
◆売春村のアニー。熱帯の匂いを濃密に漂わせた、売春村の夜
インドネシア・ジャカルタから遠く離れた離島に降り立った。そして、真夜中になると島の中心部にモトバイクを飛ばしてもらった。一本のどこまでも続く舗装道路をバイクは順調に走る。他に走っているバイクなど一台もない。「真夜中は危険だ」とバイクの運転手...

◆セックス・マシーン。バンドン生まれのセックス・マシーン
彼女の名前はヘリナと言った。インドネシア・ジャワ人である。まるで優雅な黒豹のようだった。軽く波打ったショートカット・ヘアはその野性的な表情によく似合っていた。無駄な贅肉など一切ついていないスリムな身体にぴっちりと張りついた黒の衣服は彼女の美...

◆売春島。インドネシア領バタムにハイエナが来ない理由とは
シンガポールから船で30分から40分ほどの距離に、その「売春島」がある。中国語で書くと「巴淡島」。日本語で巴は「は」、淡は「たん」と読むので無理すれば「はたん(HATAN」』とも読めないことはない。 実際にはバタム(BATAM)なので、なか...

◆サラの裸の身体に付いていた、異様で驚くべきものとは?
シンガポールに近いインドネシア領バタム島……。夜が更けてハイエナの時間がやって来ると、蒸し暑い夜の街に出向いて一軒の店に入った。"Queen Bee's"(クイーン・ビーズ)である。昼間、何気なく街を歩いているときに偶然見つけた店だった。日...

◆バタムの売春村。マフィアの徘徊する売春村と捕らわれの娘
夕方も過ぎて徐々に暗くなって来ると、インドネシアの巴淡(バタム)島ナゴヤの喧噪は、少しずつ薄らいでいく。走っている車は相変わらず減ることはないが、人の姿は心なしか少なくなって来るのが分かる。開いていた雑貨屋やマーケットが閉じられ、一日の仕事...

◆乳房を切り刻まれた女。傷ついたアイリーンの身体に泣く
インドネシア・バタム島。ここには夜の世界に棲息する男たちの誰もが「良い」と口を揃えて認める有名なカラオケ屋がある。『ハリウッド』だ。名刺には『スポーツ・マッサージ&ミュージック・ラウンジ』とある。「スポーツ・マッサージ」が何か別のものを意味...

◆なぜ、彼女は故郷から遠い場所にやって来たのか?
彼女の名前はシタと言った。清楚で端正な顔立ちをした娘で、歳はあえて訊かなかったが25歳前後に見えた。インドネシア領バタム島で出会ったのだが、彼女の出身はバンドゥンだった。バタム島の夜のビジネスに関わっている娘たちは、大抵が近くのスマトラ島や...

◆リリス。お人形のような彼女の血の中に流れているもの
インドネシア領バタム島も緑は多かったが、ビンタン島の緑はバタムよりもはるかに濃いように見えたのは気のせいかもしれない。激しい雨音で目が覚めて、カーテンを開けると窓から見える外の緑が雨に打たれて揺れていた。リアウ諸島はよく雨が降る。さすがに熱...

◆ティアスの涙。女たちはいかにして骨の髄まで搾取されるか
インドネシア領バタム島ナゴヤの真夜中の向こう側、妖しく灯(とも)るダークサイドをくぐり、退廃の世界に入る。入り口に立つインドネシアの男たちの鋭い目は闇の中では肉食動物のようだ。そこはインドネシア全土から集められた若い女性たちの「肉体市場」、...

◆リア・ピーの当惑。彼女がどうしても隠したかったことは?
ちょっとした表情、しぐさが気になる。意味深な視線が気になる。どうしてもそれを知りたい。そして、「謎」を知るために、その女性を追いかける。意外にそういう経験がある男は多い。秘密は男を惹きつけるのだろうか? どうやら、そのようだ。インドネシア・...

◆ポピーの行動のひとつひとつの謎は、すべて最後に分かった
知られたくない秘密を何とか必死で隠そうとする女性がいる。その秘密は分かりやすいものもあれば、最後まで窺い知れないものもある。ポピーもまた秘密を隠した女性だった。ポピーはなぜ、そんな態度だったのか。あの妖気はどこから来ていたのか。なぜ、抱える...

◆ひとりぼっちのアニス。彼女は、今も暗い部屋の中にいる
今までさまざまな女性を思い起こして、その女性の不幸を思い返して哀しい気持ちになったり、どうしているのかと想い返したり、気にかけたりすることがある。中には、とても不幸を感じさせるガラス細工のように壊れそうな娘の思い出もあり、それをふと思い出し...

◆ドッグ・イヤー。インドネシアの山奥に棄てられた女たち
女性はいずれ若さを失い、華々しさを失い、男たちにちやほやされなくなり、やがては恋愛の第一線から退いてしまう。それで女性の人生は終わってしまうのだろうか。実は、案外そうでもなさそうだ。インドネシアの山奥に棄てられた女たちを見てきてそう思う。そ...

