この記事は『鈴木傾城のダークネス・メルマガ編』のコンテンツなのですが、一部日本のアンダーグラウンドにも触れているので、今回のみ【特別寄稿】ということで、ブラックアジアの会員読者にも提供します。(鈴木傾城)
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円安が進行している。円安をとめるのは簡単だ。ただ単に、日銀が金利を上げれば万事解決だ。しかし、日銀の仕事は為替相場を操作することではなくて、国内の好景気・不景気を金利で調整することである。
日本が好景気に沸いていれば、金利を高くして市中に出回るマネーを引き締めれば景気の過熱が鎮静化していく。逆に日本が不景気で苦しんでいれば、金利を低くして市中に出回るマネーをじゃぶじゃぶにすれば景気が戻っていく。
しかし、日本は長らく不景気なので、日銀が「異次元の金融緩和」をしたのが2013年からなのだが、日本政府のほうは馬鹿だったので不景気なのに消費税を上げて景気は中折れして実体経済は低空飛行したままだった。
そのため、市中ではマネーがじゃぶじゃぶなのに景気が一向に良くならないという悪夢が生まれたのだった。株価だけは上がったのに、経済的な理由から少子化も高齢化も加速して貧困層が増えたのはそういうわけでもある。
最近は物価が上昇しているが、これはコロナ禍によるグローバル供給網の寸断だとか、ロシア・ウクライナ戦争だとか、異常気象による農作物の不作などが原因となっているものであって、日本の景気が良いから物価が上がったわけではない。
つまり、日本は不景気の中で物価が上がっている。賃金は上がっているのだが、物価はもっと上がっているので実質賃金は23か月も連続してマイナスのままである。それなのに、ステルス増税はされているし、控除は減らされるし、社会保険料も上げられているので、無能政治のツケはどんどん国民を困窮させている。
円安では輸出企業やドル資産を持った富裕層は大よろこびだが、だからといって、それを「良い円安」であると主張するのはどうだろうか。実のところ、為替レートには「良い」も「悪い」もない。
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