書籍『病み、闇。 ゾンビになる若者、ジョーカーになる若者』では、若者たちのOD(オーバードーズ)について取り上げて、何人もの若者に話を聞いたが、この薬物の過剰摂取は私が想像している以上に若者たちの間で広がっていて恐ろしかった。
この書籍の副題にある「ゾンビになる若者」と言うのは、まさにオーバードーズしてゾンビのようになる若者のことを指している。ちなみにゾンビというのは、取材したオーバードーズの女性のひとりが「ゾンビはかっこいい」と私に話したことから副題に取り上げた。
なぜ、彼女は「ゾンビがかっこいい」と言ったのかというと、「死んでいるから」と答えている。それだけ彼女たちにとって〝死〟は身近であるというのがこうした傾向からも分かるはずだ。
こうした事態を重く受けて、NHKなども『オーバードーズ(OD)市販薬の過剰摂取でどうなる?「命に危険が及ぶケースも」当事者との関わり方とは?』でODを取り上げたりしている。
そこで、NHKの取材班は「オーバードーズをするのは8割が女性」という事実や、「オーバードーズをやめたい思いはあるものの、それ以外に気持ちを楽にする方法を見つけることができず、何度も繰り返してしまう様子がうかがえる」という内容のことを取り上げている。
普通、私たちは「オーバードーズをしている女の子たちは、危険を感じたら止めたいと思うはず」という思い込みがある。NHKの取材班も根底には止めさせたいという気持ちがあるようで、「オーバードーズをいかに止めるか」や、その対策などに重きを置いている。
しかし、現実は違うのだ。私が取材した女の子たちは誰も「やめたい」なんか言っていなかった。まったくの逆で「最後までやる」と言っているのである。
コメントを書く