ブラックアジア書籍

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切ないほほえみ。スワイパーの、哀しい眼をして男を見る娘

カンボジア編彼女と出会ったのはスワイパーと呼ばれる売春村だった。黒一色の服に身を包んだ彼女を一目で気に入った。まだほんの小娘だというのに、彼女はひどく陰のある瞳をしていた。黒目がちの瞳がじっと相手を見つめる。そして、ほんのりとほほえむその姿...
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ホームシック。狭い部屋の中で母親に手紙を書くベトナム娘

カンボジア編カンボジアの首都プノンペンにはあちこちに置屋が点在している。隆盛を誇った70ストリートが徐々に縮小するのと対照的に、市内の置屋は数も勢力も増しているようだ。勢い、夜になったら男たちは市内の置屋をふらふらと夢遊病者のように巡ること...
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カンボジアの置屋。「置屋」とは一体どういう場所なのか?

カンボジア編昔、日本では売春宿の建物を「置屋(おきや)」と呼んでいた。現在では、もう置屋という言葉をあまり聞かなくなってしまったが、それは置屋の存在そのものが目につかなくなってしまったからである。しかし、まだ経済が発展途上にある国では置屋が...
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◆セックス・マシーン。バンドン生まれのセックス・マシーン

彼女の名前はヘリナと言った。インドネシア・ジャワ人である。まるで優雅な黒豹のようだった。軽く波打ったショートカット・ヘアはその野性的な表情によく似合っていた。無駄な贅肉など一切ついていないスリムな身体にぴっちりと張りついた黒の衣服は彼女の美...
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サイバーン。あなたが好き。だからこの写真をあなたに……

カンボジア編シアヌークヴィルのプントッマイで、ひとりの陽気な娘と会った。若々しく弾けるような肌に、顔中が口になってしまいそうな大きなビッグ・スマイル、そして猫の目の色のようにころころと変わる表情としぐさが忘れられない。彼女の名はサイバーンと...
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バイバイ・トゥ。置き去りにしてきた彼女を思って慟哭する

カンボジア編カンボジアには雨期と乾期がある。二月は乾期だ。ちょうど涼季から暑季に切り替わり、身が焦がれるような灼熱の太陽が大地を照らす。カンボジアの大地を覆っている紅土は、猛スピードを上げて突っ走る車やモトバイクに煽られて舞い散り、白い服は...
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◆売春村のアニー。熱帯の匂いを濃密に漂わせた、売春村の夜

インドネシア・ジャカルタから遠く離れた離島に降り立った。そして、真夜中になると島の中心部にモトバイクを飛ばしてもらった。一本のどこまでも続く舗装道路をバイクは順調に走る。他に走っているバイクなど一台もない。「真夜中は危険だ」とバイクの運転手...
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ゲイラン・ストリート。シンガポール政府が用意した罪の街

アジアの貿易国家シンガポールは、リー・クワンユー元首相が作り出した熱帯の実験国家だ。この卓越した政治家は、マレーシアから独立した後、多様な国民をまとめるために、あるいは国民の大多数を占める中国人の中華色を薄めるために英語を公用語として採用し...
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クレイジー・ホース。オーチャード・タワーの女たちと英語

ゲイラン・ストリートがシンガポールにおける置屋街の代表だとしたら、オーチャード・タワーは売春ディスコ群の代表になる。そして中でもクレイジー・ホースは現在のオーチャード・タワーのディスコの中ではダントツの人気を得ている。真夜中にオーチャード・...
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リシータ。ゲイランに立っていた魅惑的なスリランカの女性

ゲイラン・ストリートのLor20を入ると、すぐに右側に折れる小路がある。食堂「三友斉」の裏に当たり、夜中に行くと外灯のない小路は闇に吸い込まれるように暗い。小路に入る入口も奥もインド系の男たちで溢れ、人種の違うアジア系が入って行くと全員がよ...
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◆饒舌でドラマチックなノイ。彼女は涙を流してそれを話した

ノイという女性がバンコクのオープンバーがいた。スクンビットのナナ駅からアソークに歩いていく途中のオープンバーにいた小柄な女性だった。彼女は今まで知り合ったタイ女性の中で、もっとも英語が流暢だと言っても過言ではないほど素晴らしい英語を話した。...
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マイはベトナムに帰った。バスルームで頭を振っていたマイ

ベトナム語で「マイ」は「梅」という意味になる。ベトナム人の女の子でマイという名前をつけられる娘は多いようで、ベトナム社会に関われば、あちこちで「マイ」と知り合うはずだ。印象深かったマイは2000年当時スワイパーの15番館に在籍していた娘だ。...
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◆キル・ベイビー 。彼女は妊娠と性病とエイズの恐怖に泣いた

悲劇は突然やってくる。前触れなどまったくない。この日もそうだった。まだ堕落の街が堕落を剥き出しにしていた一九九九年頃、健在だったライブ・バーに寄ってみようと考えた。かつてはライブ・バーも、その頃は行かなくなっていた。しかしどういうわけか、そ...
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蓼(たで)。美の基準はひとつではなく、かなり範囲が広い

