将来に展望を見出せず、やりたいこともなく、何となく空虚に生きていて、親にも理解されず、学校でもいじめられ、落ちこぼれ、行き場を失い、自分が何のために生きているのかを見失う若者たちがいる。
常に挫折感を心に抱き、生きるのがつらく、苦しく、この世に自分の存在感がまったくないように思え、その悲しみから逃れることができない。こうした若者を惹きつけるのがドラッグである。
2020年に相鉄線の瀬谷駅で飛び降り自殺した17歳の女子高生も、さまざまな抗うつ剤を飲んでいてSNSに錠剤の写真をアップし、これらの薬をオーバードーズしていたことを綴っていた。彼女はいくつかの薬剤の写真をアップして、その薬が「かわいい」と書いていた。
欧米ではどこでもコカインや覚醒剤(メス)やヘロインなどの強烈なハードドラッグが手に入る環境にあり、マリファナなんかはもはやドラッグに入らないほど普及しているのだが、日本ではこれらのハードドラッグを普通の10代の若者が手に入れるのはとても難しい。
2010年代頃までは危険ドラッグが広がっていて歌舞伎町の雑居ビルの一角でも、危険ドラッグを販売する店があったりしたのだが、依存者が危険ドラッグで酩酊したまま車を運転して歩道に突っ込むような事件が多発したことで、この危険ドラッグも厳しく規制されていくことになった。
ハードドラッグも危険ドラッグも手に入らない若者たちは、それでどうしたのかというと……