プーチン大統領がウクライナに侵攻して、欧米は矢継ぎ早にロシアに対して経済制裁を行っている。
ロシアを国際金融決済から排除。ロシア金融機関の海外資産の凍結。半導体輸出を規制。ロシア航空機の領空通過を禁止。YouTube、ロシアのチャンネルと収益化を制限。Apple Pay、Google Payの利用を停止……。
恐らくロシア人は明日から必死で貯金を引き下ろそうとするので、場合によっては取り付け騒ぎのようなことも起こり得ると思う。
「国際決済は海外資産を持っている人間だけが問題なので、国内はそのままルーブルが使えるのだから貯金を引き下ろす必要はないのでは?」と思う人もいるかもしれない。いや、物事はそれほど単純ではない。
ロシアが国際金融決済から排除されることによって起こるのは、ルーブルという通貨の価値の毀損だ。つまり、ルーブルは一気に信用を喪失して紙くずに近づいていく。自分の貯金が目減りする。
それであれば、少し頭の回る人であれば「とにかく持っているルーブルをすぐにゴールドなどに変えておかなければ……」と思うはずだ。ロシアは1998年にデフォルト宣言してルーブルが紙くず同然になったこともあるのだが、そういうことを経験してきたロシア人はルーブルなんか信用しない。
だから、ルーブルを売ってゴールドでも何でもいいから他の現物資産に代えねば……と考えて当然である。だから国際金融決済から排除は、国民にも甚大なダメージを与えてルーブルを売りたいロシア人が必死になる。