2024年6月2日、メキシコの大統領選挙でクラウディア・シェインバウム氏が勝利し、メキシコ初の女性大統領として10月に就任する予定となっている。
今回の大統領戦でもドラッグ・カルテル(麻薬組織)による暴力や政治家への攻撃が多発して、政治家本人やその関係者を含め、200人近くが殺されている。
本来であれば、こうしたドラッグ・カルテルによる凄まじい暴力は、メキシコ最大の社会問題であり、これを是正しなければならないはずだ。ところが、クラウディア・シェインバウムはドラッグ・カルテルについて、どのように対処するのか、何も語っていない。
なぜなら、ドラッグ・カルテルに対立的なことを発言した瞬間に、いつでもどこでも暗殺の危険性があるからだ。
メキシコでは現在、約50のカルテルの存在が確認されており、その中でも「シナロア」と「ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」が強大な二大組織となっている。彼らは政治家・警察・軍人・判事のすべてと密接に癒着しており、敵はどこにでもいる。
ドラッグ対策を担当していた高官自身もドラッグ・カルテルとかかわっていたケースもある。大統領であっても、ドラッグ・カルテルが恐ろしくて何もいえない。それが、メキシコの現状だったのだ。
いや、もしかしたらクラウディア・シェインバウムは、最初からドラッグ・カルテルとは戦う気もないのかもしれない。
なぜなら、ドラッグについては「娯楽目的でのマリファナの非犯罪化を断固として進める。もっとも重要なことは、若者を犯罪としないこと」といって、ドラッグにはどちらかというと容認する方向にあるからだ。
ドラッグ・カルテルの撲滅に首を突っ込んだら自分が殺される。わざわざ殺されるような真似はしないで、他のことをしようとクラウディア・シェインバウムが考えても不思議ではない。