◆ティアスの涙。女たちはいかにして骨の髄まで搾取されるか

◆ティアスの涙。女たちはいかにして骨の髄まで搾取されるか

インドネシア領バタム島ナゴヤの真夜中の向こう側、妖しく灯(とも)るダークサイドをくぐり、退廃の世界に入る。入り口に立つインドネシアの男たちの鋭い目は闇の中では肉食動物のようだ。

そこはインドネシア全土から集められた若い女性たちの「肉体市場」、男たちの天国、女たちの地獄と言われている場所だ。暗闇の中で行われているインドネシアの現実がここにあった。

執拗で粘っこい男たちの視線に追われながらゲートをくぐると、肉体市場の奥には雛壇があり、ガラスの向こうには10人ほどの女性が座って男たちを待っている。ティアスもそんな娘のひとりだった。

彼女は足を組み、物憂げに煙草を吸いながらゆっくりと煙を吐き出していた。まだ若い娘だというのに成熟した女性としての「貫禄」のようなものがあった。

殺伐とした売春宿には、ときどき、貫禄を感じさせる肝の据わった女がいるものだ。ゆっくりとした動作、艶のある髪、整った顔立ち。そんな雰囲気が気に入ったので、すぐに彼女を指名した。

神経質そうな甲高い声を上げるママサンが「ティアス!」と彼女の名前を怒鳴った。何となく気品のある名前をその場で覚えてしまった。

雛壇から出てきた彼女はしっかりと目を見つめてきて、腕に腕を絡ませて、不意に、にっこりと笑った。

先ほどの神経質なママサンに促されて二階に上がったが……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきたカンボジア売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インドネシア編』にて、全文をお読み下さい)

ブラックアジア・インドネシア編
『ブラックアジア・インドネシア編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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