ボトム・オブ・ジャパン(日本のどん底)。日本の絶望は深く広がっている

ボトム・オブ・ジャパン(日本のどん底)。日本の絶望は深く広がっている
ボトム・オブ・ジャパン

日本のどん底(ボトム・オブ・ジャパン)は広がっている。中国発コロナウイルスによって、こうした「どん底」はさらに広がっていく。近日中に、『ボトム・オブ・ジャパン(日本のどん底)』という書籍を出します。発売されたら改めて周知します。是非、手に取って下さい。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「路頭に迷っている若者」は減ったのか?

日本はホームレスが5000人程度で、東京都は1319人であると厚生労働省は2016年に報告している。これは少ないと感じるだろうか、それとも多いと感じるだろうか。1億2000万人の人口で見ると、意外に少ないような感覚があるかもしれない。

昔はホームレスとも労働者とも言えるような人たちが大量に集まっていたドヤ街である東京の山谷も、横浜の寿町も、大阪あいりん地区も、同時に寂れてしまっている。

どの街も、かつては暴動が起きるほど労働者とホームレスでむせ返っていた。しかし、そんな時代を、もはや想像することすらできない。歩いているのは年金と生活保護費を搾取されている老いた高齢者ばかりなのだ。

もちろん、日雇い労働者が消えたわけでもないし、ホームレスがいなくなったわけではない。早朝になると大量の労働者が仕事を求めて手配師の元に集まり、その日の仕事にありつこうと必死になる。

それが過ぎると、仕事にあぶれた人たちがそれぞれシートを敷いて寝ている姿を見ることができる。それでも、そこは中高年が多く、若者が大勢いるわけではないというのが見て取れる。

日雇いで生きる若年層は、こうした環境を嫌って寄りつかない。

統計としてホームレスは減っていて高齢化している。若者は見ない。しかし、本当に「路頭に迷っている若者」は減ったのか? 路頭に迷っている若年層は、よほどのことでもない限り山谷やあいりん地区に寄りつかず、違う場所に巣食っている。

彼らはじっとネットカフェに潜み、都会のどん底(ボトム)をさまようように歩きまわっている。

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身分証明書がなくてはネットカフェにもいられない

若年層は基本的に「高齢層の多い街」に居ついたりしない。世代が違えばギャップも多く、ほとんどの若者はカビの生えたような古臭い街の空気感に馴染めない。

昔ながらの食堂で焼き魚を食べて立ち飲み屋でカップ酒をあおり、酔っ払って演歌を歌い、銭湯で身体を洗うドヤ街の世界観は昭和の文化であり、そんな「異質」な世界を若年層が好むわけがない。だから、かつてのドヤ街を彼らは敬遠する。

彼らが住みたがるのは、ドヤ街ではなくネットカフェやシェアハウスだ。どんな劣悪なシェアハウスでも、安ければ人が入る。違法なシェアハウスでは、若年層を集めて詰め込むだけ詰め込んでいることもある。

ただ、シェアハウスでの人間関係を好まない若者も多い。こうした人々はネットカフェなどを渡り歩きながら「スポット派遣」という名の日雇い労働をしている。

かつてはネットカフェ難民みたいな言葉もあったが、今ではもう聞かなくなった。しかし、それは世間が「飽きたから」であって、消えたわけではない。相変わらずネットカフェに「暮らしている」若者はいる。

彼らは24時間営業のファミレス、ファストフード、サウナ、個室ビデオ、レンタルルームなどに泊まり込むようになった。つまり、彼らは分散した。

このように、社会の底辺のスキマを縫ってまだ路上には堕ちていないが「堕ちる寸前」のギリギリの状態にいる若年層が、そこで踏みとどまっている。

こうした若者はホームレスとしてカウントされないし、そもそも住所そのものが不定なので役所に統計で捕捉されることもない。つまり、彼らは社会の表側からは見えない。

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家庭の中でホームレス化している54万人の若年層

さらに日本ではホームレスではないのだが、恵まれた環境で社会から隔絶された人たちもいる。それが、引きこもりやニートと呼ばれる若年無業者たちだ。

15~34歳の若年無業者は56万人ほどいると推測されているが、彼らは親がいるからホームレスになるのを免れているだけだ。本来であれば、仕事をしないのだから、親がいなければ完全に路頭に迷っていた身分でもある。

