◆見えない鎖。わざと嫌われることをして孤立するサンティ

◆見えない鎖。わざと嫌われることをして孤立するサンティ

自分が好きになった相手を思い浮かべて欲しい。好きになった相手に、自分と同じ「波長」を感じないだろうか。人は、自分と同じ心理・境遇・人生・悩み・欠点を相手から感じると、「同じ匂いがする」とか「波長が同じだ」と表現する。

相手のやること、なすことが自分に似ている。自分と同じ欠点があるので、行動や心理が読める。あるいは、相手の置かれている立場が似ている。

だから、相手の気持ちが説明されなくても分かる。そして、同じだと思い、共感したり、好感を持ったりする。インドネシアの山の奥にあるひっそりとした売春村。そこにいたサンティに感じたのは、まさにそれだった。

サンティを見て、「彼女は自分に似ている」「同じ欠点がある」「同じ匂いがする」と感じた。彼女は、どうだったのか。彼女はそこで、のけ者(アウトサイダー)だった……。

サンティの部屋の壁は剥き出しのコンクリートであった。広さは全体的にざっと6畳ほどだろうか。ベッドの頭側の壁には、大きなガラス張りの窓があって廊下を見渡すことができる。

普段はカーテンで仕切って中が見えないようになっているが、昼間は開け放たれており、部屋を明るくするのに貢献している。

天井には裸電球がひとつだけ。陽が落ちるまではそれなりに太陽光が入ってくる。しかし、夜になると電球が暗いせいもあって、恐ろしく陰気な印象になる。

もっとも、部屋が暗すぎると気にしているのは先進国から来た私だけであって、サンティ自身はまったく何とも思っていないようだ。物が見える程度に明るければそれでいいのだろう。

この部屋の片隅にはコンクリートで1畳ほどの広さの空間が作られており、青色の安っぽいドアを開けると、古ぼけた便器があった。

プラスチックのバケツも用意されており、ここでマンディ(沐浴)もできる仕組みになっている。これを「ユニットバス」と言えば聞こえはいいが、もちろん言葉の持つ洗練されたイメージはこの空間にはない。

この売春宿の建物は、できてまだ2年も経っていないはずだ。それなのに、塗装が剥げて薄汚れた便器だけを見ると、まるで……

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきたカンボジア売春地帯の闇、電子書籍『ブラックアジア インドネシア編』にて、全文をお読み下さい)

ブラックアジア・インドネシア編
『ブラックアジア・インドネシア編 売春地帯をさまよい歩いた日々(鈴木 傾城)』

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