低所得層は病みやすい。それは栄養価が偏っているか不足しているからでもある。しかし、そもそも栄養が足りなくなるのは、その前にカネが足りないからである。カネが足りないと、どうしても生活のいろんなところに歪みが生まれてくる。ギリギリで生活しているので、出費が嵩むと途端に経済的な問題が起きる。家賃に追われる。電気・ガス・水道・電話代が足りなくなり、どうやって金を工面するか、必死で考えないといけなくなる。食費は真っ先に削られるべき性質のものだ。思いあまって万引きに走る人も増えている。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
金持ちは低所得層よりも健康に気を使うことができる
低所得層は心身共に病みやすい。身体も病みやすいし、心も病みやすい。
かつて肥満や糖尿病は富裕層の病気であると言われていたが最近は逆だ。低所得層ほど肥満や糖尿病になりやすい。(マネーボイス:日本の貧困層は飢えずに太る。糖尿病患者の半数以上が年収200万円未満の衝撃=鈴木傾城)
厚生労働省が発表している「平成26年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、年収200万円未満の低所得層と年収600万円以上の高所得層を比べて以下の現実を指摘した。
炭水化物の摂取量は低所得層の方が多い。運動習慣のない人は低所得層の方が多い。タバコを吸う人は低所得層の方が多い。肥満は低所得層の方が多い。
野菜の摂取量は高所得層の方が多い。肉類の摂取量は高所得層の方が多い。歩く量は高所得層の方が多い。睡眠は高所得層の方が多い。
さらに食品を選択する際に気を付ける点として、「栄養価、季節感、安全性、鮮度、おいしさ、好み、量」については、すべて高所得層が低所得層よりもこだわりが強く、同じ食品を買うにも健康に気を付けていることが判明した。
これらの統計が指し示している事実は非常にシンプルなものであり、たったひとことで表現できる。
「金持ちは低所得層よりも健康に気を使うことができる」
金持ちは何かあればすぐに医者にかかることができるし、高額な治療費を払うこともできるし、医師から生活のアドバイスを受けることもできる。いくつものサプリメントを買うこともできる。
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高所得層は、健康に良い方向を選択する傾向が強い
もちろん、この統計は「傾向」であって、すべての個人にぴったりと当てはまるものではない。
個人個人で見ると、低所得層でも健康に気を付けている人がいる一方で、金持ちでもまったく健康に気を使わない人もいる。(ブラックアジア:低所得層も富裕層もみんなジャンクフードの虜になる現代社会)
さらに、こうした統計の細かいデータを見ると、低所得層でも高所得層でも、それぞれの差はそれほど大きなものではなく、ほんの数%の違いであることにも気付く。
しかし、その数%が差を生み出すのである。
高所得層は「健康に良い食品を選択する」傾向が強いので、長い目で見ると健康状態がより良い方向を指し示す。逆に低所得層は「健康よりも安い食品を選択する」傾向が強いので、長い目で見ると健康状態が劣化していく。
ただ、低所得層も健康的な食品を絶対に買えないのかと言えばまったくそうではない。ほどほどの価格で手に入る野菜や健康な食品も多い。
しかし、インスタント食品・加工食品が激安で売っているのであれば、ほどほどの価格の健康に良い食品よりも、つい激安の食品に方を手にすることになる。
1ヶ月や2ヶ月くらいはそうした食品を食べ続けたとしても、まったく身体にも健康にも変化がない。だからそれを延々と食べ続ける。それが長期に渡ると次第に健康を害していくことになり、決定的な差となっていくのである。
低所得層は身体の病気だけでなく、心の病気にもなりやすい。それも、実は偏食による特定栄養素の不足から来ていると分析する医師もいる。
「自律神経失調症や鬱病は、栄養の不足や偏りが原因のひとつになっている可能性がある」と言うのは、もうずいぶん昔から指摘されている。ミネラルやビタミンやタンパク質が足りなくなると、身体だけでなく精神にも変調をきたすのだ。
1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから
低所得であることが負のスパイラルを生み出す
低所得層は病みやすい。それは栄養価が偏っているか不足しているからでもある。
しかし、そもそも栄養が足りなくなるのは、その前にカネが足りないからである。カネが足りないと、どうしても生活のいろんなところに歪みが生まれてくる。
ギリギリで生活しているので、出費が嵩むと途端に経済的な問題が起きる。
家賃に追われる。電気・ガス・水道・電話代が足りなくなり、どうやって金を工面するか、必死で考えないといけなくなる。食費は真っ先に削られるべき性質のものだ。思いあまって万引きに走る人も増えている。(ブラックアジア:私たちは、これから何度も高齢者の万引きを目撃するのか?)
