人間関係リセット症候群。人間関係に疲れ果てる前にできることをした方がいい

人間関係リセット症候群。人間関係に疲れ果てる前にできることをした方がいい

「人間関係リセット症候群」の人は、まわりにいる人たちと一切の連絡を断ち切るようなことをする。SNSのアカウントもすべて消し、場合によっては誰にも黙って引越し、電話番号も変え、自分の痕跡をみんな消してしまう。そこまでして「消えたい」という強烈な意志がある。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

現在の人間関係を、突如として切り捨ててしまう?

先日、知り合いのひとりから連絡があって、ある女性と連絡が取れるかどうか聞かれた。彼女はTwitterもLINEもInstagramも突然すべてアカウントを閉じていなくなってしまい、心配した知り合いが彼女に電話しても電話には出ないし、メールを送っても返事もないのだという。

私も彼女とは長らく連絡していなかったので、一応メールをしてみたが返事はなかった。「何かあったんだろうか?」と言われたが、私には見当もつかなかった。彼女とは人生を話すほど親しいわけでもなかったので何があったのか知る由もない。

ただ、誰かが音信不通になるというのは私のまわりではよくあることだし、それについては特に何かを思う気持ちもなかった。

SNSのアカウントを全部まとめて消してしまったというのであれば、それは彼女の意思なのだろうし、誰とも連絡を取らないというのであれば、それが彼女の返事なのだろうと思う。

私は自分の人生において、ほとんどの人との人間関係は非常に薄くて、ただ細い糸でつながっているだけなので切れたらそれで終わりとなる。私は細い糸を太くする能力がなくて、細い糸はどこまでも細いままで終始する。

ふと「彼女もまたそうだったのかもしれない」と思った。彼女は何らかの意図があって人間関係を断ち切ったが、彼女のような行動をする人は実は珍しいことではなくて、最近では「人間関係リセット症候群」とも言うようだ。

現在の人間関係を、突如として切り捨ててしまうのである。

ブラックアジアでは有料会員を募集しています。よりディープな世界へお越し下さい。

歳を取れば取るほど「仲の良い友」はできなくなる?

良好な人間関係であれば、それはきちんと継続した方がいいし、それによって得られるものは大きい。「仲の良い友達、気の合う知り合い」というのは、若いうちでもなかなかできないし、歳を取れば取るほど分かり合える友は減っていく。

さらに言えば、歳を取れば取るほど「仲の良い友」はできにくくなる。

これは仕方がない。歳を取れば誰でも家庭や仕事が優先になるし、そうなれば新しい友人を作る機会もなければ、友人と長く一緒にいる時間を作るのも難しくなる。エネルギーを費やすところが「友人」ではなくなるのである。

また、歳を取れば政治信条や社会的立場や価値観などが出来がっており、自分の考え方や立場と相入れない人と一緒にいるというのが難しくなることもある。

社会的に名の通った人たちの中には、社会の底辺の人たちに激しい拒絶反応を持つ人も多い。場合によってはスキャンダルに巻き込まれる恐れもあるからだ。

たとえば、政治家や一流企業の名のある経営者が、水商売の女性だとか風俗嬢とか売春をしている女性と居酒屋でわいわい馬鹿騒ぎしていたら、下手したらクビが飛ぶ。

立場ができれば、そういう世界とは無邪気にかかわれないのである。当然、人を選ぶので「仲の良い友」はできにくくなる。距離を保つ必要があるし、切らなければならない人も増えるのが現実だ。

年齢がいってもうまく「仲の良い友」を作れる人もいるが、一般的には増えるよりも減っていくものだ。

とすれば、今の自分に曲がりなりにも良好な人間関係が保てる人間関係があるなら、それを切り捨てるよりも大切にした方が良いのは間違いない。

インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきたカンボジア売春地帯の闇、『ブラックアジア カンボジア編』はこちらから

人間関係の中で微妙に面倒くさいことが増えていく

しかし、「人間関係リセット症候群」の人は、まわりにいる人たちと一切の連絡を断ち切るようなことをする。それも永遠に断ち切る。

SNSのアカウントもすべて消し、場合によっては誰にも黙って引越し、電話番号も変え、自分の痕跡をみんな消してしまう。そこまでして「消えたい」という強烈な意志があったということなのだろう。

