書籍『野良犬の女たち ジャパン・ディープナイト』で、「倒れる寸前の女性がやってくるとは」という内容を書いたことがある。最近、場末のデリヘルに所属していたあの女性のことを、再び思い返す機会があった。
理由は2つある。
1つは、先日、歌舞伎町を歩いていたときに、彼女とよく似た女性が虚ろな目をして歌舞伎町を歩いていたからだ。その彼女が「あのとき」の彼女だったのかどうかは分からない。
しかし、雰囲気がよく似ていたので「そういえば、そんな女性もいた」と思い出したのだった。
あのときの彼女はフラフラになりながら仕事をしていた。あまりにも様子がおかしいので、私はすぐに彼女を店に引き渡して別れたのだが、彼女のあの尋常ではない様子は、同じ空間にいるだけで恐ろしかった。
彼女が恐ろしかったのではなくて、彼女がそのまま倒れて死んでしまうかもしれない瀬戸際にあることが恐ろしかったのだ。
そして偶然なのだが、その日の夜、元タレントの坂口杏里が離婚したという記事を読んだ。その中で不意に「精神不安定な彼女が薬漬けになっている」という元夫の言葉が出てきて、私はそこに目をとめた。
彼女と離婚したトランスの元夫はこのように語っていた。
『彼女は僕と出会う前から、おそらく10年近く、2種類の強い睡眠薬を服用していて、それを1日数十錠単位で飲み続けていました』……。