2018年11月29日。大阪市西成区で43歳の男が逮捕されている。この男は「路上で強盗に襲われてカネを奪われた」と警察に通報して、大家には「そのせいで家賃が払えない」と説明していたのだが、これが嘘の強盗被害だった。
「強盗に遭ったと言えば大家が同情して家賃の支払いを待ってくれる」と考えて、嘘の強盗被害をでっち上げて警察に被害届を出していたのだった。供述が曖昧だったので、警察が追及したところ、嘘であることを認めた。
住所を失いたくなかったが、男は結局住所を失った。
認知症の母親の介護から生活が破綻して、最後に母親殺害に至った事件があった。「私の手は母を殺めるための手だったのか」と母を殺した男は慟哭したことで知られている痛ましい事件だ。(ブラックアジア:認知症の悲劇「私の手は母を殺めるための手だったのか」)
彼が母親を殺すことになるのは、家賃が払えなくなって家を追い出されることになる日だった。
経済的に困窮すると、いろんなものを失っていくが、最後まで人が死守したいと考えるのは「住居」である。それを失ったら、事実上すべてを失ったも同然だ。
しかし、金がないとあっさりと失ってしまうのも住居である。住居を維持するというのは経済的に困窮した人間には大変な負担だからである。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
家賃を滞納すると、いったいどうなるのか?
2016年10月7日、加藤未香という24歳の女性が家賃を4ヶ月も滞納した挙げ句「仕事もなく、生きていくことがもう嫌になった」という理由で、家賃催促にきた大家を刺し殺して逮捕されるという事件があった。
24歳の女性が包丁で大家を刺し殺すのだから、尋常ではない精神状態に追い込まれていたと推測される。
収入もなく、貯金もない人間が4ヶ月も家賃を滞納したら、もう返すことはできない。そして、強制退去されれば新しい住処に入ることもできなくなる。追い出されるその日が人生の終わりだと彼女は思いつめてしまったのは無理もない。
大家も家賃収入が入らなければ他人に部屋を貸している義理はない。回収するのに必死だったはずだ。
最近は多くが不動産を生業とする管理会社が間に入っているので家賃滞納が起きた場合、その取り立ては管理会社が行うことになる。
家賃を滞納すると、すぐに管理会社から迅速に支払うように電話が入る。多くの滞納者は電話があると驚いてしまって、たとえ金がなくても必死になって金を掻き集めて支払う。
しかし、ない袖は振れない人もいるわけで「近いうちに支払います」と言いながら支払わない人も出てくる。そうすると、内容証明郵便で「契約解除予告状」というものが届き、数ヶ月のうちに契約解除に至る。
その合間に、連帯保証人に連絡がいき家賃の請求を連帯保証人にするケースも出てくるのだが、そうなったときは連帯保証人も寝耳に水であり、家賃の支払いを渋るケースが多い。
連帯保証人は、実際には法的に支払う義務があるのだが、現実はそれほどすんなりといかないのである。
最近では連帯保証人を家賃保証会社が行うこともあるのだが、家賃保証会社の場合は、当事者が一ヶ月でも滞納すると、一瞬にして部屋の退去を求められる。
契約解除に至るとどうなるのか。
部屋の鍵を勝手に変えてしまう管理会社もあれば、不在時に勝手に所持品を撤去してしまう荒っぽい管理会社もある。

あなたは家賃を払えなくなって催告書を突きつけられたことがあるか? カネがないのに、こんなものを送りつけられたら絶望しかないはずだ。
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「無一文」で放り出されるのではないという事実
以前、池袋北口のラブホテル街を抜けた向こうにあるアパートが密集した地区を歩いていたとき、あるアパートの前に寝具から家具から家電まで、一切合切を放り出されていた光景を見たことがある。
家賃滞納で部屋の中のものを、何もかも放り出されたらしいのはおおよそ想像が付いた。こうしたやり方は違法なのだが、違法などと言ってられない事情が大家にもある。