もともと人間関係が深まっていくと、それ自体がストレスになってしまう人もいる。知らずして知り合いに気を遣ってしまう人というのは、知り合いが増えれば増えるほど「気を遣わなければならない人が増える」のだから、それが精神的な負担になってしまう。

「LINEを送ったのに返事が来ない」「会話の途中で白けた顔をされた」みたいな、本当に些細なことが心理的なストレスとなって、知り合いが増えれば増えるほどそれが積み上がっていくことになる。

また、相手に振り回されているとか、相手に言いたいことを言えないとか、人間関係の中で微妙に面倒くさいことが増えていく。それを解消することができる人もいれば、解消できない人もいる。

あと、SNSで生まれる人間関係というのもある。自分の発言は賛同されることもあるかもしれないが、時には否定されることもあれば、批判されることもある。何か言えば100%理解してくれるわけではない。

政治信条を書くと間違いなく激しい反論は必ず出てくる。そうでなくて、たとえばコンビニで買った食べ物の些細な感想ですらも、自分と違う意見の人が反論してきたりするわけで、ある意味SNSは「対立の場」でもある。中傷・罵倒も日常だ。

私の知り合いは「バカとアカとK-POPは問答無用にブロックする」と豪語して、くだらないことを書いてくる人間を片っ端から「こいつはバカだろう?」と笑い飛ばしてブロックしている。

しかし、反論してくる人間を待ち伏せしてブロックするのがストレス解消になる人がいる一方で、それができず、中傷や罵倒に傷つき、かと言って、ブロックさえも「相手を怒らせるんじゃないか」と恐れてできない人もいる。

そういう人は、見えないつながりであるSNSでも深刻なストレスとなる。それこそ、自殺する人もいる。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

人間関係にストレスを感じやすい人は間違いなく存在する

だから、人間関係に窮屈な思いをしてしまいがちな人で、「人間関係リセット症候群」に追い込まれてしまう人がいたとしても何ら不思議ではない。私はそれを理解するし、それを責めることもできないと思っている。

あっちこっちで友人に金を借りまくって、どうしようもなくなって姿を消してしまう人もいるが、そういうのは「ただの詐欺師」でしかない。

そういうのではなくて、人間関係に疲れて疲れて疲れ果てて、我慢の限界に達した結果として姿を消してしまう人は、恐らく自分の心を守るために「それが必要だった」はずなのだ。

人とかかわることに疲れ、気を遣うことに疲れ、もうどうしようもなくなってしまったということなのだろう。人間関係にストレスを感じやすい人は、いったんできた人間関係を自分でコントロールすることができない。どうしてストレスを抱え込んで人知れず苦しむことになる。

しかし、人間関係を完全にリセットしてしまうと、本当に良好な関係まで切れてしまうので、それはいろんな意味で「損失」でもある。

だから、完全リセットまで追い込まれないように、負担を感じたら早めに手を打っておく必要があるのかもしれない。

人間関係に疲れ果てることでバーンアウト(燃え尽き)に追い込まれるのだから、最初にできるのは、数日の期間を決めて誰かと会うことやSNSをすることを完全に断ち切って自分の時間を取り戻すことにあるはずだ。

「人間関係リセット症候群」の兆候がある人は、強制的かつ定期的に「人と会わない、SNSもしない」という「安息日」みたいな日を持った方がいいのだろう。

それでも苦しい時は、数日の旅行でもいいから無理やり旅に出て日常から離れるというのもいいのかもしれない。人間関係と擬似的に切れる環境を積極的に作っておくと、人間関係に疲れ果てる前に平静を取り戻せる可能性もあるように思う。

完全に限界に達してしまったら、追い込まれて「人間関係完全リセット」という極端なことになってしまうので、その前に何とか手を打った方がいいと思う。疲れ果ててしまった人には届かないメッセージかもしれないが、そう思う。

野良犬の女たち
『野良犬の女たち ジャパン・ディープナイト(鈴木 傾城)』

ブラックアジア会員登録はこちら

CTA-IMAGE ブラックアジアでは有料会員を募集しています。表記事を読んで関心を持たれた方は、よりディープな世界へお越し下さい。膨大な過去記事、新着記事がすべて読めます。売春、暴力、殺人、狂気。決して表に出てこない社会の強烈なアンダーグラウンドがあります。

心理カテゴリの最新記事