観光立国であるタイ王国はコロナ禍で観光事業が壊滅的ダメージを受けてしまった。そこでタイ政府は2022年に何をしたのか。外国人観光客を呼び戻すため、一発逆転の秘策である「マリファナ解禁」を一気に決めたのである。
これによって合法化されたタイのマリファナ産業は一瞬にして活性化した。
今はあまりにも誰もがマリファナ売りに参加するので、大きな社会問題となってしまっている。タイの野党はマリファナ解禁を激しく批判し、「マリファナが入口になってハードドラッグの蔓延も止められないだろう」と憂慮するほどである。
もともと、タイは覚醒剤《ヤーバー》からヘロインまでが大量に流通していた国であり、ドラッグ依存者も多い。私の知り合いにもドラッグ依存者はいたし、ドラッグはどこでも手軽に手に入った。ドラッグは日常である。
マリファナ解禁がこのまま継続していくのであれば、5年後から10年後はハードドラッグが次の社会問題になっているのではないかというのは十分に考えられる。
この世の憂さを晴らしたい人は大勢いるし、ドラッグは簡単に快楽を得られるのだから、流通が増えたら依存者も増えて当然なのだ。
日本でもマリファナの逮捕者が右肩上がりで増えているのだが、日本も貧困層が増えれば、ドラッグでむしゃくしゃした気持ちを一掃して多幸感を得たいと思う人たちも増えて、それに手を出すようになる。
ドラッグは貧困層から広がるので、貧困層が増えるのであればドラッグ人口も間違いなく増える。
では、供給はどうか。日本は多文化共生も進んでいるので、外国人が儲かるビジネスとしてドラッグ売買に乗り出して供給するようになる。需要と供給が生まれているのだから、日本も欧米並みのドラッグが蔓延してもまったく不思議ではない。
これに気づいている日本人はまだ少ないが……。