こうした人たちは家庭の中でホームレス化しているのだが、やはり外側からはカウントされない。

この若年無業者も統計上では減っているのだが、それは彼らが更生して社会に旅立ったからではなく、35歳を超えて高年齢化して「若年」という範囲から消えてしまったからである。

若年無業者の定義を「34歳まで」にしている関係上、35歳になったら同じことをしても統計から消えるのである。しかし、統計から消えた若年無業者は相変わらず無業のままだ。

実際には、彼らを養う親も高齢化するので、統計から消えた若年無業者の方が捕捉されている若年無業者よりも状況は悪い。

このように見ると、社会の底辺の貧困層を統計としてしっかりと捕捉するというのは、意外に難しいことが分かるはずだ。彼らは往々にして「統計から漏れる」のである。

従って、統計としてホームレスを見るには注意が必要だ。ホームレスは減っているものの、それは「社会がより良くなっている」ことを意味しているわけではない。社会の構造が変わっているので、あからさまなホームレスの姿が消えているだけなのだ。

ホームレスとは言えないものの、その境界線で長く踏みとどまっている人たちが増えていて、彼らの存在が見えないと『ボトム・オブ・ジャパン(日本のどん底)』が分からない。

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高学歴であっても人生の安泰が約束されない時代に

学歴がないと社会に出た瞬間に荒波に揉まれるというのは本当のことだ。大卒よりも高卒の方が賃金が安く、仕事も見つかりにくい。しかし、その高卒よりも中卒の方がさらに賃金が安く、もっと仕事が見つかりにくい。

仕事を探そうにも、学歴がないために向こうから断ってくる。そのために、学歴が低ければ低いほど条件が悪くなり、底辺の仕事しかできない。

それは信じられないほどの低賃金であったり、重労働であったり、危険であったり、環境が不潔であったり、時間が不規則であったり、長時間であったり、短期間であったりする仕事だ。

底辺の仕事のほとんどは非正規雇用の使い捨てなので、いったんその「使い捨て」の輪の中に堕ちてしまうと、延々とそこでもがくしかなくなる。

ネットカフェ、ファミレス、ファストフード、サウナ、個室ビデオ、レンタルルーム、シェアハウスを転々としている貧困の若年層の多くは低学歴であるのは、そうした社会環境があるからだ。まともな仕事が最初から「ない」のである。

だから、多くの若者は奨学金という名の莫大な借金を抱えて大学にいく。低学歴だと社会に出た瞬間に踏みにじられるのは分かっているのだから、そこに恐怖を感じても当然だ。借金をしてでも、有利な立場にいたいと誰でも思う。

しかし、時代はすでに変わっている。今や大学卒も増えすぎて陳腐化してしまった。そのために、やはり有利な仕事が見付からなくて、ブラック企業に絡み取られていく不運な若者も増えた。

そして、やはり使い捨てにされて放り出されるのである。終身雇用も消えつつあり、転職することも当たり前になっている今、高学歴であっても人生の安泰が約束される時代ではなくなっている。しかし、ホームレスに堕ちるまでもなく、その境界線で日本人はもがき続けることになる。

日本のどん底(ボトム・オブ・ジャパン)は広がっている。中国発コロナウイルスによって、こうした「どん底」はさらに広がっていく。近日中に、『ボトム・オブ・ジャパン(日本のどん底)』という書籍を出します。発売されたら改めて周知します。是非、手に取って下さい。

産経新聞7月5日2面。近日発売として、『ボトム・オブ・ジャパン(日本のどん底)』の広告が出ました。発売されたら改めて周知します。是非、手に取って下さい。

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