◆インドリィの転落人生。それは誰でも起こり得る現実の話
インドリィという娘の転落はどこにでもある話だった。彼女は不器用な女性で、人見知りはするし、それほど聡明でもない。そんな女性が何もない田舎から都会に出てきて、働くところが見つからないまま転落して夜の世界に堕ちていった。それは絵に描いたような転...

◆女の身体に依存するしか生きられない「男」という生き物
リヤンティという名のインドネシアの女性と出会ったその日、男という生き物とは「いったい何なのか」が分かったような気がした。リヤンティと出会ったとき、彼女は赤ん坊と遊んでいた。そのときの彼女の赤ん坊を見つめる「目」と、彼女が夜のビジネスを終えて...

◆不気味なインドネシア・モロ島と、打ち捨てられた村の女性
目的もなく、はっきりとした予定もなく、ただひとりで好きなように地を這うのが私の旅だ。そこに行けば何があるのか分からないので、そこに行く。何もないかも知れない。しかし、何もないということが印象に焼き付いて、忘れられなくなる。インドネシアのリア...

◆インドネシアの夜。一番「怪しげな者」は誰だったのか?
欲望の渦巻くアジアの夜の街は、マラム(夜)になってもさまざまな人間があたりを徘徊している。近くの村からは自家栽培した芋や野菜を天ぷらにしたものを売りに来る老人もいるし、いつまでも寝ないで駆け回って遊んでいる子供も多い。客を待っているのか、暇...

◆一心不乱に剥き出しの陰部を触っていた女性の無意識とは?
自分がどのような身体の動かし方をしているのか、最初から最後まで自覚している人はいない。人は無意識で自分の身体を動かす。ちょっとしたしくさ、ちょっとした視線の動き、身体の動き、手の動き。無意識であっても、すべて意味があるのだという。上目遣いの...

◆現地妻。シンガポーリアンの現地妻だったヨシという名の女性
「現地妻」という女性の生き方がある。男は本土で妻や子供を持っている。それを分かった上で、男が現地に来たときだけ「妻」になる。同じ国で、同じ国籍同士であれば、それは「愛人」なのだが、国が違えば「現地妻」になる。海外出張している日本人の男も、結...

◆チカがずっといてくれるのなら、この島で暮らせると思った
インドネシア・リアウ諸島のある島で、港町からずっと外れた山奥の村に沈没したとき、見えて来たのは激しい荒淫の嵐が通り過ぎて、今は静かに生きるだけの年を経た女性だった。彼女たちは、外国人に対しても温かく包み込んでくれるように接してくれる。彼女の...

◆シティ。はじめて堕ちる彼女の心の中には何があるのだろう
はじめての性体験は、誰でも強烈な印象として脳裏に刻まれているはずだ。それは人によって素晴らしかったり、あるいは惨めなものだったりする。真夜中の退廃した世界で生きる女性は、初体験とは別に、もうひとつの体験をしなければならない。それは、売春ビジ...

◆「よくなかったら、おカネはいらないわ」と言ったリンダ
売春する女性が男を誘う言葉は「彼女は淫乱だ」と世間を錯覚させるに充分なほど直接的かつ刺激的だ。「ボンボン・グッド。ニャムニャム・グッド」「チキチキ・グッド。サービス・グッド」タイ・カンボジア・ベトナムではセックスのことを「ボンボン」と言うと...

◆ミミンの匂い。「結婚して、私とあなたの子供を作りましょう」と彼女は言った
人は誰でも自分の人生で、どうしても忘れられない人と出会うことがある。自分の心をときめかせてくれる人がいる。優しくて、一緒にいると安心できて、触れ合うことに喜びを感じることができる人。出会った瞬間に、本当に何の違和感もなく受け入れられて、自分...

◆見えない鎖。わざと嫌われることをして孤立するサンティ
自分が好きになった相手を思い浮かべて欲しい。好きになった相手に、自分と同じ「波長」を感じないだろうか。人は、自分と同じ心理・境遇・人生・悩み・欠点を相手から感じると、「同じ匂いがする」とか「波長が同じだ」と表現する。相手のやること、なすこと...

◆人生を捨てた女の瞳。山奥の売春地帯にいたエラの静かな威厳
人生を捨てた女の目を、あなたは見つめたことがあるだろうか。それは、とても強烈なものだ。寂然(せきぜん)の瞳というのだろうか。ままならぬ人生に長らく耐え、もの哀しさを抑えた瞳。それでいて、猛烈な意志の強さをまだ失っていない瞳。エラの眼差しを忘...

◆さよなら、女たち。セチア・ジャヤで出会ったヌーリ
初めてビンタン島を訪れたのは雨期の頃だった。空はどんよりと曇っており、タンジュン・ピナンに降り立つと小雨が降っていた。雨足は強まるばかりで、ホテルに着いた時はすっかり濡れそぼっていた。暗く、陰鬱だった。それから私はたびたびビンタン島を訪れて...