家賃を滞納する側も、住居を失うというのは死活問題なのだが、同時に大家の方も家賃を滞納されたまま住まれるのは死活問題である。
なぜなら、ほとんどの大家は借金をして不動産を所有しており、家賃収入をそのまま借金の返済に回しているからだ。家賃滞納が起きると、自分が銀行に絞められる。
そのため、大家は自分の資産を守るために、何が何でも「強制退去」させようと必死になる。そのために何度も家賃の督促を行い、内容証明郵便で証拠を取る。
そして、3ヶ月で裁判を起こし、6ヶ月以内には強制退去を完了させる。
多くの滞納者は勘違いしているのだが、強制退去されたら「無一文」で放り出されるのではない。莫大な損害賠償を請求されて放り出されるのだ。
今まで滞納した家賃の請求はもちろん、退去費用も、裁判費用も、違約金も、遅延損害金も、損害賠償金も、ありとあらゆるものを乗せられて、請求されるのである。
金がないから放り出されるのだが、返さなければならない借金を背負わされて放り出されるのだから、困窮して住居を失う人が「これで人生が終わった」と考えるのは無理もない。
世の中は、金のある人間には配当や利息で不労所得を山ほど与えるのだが、金のない人間からは持っているものを奪い、さらに借金を覆いかぶせる仕組みになっている。
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絶対に「住所」だけは失ったらいけないのだ
損害賠償は「裁判命令」である。そこから逃れられない。さらにブラックリストにも載せられて就職にも困難をきたす。いったん金がなくなると、すべてを奪われた上に、将来の稼ぎも奪われることになる。
その前に、次の住処(すみか)が見つからない。
大家が家賃の回収よりも強制退去の方を望むのはなぜか。それは、金を滞納する人間は「滞納癖」があると経験則で知っているからだ。
滞納しない人間は10年でも20年でも同じところに住み続けても1回も滞納することはない。しかし、滞納癖のある人間は、頻繁に家賃の遅延を起こし、滞納し、いったん支払ってもまた気が付けば滞納を繰り返す。
だから一度でも滞納が起きると、大家は家賃を回収するよりも、もっと信頼できる人に貸したいと合理的に考える。次もきちんと払ってもらえるのかどうか分からないというのは、銀行に借金を持っている人間にとっても眠れない事態だ。
家賃を滞納している側だけでなく、滞納されている側もまた夜も眠れないのである。
だから家賃の滞納が起きると強制退去させる方向に向かい、困窮した人は住居を失ってより困窮してしまう。
住んでいる場所を失うというのは、受けられるべき行政の保護からも弾き飛ばされるということになる。生活保護も住居がないと受けられない。
仕事も住居がなければ見つからないことの方が多い。カードどころか、銀行口座も、郵便局の口座も、住所がなければ作れない。さらに携帯電話も住所がなければ手に入らない。
住所を失った時点で、すべてを失うのである。住所を失うというのは、単に寝る場所を失うだけでなく、社会から抹殺されるも同然なのである。
そのため、どんなに小さくてもボロボロでも何でもいいから、現代社会との接点を見失わないためには、絶対に「住所」だけは失ったらいけないのだ。社会から抹殺されたくなければ……。(written by 鈴木傾城)

住んでいる場所を失うというのは、受けられるべき行政の保護からも弾き飛ばされるということになる。生活保護も住居がないと受けられない。仕事も住居がなければ見つからないことの方が多い。カードどころか、銀行口座も、郵便局の口座も、住所がなければ作れない。さらに携帯電話も住所がなければ手に入らない。
それぞれ、そこへ至る様々の事情がありましょうが、日本人•わが国の国民として生まれ、また、とりわけ、そのような事態に至るまでは頑張りもし誠実に生きて方々が、万策尽きて住居、つまり住所•住民票を失うことにより、先を生きるための職探しや行政サービスを受ける資格を失うとは「異常事態」と私は思います。
