◆鉄格子の奥の売春宿。突如として、女性を殴るオーナー

◆鉄格子の奥の売春宿。突如として、女性を殴るオーナー

インド・ムンバイの売春地帯では売春宿のことをときどき、ケージ(鳥かご)と呼ぶ人もいる。女性たちがそこに閉じ込められていて、鉄格子で締め切られ、入口には用心棒が立って逃げられないようになっている。

なぜ逃げられないようにしているのか。それは、女性たちを人身売買で連れてきているからである。言うことを聞かない女性を、閉じ込め、密室の中で虐待するのである。

牙を抜かれ、女たちが運命に押しつぶされて逃げることを忘れたら、彼女たちはスラム売春地帯のようなところに転売されて、一生涯、売春地獄から逃れられないようにする。

インドの売春地帯はそのような地獄がある。だから、ケージ(鳥かご)なのである。鉄格子の奥は、暴力がそのままそこにある。とても、息苦しく、いたたまれない。そんな鉄格子の奥に、入ったことがある。

ムンバイ。昼間は人通りの多いヴィサルブハイパテル通りは、夜になると、どことなく危険でねっとりとした雰囲気になる。

影の多い建物にへばりつくように、人々が座っていたり寝ていたりする。しかし、よく目を凝らして見ると、彼らのほとんどがこちらを凝視しているのが分かる。

明らかに警戒の色を見せている。夜のこんな時間にこんな地域を歩く外国人も珍しい。彼らが警戒を見せるのは無理もなかった。薄闇の中でこちらを窺う目はまるで……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インド・バングラデシュ編』にて、全文をお読み下さい)

『ブラックアジア・インド・バングラデシュ編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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