◆不気味なインドネシア・モロ島と、打ち捨てられた村の女性

◆不気味なインドネシア・モロ島と、打ち捨てられた村の女性

目的もなく、はっきりとした予定もなく、ただひとりで好きなように地を這うのが私の旅だ。そこに行けば何があるのか分からないので、そこに行く。何もないかも知れない。しかし、何もないということが印象に焼き付いて、忘れられなくなる。

インドネシアのリアウ諸島に「モロ島」という島がある。そこに行ったのも、ただ行ってみたいと唐突に思っただけで、予定に組み込んでいたわけでも、何かを探していたわけでもなかった。

ただ行きたかった。そして、その島が何もないということや、開発途上で捨てられた島だということや、労働者がいなくなったということを知った。

それでも、売春女性が数人残っていて土着しかけているということも知った。そこに行ったから、それを知っている。地を這うとは、そういうことだった。

朝までインドネシア・ビンタン島の名もないホテルにいた。前の夜に「22(ドゥアプル・ドゥア)」と言う変わった名前の店で連れ出した女性イナと一緒だった。

イナは人懐っこい女性で、褐色の肌に大きな目が本当に魅力的だった。じっと見つめ合うと、鼻に皺を寄せて顔をしかめ、「チッチッ」と舌を鳴らす。

まだ20歳にもならず、世間も知らない女性だと思っていたが、ベッドの中で彼女の服を脱がしてみると、どうやらそうでもないということに気がついた。腹に妊娠線が走っていた。

その妊娠線をなぞりながら「子供がいるのかい?」と聞くと、イナは照れくさそうに笑い、「ヤー」と答えた。

「バンドゥンに子供がいて、イヴ(お母さん)が見てくれているの」

しかも、それはふたり目の子供だと言う。歳を聞くと「21歳」と答えた。女性の歳を聞いてそれが正確なものなのかどうかは確かめようがないが、もし21歳が嘘ではないとすれば、結婚して子供を産んだのは17歳だとか18歳の頃になるのだろうか。

まだ教育制度が確立していない国、医療設備が整っていなくて寿命が短い国では、早婚は珍しくない。

だからイナが21歳でふたりの子供の母親であるとしても、驚くことはなかった。子供を育てるために売春しなければならないイナをそっと抱き締めた。売春ビジネスを終え、ベッドの中でリアウ諸島の地図を見ていると、イナが…

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきたカンボジア売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インドネシア編』にて、全文をお読み下さい)

ブラックアジア・インドネシア編
『ブラックアジア・インドネシア編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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