困窮に陥った国民を支払い能力がないという理由で見捨てつつ、支払い能力があり、かつ、税金という上納金を払う他国籍や多国籍の人間を居住させるのを良しとすれば、一時的には国庫の足しにはなるかもしれません。それによって困窮した国民を助ける足しにもなりうるかもしれません。ですが、これは断言しますが、他国籍多国籍の人間は、いつか必ず「何故わたしがこうまでして日本人を養わねばならないのだ?」と言うに違いありません。いや、始めから自分と日本と日本国民のために
などと真摯に思うわけもなし、大切なのは自分と自分の家族親族、思うは祖国ではないでしょうか。私はその事自体を責めはしません、そういうものだろうと思っているからです。
ですから、使えるとか使えないとか、支払い能力があるとかないとか、目先の利益のみでわが国土に住まう者を選別すべきではないと私は思う。繁栄の恩恵を分かち合うことができなくなった時、苦しさを分かち合うことができるのもまたその国の、まことの民をおいて他にないと思うからです。
住居住所を失っては人の数に入れてもらえなくなるということは、国を失った、乗っとられた民がそれと同様の寄る辺ない有様になると同様の事態です。住居住所を失った個人国民を何とか救うことができないならば、なんで先々国を維持してゆくことができましょうや。
署名忘れました。auroreです。
催告書こわいですね。私も過去に何度か家賃を2ヶ月滞納したことがあります。メンタルをやられて職を失ってた最中だったのですが、どうしても5万円ほど足りず、家賃が払えませんでした。画像の催告書とは違いますが、黄色い紙でポストに入ってました。
仕方がないので生まれて始めてサラ金(アコム)で金を借りましたが、メンタルが落ち着いた時に実家に戻って事情を話して親にサラ金分を建て替えてもらってサラ金を返済、親には毎月返せる分だけ少しずつ返していきました。綱渡りの生活はめちゃくちゃストレスになります。
今はお金はなんとかなってますが、でも家賃の支払いがくると不安がありますね。
関西で不動産業をしておりますので、わたしの日常業務ですね
現在の賃貸借は、賃貸借契約時に、賃貸保証会社の保証をつけさせます
逆をいえば、賃貸保証会社の保証を受けれない=審査に通らないと入居ができません
普通に身分証明書があり、仕事をして、携帯を持って、日本国籍であれば、緊急連絡先に
身内が一人でもいたら、だいたい審査は通ります
審査が通りにくいのは、生活保護、母子家庭ですね
絶対に通らないのが、暴力団と精神疾患の方、建前上、審査は受付ますが、絶対に通りません
10年ほど前から一般的になった賃貸保証会社のシステムで、家主も管理会社も、かなり楽になりました
滞納があっても最後は保証会社がケツを拭いてくれますので、自殺以外はリスク軽減しましたねー
しかし、賃貸保証会社を付けていない昔からの入居者がクセモノです
悪質滞納者が刃物などは、通常業務です
・暴れる入居者は、ドアをあけると同時にタックルして、先にダメージをあたえます、それから交渉(しつけ)
・色仕掛けの入居者は、おれはゲイだ!と対象外をアピール、それから交渉
・金をおとしたと嘘をつく入居者は、ゆるしません 携帯をとりあげて、電話帳の登録している人全員に電話を
かけさせます、一人1000円でもいいから借りて来いとプレッシャーをあたえます、借りれなければ車に乗せて、最寄駅でルンペンしてこいとプレッシャーを与えて交渉(しつけ)
滞納する人間というのは、メシ代、携帯代、ゲーム代、遊行費を優先するのです
だから、家賃を支払う優先度合いをあげるように交渉(しつけ)をすれば、生活保護の風俗狂いや、パチンコ狂いでも滞納はなくなります
キチガイ滞納者の相手をしていると、かなり度胸はつきます、しかし人間がだんだんキライになってくるのが悲しいところです
私も、こんな仕事をするまでは、詩を書いたりする夢見る文学青年でした
ああ、きれいな昔の自分にもどりたくなります(笑)
よくわかります。
滞納者は滞納者であり続けるので、一時期支払いがあっても、再び滞納します。
最終的には強制退去になりますが、裁判所の支払命令とは言え袖が無い方は払いませんし、結局大家が泣き寝入りするのが今の日本の現状です。
そんな大家はローン支払いに困窮し、物件を手放すこともしばしば。遊興費優先の滞納者には制裁が必要です。
