◆私は4度の手術で助かったが、途上国の女性が同じ目に遭ったら助からない現実

心臓と冠動脈に問題があって去年から入院と手術を繰り返し、計4度も手術をした。病院で天井を見ながら過ごしているとき、ずっと思っていたのが「もしここが途上国で、なおかつ治療費がなかったら、間違いなく死んでいたな」ということだった。

東南アジアやインド圏で知り合ったスラムの女性の顔が何人も浮かんだ。

これまで私が途上国で知りあった女性はほとんどが極貧の女性で、スラムという非衛生な場所に暮らしてその日の収入さえもなかった。彼女たちは自分の身に異変があっても、病院にもいくことができないだろう。

病院から退院しても、ずっとそのことが頭にあった。それで、いろいろデータを調べてみてわかったのだが、途上国では心血管疾患と糖尿病が女性死亡原因の3分の1超を占め、感染症や妊産婦疾患よりはるかに多いということだった。

当然、先進国の女性よりも若い年齢で心臓病で亡くなる傾向もある。

インドやインドネシアなどの主要な低・中所得国では、女性の狭心症や心筋梗塞などの罹患数・有病者数・死亡数は、いずれも大きく増えているということなので、やはり途上国の女性たちは病に倒れて死んでいたのだ。

私は手術でしばらく延命できたが、彼女たちが私と同じ医療を受けることはできなかったと思う。それを思うと、自分ひとりだけ先進国・日本で要領よく生き残っていることに複雑な気持ちになっていたのだった。

私は精密検査を受けるまで冠動脈狭窄で突然死寸前だったというのには気づかなかった。気づいていたのは、胸痛や息切れがひどいということだけである。精密検査を受けて、それが助かるきっかけとなった。

途上国の貧困女性たちは胸痛や息切れがあっても精密検査を受けることができない。彼女たちはそういう症状があっても、きっと極限まで耐えていく。彼女たちはその日その日を必死で生きており、病院なんかにいくヒマもカネもない。体調の異変があっても、耐える以外にできることはない。

医療費は彼女たちの収入から見ると突出して重く、治療は数か月分の収入に相当する場合がある。最初からそんなカネはない。もちろん、保険も入っていない。

そう言えば、私がインド東部の首都コルカタにいたとき、排ガスでやられたのか咳がとまらなくなって、スラムで知り合った女性にそれを言ったら、わざわざスラム内の薬屋に連れていってくれたことがあった。

そこで私が見たのは驚くべき光景だった。

この先のコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。会員の方はログインをお願いします。 ▶ .

コメント

タイトルとURLをコピーしました