名の女性

「現地妻」という女性の生き方がある。男は本土で妻や子供を持っている。それを分かった上で、男が現地に来たときだけ「妻」になる。 同じ国で、同じ国籍同士であれば、それは「愛人」なのだが、国が違えば「現地妻」になる。海外出張している日本人の男も、結構な数の男が「現地妻」を持っている。 タイでもインドネシアでも中国でもマレーシアでも、どこでもそうだ。一流企業の男も、中小企業の男も関係ない。みんな妻には素知 […]

◆ソナガシのジョーティ。奇癖、信仰、奔放、超絶的な美しさ

ヨーロッパの敬虔なキリスト教徒が何かプレッシャーがかかったとき、十字を切るしぐさをよく行う。 東南アジアの人々が祈るときは、無意識に合掌(ワイ)をして目を閉じる。イスラム教徒は天を仰いで神を呼び込むしぐさをする。信じられているものが、ジェスチャーとなって現れる。 インド圏は神々が大地を覆っている。人々は全員それを信じているので、共有された「神」という概念が人々から人々へと移り渡り、本当に神がいるか […]

売春村。リサの冷たい目つきと、サンティの静かな目つき

インドネシア・リアウ諸島のカリムン島の売春村『パヤ・ラブ』はひどく遠いところだった。 走っている途中で左のヘッドライトが消えてしまうような恐ろしく年季の入ったタクシーが延々と夜の山道を上る。 途中で陥没だらけの道となり、サスペンションの劣化したタクシーは弾けるように揺れた。バイクで向かっている男もいたが、やはり陥没のひどい砂利道には難儀しているようで、スピードを落として足をつきながら走っている。バ […]

◆「日本の女を売ってくれ」人身売買することを薦められた日

あなたは手っ取り早く金が欲しいだろうか? 真夜中のアジアに沈没していると、様々な人間が、様々な「手っ取り早く金になるビジネス」を持ちかけてくる。 バンコクでは「パスポートを売ってくれ」と言われた。日本人のパスポートは高く売れる。それを、買い取ってもそれを転売すれば金になる。利益は折半だと言われた。 「結婚して日本に連れて行ってくれ」と提案されたこともあった。「日本に入ることができたら金を払う」とい […]

ケイティ・パイパー。アシッド・アタックから立ち直った女性

閲覧注意 アシッド・アタックとは、人間の身体をドロドロに溶かす強酸を相手にぶちまけて苦しませるという卑劣で恐ろしい犯罪だ。主に女性が被害者になることが多い。 このアシッド・アタックの事件はブラックアジアでもシリーズとして、数多く取り上げている。(アシッド・アタックされた女性たち) インド圏、特にイスラム圏のパキスタンやバングラデシュではとても残酷なアシッド・アタックの事件が続いており、どんなに刑を […]

◆一心不乱に剥き出しの陰部を触っていた女性の無意識とは?

自分がどのような身体の動かし方をしているのか、最初から最後まで自覚している人はいない。人は無意識で自分の身体を動かす。ちょっとしたしくさ、ちょっとした視線の動き、身体の動き、手の動き。無意識であっても、すべて意味があるのだという。 上目遣いの目付き、またたきの回数、組んだ腕、貧乏揺すり。それらは精神的な緊張の状態を意味するボディー・ランゲージの可能性がある。腰の悪い人は無意識に腰に手をやり、胃の悪 […]

旧友に似た女性に誘われ、なぜ強いうずきを感じたのか?

堕落と退廃の極み、フィリピン・アンヘレスのフィールズ通りをぶらぶらと歩いているときだった。横から一人のドア・ガールが声をかけてきた。 「どこに行くの? 中に入りなさいよ」 人なつっこい目だった。優しい感じの瞳と、清潔な着こなしは好感が持てたが、その顔立ちに驚いた。まだ若かった頃、よく話していた日本の女友達とそっくりだった。|醸《かも》し出す雰囲気も、まぶしそうにこちらを見つめる目つきも、体つきも、 […]

◆カマティプラ。診断女性の10人に6人がエイズ

ムンバイはインド最大の商業都市として知られている。この地にはいくつかの荒廃した売春地帯があって、カマティプラはその中の最大の場所だ。ひとことで言うと、とても荒んでいる。それは、ここがスラムに囲まれた売春地帯だからというだけではない。 地域の荒廃、建物の荒廃よりも何よりも、もっと荒廃しているのは「女性たち」そのものだった。比喩ではない。 カマティプラの女性の肉体は、見てて傍目でも分かるくらいボロボロ […]

◆インドネシアの夜。一番「怪しげな者」は誰だったのか?

