インドリィという娘の転落はどこにでもある話だった。彼女は不器用な女性で、人見知りはするし、それほど聡明でもない。そんな女性が何もない田舎から都会に出てきて、働くところが見つからないまま転落して夜の世界に堕ちていった。
それは絵に描いたような転落話で、「ありふれた話だ」と多くの男が見向きもしない。しかし、それは彼女自身にとっては、ありふれた話ではない。
自分の人生に起きている失意の出来事に驚き、そして自分がそうなったことに対して、彼女自身が心から驚いているはずだった。そんな、運命に流されるがままの生き方は、とても印象に残るものだった。
ありふれているというのはどういうことか。それは、誰にでも起こり得るということなのである。転落は、彼女だけの話ではない。明日は「自分の物語」になるかもしれないのである。
インドネシアのリアウ諸島でもっとも成功しており、かつ雇用が多いのはバタム島だ。近代的な建物や整備された道が続き、活気があり、観光客も多い。だから、周辺の島の男たちも女たちも、機会があればバタム島へと向かう。
バタム島に続くのがビンタン島であるが、傍目から見てもバタム島の豊かさは後を追うビンタンをはるかに引き離しているのが分かる。
「バタムはもうインドネシアではない」という人もいる。確かにそうだ。この島はもはやジャカルタにある中央政府よりも、シンガポール政府の方を向いて生きているのだ。
表社会のビジネスマンも、裏社会のマフィアも、すでに華人と密接に絡み合い、深い関係を築き合っている。観光客もまたリアウ諸島と言えばバタム島に向かう人が圧倒的に多い。
したがってシンガポールからやって来る金持ちの観光客目当てに、売春斡旋業者が女たちを合法・非合法を問わず、あちこちからバタムに送り込んでいる。
女たちは、周辺の島から連れて来られた者もいれば、ジャカルタやバンドゥンからやってきた者もいるが……
(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきたカンボジア売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インドネシア編』にて、全文をお読み下さい)
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