カンボジア編70ストリートのボンコック湖側のクメール置屋のひとつに、美しいクメール娘がいた。ここ最近はすっかり大人びてきて、その美しさには磨きがかかった。クメール女性が身につける独特のサンポッド(スカート)をつけ、長い髪をうしろで束ねたその...
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スワイパー。カンボジア人の憎悪の中で存続した闇の売春村

カンボジア編プノンペンから延々と11キロ、国道5号線をウドン方面に北上する。ムスリム(イスラム教徒)の寺院を左手に、クメール人の高床式の粗末な家を右手に見ながら、さらに奥へ奥へと突き進んで行くと、今はもう古びて色あせてしまった「コンドームを...
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63ストリートの妖怪。闇の中で、意味もなく笑い続ける女性

カンボジア編真夜中のプノンペン。売春地帯63ストリートを外れてふらふらと闇夜の中を歩いていると、薄暗がりからひとりの男がゆっくりとやってきて腕をつかんできた。振り返ると、男は無表情なまま"Bombom?"(セックスか?)と聞いてくる。 返事...
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桜花(SAKURA)。何もできない素人女性が見せてくれた決意

カンボジア編セックスに言葉は要らない。交渉も指で数字を差し示したら、大抵は通じてしまう。どこの国でもそうだ。そして、どこを巡っても、特に現地の言葉を真剣に覚える必要はさらさらない。そのほとんどは少々の英語のみで場を乗り切ることができている。...
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チャイナタウンの楊(ヤン)。観光客を装いながら夜の街に

2009年5月。夕方になるとバンコクは激しいにわか雨に見舞われたが、夜にはすっかり上がっていた。ここのところずっとタイ料理ばかり食べ続けていたので、久しぶりにヤワラー地区の中華料理を食べたくなった。やはり、チャイナタウンで食べる中華料理は競...
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アプサラを踊る娘。貧困地区に棲む天使(アプサラ)の笑み

カンボジア編カンボジアの国王はノロドム・シアヌークである。彼はかつて絶対的な主権を握り、王宮で優雅な生活に明け暮れていた。その王宮ではカンボジアの恵みを讃えるためのダンスを国王に見せるために選りすぐりの美しい娘たちが寝泊まりし、練習に明け暮...
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◆テルメ。バンコクの援助交際バーに、売春女性が一堂に集う

バンコクにはコーヒーショップと言われる場所がある。グレース・ホテルのコーヒーショップは昔から有名だったが、最も隆盛を誇っているのは『テルメ(Thermae Coffee House)』である。あまりにも売春する女性たちが集まり過ぎて、タイの...
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プノンペン市内にあったスラム売春地帯「ブディン」の消滅

カンボジア編夜、プノンペンの独立記念塔を川沿いに向かっていくと、明るくショーアップされた観覧車やメリーゴーランドが目に入る。その遊園地の手前を右に入ると、そこはブディン地区になる。川沿いには不法居住者が住まうスラム街が広がっているが、ソティ...
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娼婦ナナ。戦争を始めるのは男たち、代償を払うのは女たち

タイ・バンコク。熱帯の夜の喧噪の街をゆっくりと歩いていると、真っ正面から黒いボディ・コンシャスに身を包んだ白人女性が近づいて来た。売春ビジネスに関わる女独特の視線が絡みついてきた。それに応えると、女は流し目を投げて"How are you ...
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カンボジア警察。目の前で、ベトナム娘を殴り始めた警察官

UNTAC(カンボジア暫定統治機構)時代、外国からやって来た国連軍兵士たちの日給は130ドルだった。命を張って戦って1日に1万6,000円。これが高いか安いかは人によって判断の分かれるところだ。ではUNTAC時代のカンボジア警察官の日給はい...
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セックス・コレクション。自分を抱いた男を記録していく女

セックスを動画や写真で記録するのが好きな男たちの存在はもう当たり前のように知られていて、そんなことは改めて言うようなことではない。しかし今はすでにその時代を経て、数年も前から女たちがセックスを記録し始めていることに気づいている人はいるだろう...
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ブディンのネイ。引き裂かれるように別れるのが怖かった

プノンペン北部トゥールコック地区の70ストリートに久しぶりに降り立ったとき、そこがかつて知っている70ストリートではないことを知った。いや、それはここに戻る前からいろんな人たちに聞いていて知っていた。今、自分の目でそれを確認したのだった。あ...
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◆ムカデの女。彼女を抱く男は、ムカデのような存在なのか

バンコクは数日ほど灼熱の日々が続いていたが、この日は違った。どんよりと曇っていて遠くに黒く低い雲が見えて風が冷たかった。泥棒よけの鉄柵の入ったホテルの部屋から外を見つめて、雨が来ると思って待っていたが、いつまで経ってもそれは降ってこなかった...