以前独身寮からアパートに移り、子供が生まれるのでマンションを買ったと書きましたが、その続きです。
1LDKにその後二人目が生まれたので手狭になり、清水の舞台から飛び降りたつもりで戸建てを買いました。
その時マンションを売らずに、賃貸に回し大家さんになったのです。
株式投資で儲けた金で戸建ての頭金2000万円を使ったのですが、賃貸のマンションを担保にして1600万円銀行から借りこちらは株式投資の資金に回し、ついでに車のローンも借りたので借金総額は6000万円近くになっていました。
ローンの総額の返済は430万円/年ですから、賃貸に回したマンションの家賃収入が滞るとこちらも困ります。思えば綱渡りのような事を良くしていたものですが、、、、、、、、、(笑)。返済の途中で子供達の教育費がかかりだし実家には仕送りし自分の接待や海外旅行にもいかねばならず、毎月の必要資金は100万円近かったですね。
はい明らかにサラリーマンの限度を超えていますが、不足分は株で儲ければ良いと考えていた極楽トンボの私です。
そんな自転車操業をしている時にバブルの大崩壊があったのですから、顔が真っ青になりました。信用を整理するにも赤字の株ばかりでどれを処分しようか悩みは尽きません。どうしても信用を整理する現金が足りないので(大幅赤字の株は売りたくないので)実家に借金をして何とか乗り切りました。もちろん実家の借金は後日利子無しでちゃんと返しましたよ(笑)。
ところで家主業は店子がちゃんと家賃を払ってくれればこんな良いものは無い、乞食と家主は3日やったらやめられないと思ったものです。入居する方は、前家賃と当月家賃・敷金と礼金各2か月・不動産仲介手数料1か月と大変ですが家主には6か月分のお金が一度に入ってきます。
私も考えてみればアパートに入った時、家賃7か月分を総額で払っていたのですが、大家になるとは直近まで思っていませんでした。結局25年位賃貸に回して2000万円余りの収入があったのですが、クレームの多い店子がいたので嫌気がさして数年前売ってしまいました。
もう少し待てば打った後大幅に値上がりして2倍で売れたのですが運が無かったのですね、人生そんなものです。
住所というのはどんなに苦境に陥ったとしても本当に死守すべき最後の砦ですよね。
最近Amazon primeで見た「東京難民」という邦画がこのお題にぴったりというか娯楽作品ながらなかなか示唆に富んでいました。
能天気な大学生をやっていた主人公が親からの仕送りがある日突然途絶えて住所をなくしてから転落していく話で、住所をなくしてしまうことの怖さ、悲惨さ、絶望感がよく描かれていました。
改めてブラックアジアって「学校では教えてくれない」複雑な時代を生き抜くための知恵が満載で無知で世間知らずで何でもできると思っている15歳から25歳くらいの「日本の」若者たちにこそ読んでもらいたいなあとは思います。
雇用先が変わって給与振り込みの日が家賃の支払い日の直前になったとき本当にほっとしました。
家賃は払えてるし一応生活もできてますが日本の基準では立派な?貧困層なので、今後何かあって生活が破綻しそうになったら家がなくなる前に絶対生活保護の申請をする、と自分に言い聞かせながら生きてます。
通るかどうかわかりませんが…
実際問題、首都圏の賃貸は高すぎますよ
メシ代、携帯代、ゲーム代、遊行費以前に家賃が安くても6万円(運が良ければ5.4万円)で、年金12万円だと過半を持って行かれるわけで様々な行政サービスを受けるための「住所」は本当に高い。
私は元公務員の「精神疾患」で障害共済年金を受給していても、不動産屋が紹介していくれるのは「1件」でしたからね。
実家から追い出されて路頭をさ迷って、貯金があったので僻地のUR住宅(確か当時は家賃の1年半分前納で行けた)に住むかと思っていたのですが、幸い親戚所有のアパートに空きが出て助かりましたけど
のちに要件を満たして公営住宅に当選して今は家賃1万円以下で過ごしています。このぐらいだと「住所」の適正価格だなと思います。
もう収入の半分を家賃で取られる生活はもうしたくないですよ