欲望の渦巻くアジアの夜の街は、マラム(夜)になってもさまざまな人間があたりを徘徊している。 近くの村からは自家栽培した芋や野菜を天ぷらにしたものを売りに来る老人もいるし、いつまでも寝ないで駆け回って遊んでいる子供も多い。 客を待っているのか、暇を持て余しているのか、根の生えたように売春地帯で暇をつぶすオジェッの運転手もいれば、ある女性に惚れているらしく、彼女の側を離れようとしないオジェッの若い男も […]

絶叫するカーラ。インドの売春地帯にやって来る男は獲物

いつもの如く、夜も9時を過ぎた頃にソナガシの奥の奥を歩いていると、大勢固まって立っている女性のひとりが飛び出してきた。そして、腕をがっしりとつかんで離さない。 アーリア系民族独特の高く隆起した鼻、そして落ち窪んだ眼窩に、幾重にも折り重なったまぶた。典型的なインド女性の姿だった。目尻に皺が見える。 「ジキジキ!」 彼女は大声でそう叫ぶ。そして、建物の中に引きずり込もうとする。普通、男に選んでもらおう […]

◆女の身体に依存するしか生きられない「男」という生き物

リヤンティという名のインドネシアの女性と出会ったその日、男という生き物とは「いったい何なのか」が分かったような気がした。 リヤンティと出会ったとき、彼女は赤ん坊と遊んでいた。そのときの彼女の赤ん坊を見つめる「目」と、彼女が夜のビジネスを終えて男を見る「目」は同じだった。だから、はっと気がつくものがあった。 そうだった。赤ん坊も、男も、女の身体に依存している。男は赤ん坊のときに女性の乳房を与えられ、 […]

◆インドリィの転落人生。それは誰でも起こり得る現実の話

インドリィという娘の転落はどこにでもある話だった。彼女は不器用な女性で、人見知りはするし、それほど聡明でもない。そんな女性が何もない田舎から都会に出てきて、働くところが見つからないまま転落して夜の世界に堕ちていった。 それは絵に描いたような転落話で、「ありふれた話だ」と多くの男が見向きもしない。しかし、それは彼女自身にとっては、ありふれた話ではない。 自分の人生に起きている失意の出来事に驚き、そし […]

◆しゃぼんだま。コルカタのリシーダの身体を見て思ったこと

コルカタにはボスティ(スラム)が多く存在する。そして大小は別にして、ボスティのまわりには売春地帯が存在する。スラムから抜け出せない男が、スラムから抜け出せない女を売るからだ。 コルカタのある川沿いに拡がるボスティにも売春宿が立ち並んでいるのはよく知られている。ここはソナガシと違い、外国人の姿はほとんどない。ここは現地の男たちがさまよう売春地帯である。 評判は芳しくない。 何しろ治安が悪く、昼間でも […]

◆ドッグ・イヤー。インドネシアの山奥に棄てられた女たち

女性はいずれ若さを失い、華々しさを失い、男たちにちやほやされなくなり、やがては恋愛の第一線から退いてしまう。それで女性の人生は終わってしまうのだろうか。 実は、案外そうでもなさそうだ。インドネシアの山奥に棄てられた女たちを見てきてそう思う。 そこは売春が渦巻く堕落した村のはずなのに、老いた女性たちがとても慈愛を受けた生活をして、静かに、優しく人生を送っている。熱い身体で男たちを悩殺してきた女性が、 […]

◆富める者はますます富み、貧しい者はますます奪われて行く

インド売春地帯ほど、資本主義が剥《む》き出しの場所はない。多くの日本人が耐えられないほどの格差と残酷さがそこにある。そこは「地獄」と言っていいかもしれない。 それがインド売春地帯である。 資本主義は豊かな者と貧しい者を|乖離《かいり》させる。富める者はますます富み、貧しい者はますます奪われていく。 インドでは中部の農村とニューデリーやムンバイの中流階級では収入が百倍にも二百倍にも違ってくる。昨今の […]

◆ひとりぼっちのアニス。彼女は、今も暗い部屋の中にいる

今までさまざまな女性を思い起こして、その女性の不幸を思い返して哀しい気持ちになったり、どうしているのかと想い返したり、気にかけたりすることがある。 中には、とても不幸を感じさせるガラス細工のように壊れそうな娘の思い出もあり、それをふと思い出しては、切なく哀しい気分になることもある。 アニス。彼女もまた、そんな女性のひとりである。 今、目の前に一枚の写真がある。水色のワンピースと肩の部分がシースルー […]

リーパ。ゲイランの街に立つ女の凶悪な目付きに惹かれた

シンガポール・チャンギ空港に着いたのは夜中だったが、そのままタクシーに乗り込んで、まっすぐにゲイラン・ストリートへ直行した。 ゲイランはシンガポールの売春地帯だったが、同時にホテル街でもある。運転手も売春地帯に向かう日本人をさほど奇異に感じないようで、黙ってゲイランまで連れて行ってくれた。 ゲイランで適当なホテルに宿を取って時計を見ると、午前二時に近い。ニヤリとした。 ゲイランに立つ女たちが増える […]

◆ポピーの行動のひとつひとつの謎は、すべて最後に分かった

知られたくない秘密を何とか必死で隠そうとする女性がいる。その秘密は分かりやすいものもあれば、最後まで窺い知れないものもある。ポピーもまた秘密を隠した女性だった。 ポピーはなぜ、そんな態度だったのか。あの妖気はどこから来ていたのか。 なぜ、抱えるほど大きなハンドバッグを持ってきたのか。その中には何が入っていたのか。なぜ、それが必要だったのか。なぜ、ビンタン島よりジャカルタのほうがクリーンだと言ったの […]

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