「寝ないことが素晴らしい」というゆがんだ価値観の中で勝ち組になる簡単な方法

「寝ないことが素晴らしい」というゆがんだ価値観の中で勝ち組になる簡単な方法

相手を睡眠不足にさせるのは、相手の判断能力を奪うための「手法」である。睡眠不足の人は判断能力が低下している。とすれば、「寝ないことが素晴らしい」というゆがんだ価値観の中で勝ち組になる簡単な方法があることに気づくはずだ。それを説明したい。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

「寝ないことが素晴らしい」というゆがんだ価値観

経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人は先進国33ヵ国の中で最も睡眠時間が「足りない」生活をしている。世界の平均睡眠時間は8時間28分だが、日本人の
平均睡眠時間は7時間22分であった。1時間6分も睡眠時間が短いと言える。

しかし、実は7時間22分かそれ以上も眠れている人は子供だとか高齢者であって、普通に働いている人はもっと短いかもしれない。たとえば、1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は男性が37・5%、女性は40・6%であったと厚生労働省は発表している。

日本人女性は世界でもっとも睡眠時間が足りない女性なのかもしれない。

先日、私が話をした女性も「睡眠時間は5時間くらいしかない」と言っていた。彼女は恒常的に疲れを訴えていて、「1か月のうちに何回かは倒れるように一日寝ていて調整している」というのだが、身体に良くないことは確かだ。

私自身は20代からずっと昼夜逆転の生活のほうが長くて、実は今も完全に昼夜逆転の生活を送っていて表社会の人たちとはまったく生活が合わないのだが、睡眠時間は仮眠も加えるとトータルで一日8時間は取れているように思う。

「普通は6時間、仮眠を加えると8時間」と言うと「よく寝ていますね」と言われるのだが、南アフリカ人は9時間13分だとうことなので、これからは「いや、南アフリカ人に負けますよ」と返すようにしようと思っている。

それはともかく、日本人は睡眠時間が圧倒的に足りなくて、しかも日本人は「寝ないことが素晴らしい」というゆがんだ価値観もあって、常に疲れ果てている人が多い。睡眠不足であることが「仕事熱心」と評価されることもあるのだが、それが異常だと気づいていない人すらもいる。

しかし、睡眠不足を誇示したり自慢したり褒めたりするのは、あらゆる観点から見て「異常」なのである。

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「私はいつも睡眠不足です」と言っている人は……

捕虜の身体を傷つけないで拷問する方法がある。それは、ありとあらゆる方法で捕虜の睡眠を妨げることだ。「睡眠を取らせない」というのは精神を破壊し、肉体を極度の疲弊に追いやるもっとも効果的な拷問なのである。

睡眠不足に追いやるのは「拷問」なのである。

カルト教団が信者を洗脳する方法のひとつとしても、睡眠不足は効果的に使われる。修行と称して睡眠時間を極度に削らせてると、全員が疲労困憊して判断能力が鈍っていく。そのときを待って教祖の都合の良い教義を叩き込む。

通常であれば批判的な精神がある人であっても、極限まで疲弊していると判断能力を失っているので流し込まれた教義が無批判に脳に入り込む。そうやって、睡眠不足は洗脳に利用されるのだ。

ブラック企業が社員を長時間労働で睡眠不足にするのも、それで正常な判断力を奪えるので社員を奴隷化しやすいからだとも言える。それを意識して社員をコントロールする経営者もいるので危険極まりない。

相手を睡眠不足にさせるのは、相手の判断能力を奪うための「手法」なのである。

ここまでわかると、「寝ないことが素晴らしい」という価値観は、相当「ゆがんでいる」というのが理解できるはずだ。

「私はいつも睡眠不足です」と言っている人は、「私は判断能力が低下しているのでいつでも騙してください」と言っているようなものなのだ。

睡眠不足は、倦怠感、極度の疲労、病気、ストレス、不安、怒り、悲しみ、うつ病を誘発しやすく、判断力を低下させる主な原因となる。「睡眠不足=判断力の低下」なのであれば、それを自慢する人は少し頭が足りないか、すっかり誤った価値観に毒された人であるというのがわかる。

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睡眠不足による判断力の低下は想像以上に深刻

睡眠不足は心身を著しく疲労させる。脳の機能も低下し判断力が鈍る。それは、自分自身が睡眠不足でフラフラになっているときのことを考えれば、誰しも思い当たるフシがあるはずだ。

大切な約束をすっぽかしたり、やるべきことを忘れたり、うまくできなかったり、普通ならしない失敗をしてしまうこともある。時には重大な事故を起こしたりすることもある。

ある大学の研究では、「睡眠時間が5時間に満たない場合、自動車事故のリスクが約2倍になる」という事実を発表している。アルコールを飲んだら判断力が低下するのは誰でも知っているが、睡眠時間が5時間に満たない場合もアルコールを飲んでいるのと同等の状態になる。

日本でもトラックの運転手が衝突事故を起こして一瞬にして何人もの人の命が失われる事故が何度も起きているのだが、こうした事故も要因として「ドライバーの睡眠不足」が筆頭に挙げられることが多い。

睡眠不足による判断力の低下は、想像以上に深刻なものなのである。

判断力が鈍ると生き方を間違い、行動を間違い、判断を間違い、最後は人生を間違う。正しい判断ができないのだから失敗が積み上がっていき、それによって目標や予定が達成できなくなり、最後に自壊する。

睡眠不足によってそういう事態を招くのであれば、「俺は寝てない」と言うのが自慢になる社会がいかにおかしくて、さらに睡眠不足を自慢する人がいかに頭がおかしくなっているのかがわかるはずだ。

そんなものは自慢にもならないし、職業人としてはむしろ「失格」でもある。「俺は寝なくても平気だ」という人もいるが、本人は気づいていないだけで徐々に心身が蝕まれている。最後にそれが露呈する。

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30%〜40%の睡眠不足の人間に差を広げて勝てる

体質的に短時間睡眠でも大丈夫な人が「稀に」いるのだが、ほとんどの人はそうではない。そういう人が数パーセントの割合でいたとしても、自分がそれを真似るのは愚の骨頂であるということだ。

結論から言うと、しっかり寝たほうがメリットが大きい。

もし、「寝ないことが素晴らしい」という、どうしようもない価値観を多くの人が持っている社会なのであれば、それに染まるのではなく、自分だけそこから脱して「しっかり寝ておく」のが正しい。

それによって自分の心身を守ることができて、なおかつ「寝ないことが素晴らしい」と思って判断力を低下させている人を労せずに出し抜けるからだ。

つまり、しっかり寝るというのは、「寝ないことが素晴らしい」というゆがんだ価値観の中で勝ち組になる一番簡単な方法なのである。

「俺は寝てない」と言っている人も、実は誰も見ていないところでしっかり寝ていたりすることもあるはずだ。よく、家で必死で勉強していても「勉強はしていない」と言う学生がいるのと同じで、それで相手を出し抜けるからそう言っている。

日本人の30%から40%が睡眠不足なのであれば、あなただけはしっかり寝ていれば、長期的に見るとあなたは間違いなく30%〜40%の睡眠不足の人間に差を広げて勝つことが可能になる。

彼らは判断力の低下によってミスを積み上げる。逆にしっかり寝ている人は、判断力の向上によって正しさを積み上げていく。それが複利のように効いてくる。

やるべきことは簡単だ。さっさと寝て、良質な睡眠をたっぷり取ればいい。それで健康になって判断力が向上して勝ち組になれるのであれば、実に効果的な行動であると思わないだろうか?

書籍
『邪悪な世界の落とし穴 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナにおちる(鈴木 傾城)』

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