食費を削ると集中力も失い、体力も気力もなくなり、病気や怪我をしやすくなる。病気になっても自分の身体よりも医療費が心配で病院にも行かずに我慢して病気を慢性化したり悪化させたりすることもある。
明るい気持ちになれず、精神的にも追い詰められる。場合によっては生活の不安と心配がかさんで、よく眠れなくなってしまうこともある。
それで精神の安定が得られる人がいれば、大したものだ。多くの人は経済的に困窮すればするほど激しいストレスにさらされ、精神の安定を失って心もまた荒んでいく。
その心の荒廃が悪化してどうにもならなくなった結果が、自律神経失調症や鬱病なのである。自律神経失調症や鬱病は「心が壊れた」状態だ。心が壊れている時はまともに仕事をこなすこともできない。仕事に集中できないどころか、仕事に行くことすらもできない。
そうすると、ますます収入が減る。場合によっては無所得になってしまうこともある。無所得になるとまともな食品が食べられなくなり、栄養状態は極度に悪化する。
それがまた「低所得層の病みやすさ」を誘発する。まさに低所得であることが負のスパイラルを生み出す。
地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから
低所得層にとって、最も効く精神安定剤とは何か
低所得の危険な負のスパイラルから抜け出すには、収入を増やすか、もしくは貯金を増やすか、その両方を同時に行うかのいずれしかない。
収入を増やすというのがすぐに難しいことであるならば、収入を減らさないように長く維持できる状態を作り上げておいて、「生活をダウングレードしながら貯金を増やす」というのが、最も現実的で重要な行動指針となる。
心が壊れると医師はいろんな精神安定剤をくれる。しかし、精神安定剤は長い目で見ると役に立たない。薬は次第に効かなくなり、さらに副作用が現れるようになり、より状況を悪化させるからだ。
低所得層に必要なのは、精神安定剤よりも「貯金」だ。
不意のトラブル、不意の問題が起きても、貯金があれば当座をしのぐことができる。それが分かっていれば、心の余裕もゆとりもできる。安心して眠ることもできる。最善の手を探る時間的余裕もある。
「貯金」は、心を壊さないための、最も強力で役に立つ精神安定剤である。
貧困に堕ちた他人を毎月助けてくれる物好きな人間はいない。自分の身は自分で守らなければならないのが自立した人間の掟(おきて)である。
自分の身を守るという具体的指針が、「貯金をする」ということなのである。「金を貯める」というのは、面白味がなく、意外性もなく、地味でつまらない行為のように思えるかもしれない。
そして「貯金しろ」と他人に言われると、まるで今の自分がやるべきことをやっていないかのように言われているようで腹も立つ。「余計なお世話」だと思う。
しかし、問題を解決するための原理・原則というのは、本来は「当たり前」の上に成り立っている。物事の本質は、奇抜なものでも斬新なものでもなく、常識的なものだ。
だから、低所得であればあるほど、地味に手堅く「当たり前」を実行する必要がある。その基本が「貯金」である。
低所得層こそが貯金をしなければならないのは、生活を守り、きちんとした食事を手に入れ、心を壊さないための精神安定剤を手に入れるためなのである。はっきり言おう。貯金は低所得層にとっては、どんな精神安定剤よりも抜群に効く。
貧乏の程度にもよりますが、もしわずかでも翌月に繰越せるお金があるならば、まずは100万貯めるのを目標にすると良いと思います。目標5万とか10万とか言ってちゃいけません(中高生ならよし)
100万到達まで数年、いや10年かそれ以上かかろうとも、100万を目指すのです。貯金に回したお金は存在しないものとして日々をしのいでゆくのです。不測の事態で少しでも貯金に手をつけざるを得ない場合は悔しくて三日は眠れないぐらいになると丁度いいです。何故まずは100万と主張するかというと、100万到達後は多少の目減りとそこからの回復に強くなるからです。5万10万など少しの気の緩みですぐに溶けます。そこで気持ちが折れてしまう。
100万到達する頃にはもう貯金スキルは充分練られていますから、その調子で300でも500でも目指すことができます。
こうして真面目にこつこつ貯めたお金が紙屑になるというハイパーインフレはまじで怖いですから、ある程度貯まったら、一部を丈夫な多国籍企業の株や、人によってはゴールドとか、そういうのに変えておくのがいいと思います。
私も後ろ盾など無いので、こつこつがんばっとります!
署名忘れましたauroreでえす。
仕事柄ですが、低所得者層と生活保護者が多数入居している賃貸マンションを管理しております
(真面目でない)彼らに共通していることは、「不測に備えて貯金しよう!」とか「節約して備えよう!」
といった考えを持っている割合が非常に低いです
まぁ、真面目でないので当たり前かもしれませんが、金が入れば1週間もたたずに使い切る人もいております
自分の気持ちをコントロールするのは、言うは易く行うは難しですが、気持ちというかココロをコントロール
して生活を改善して貯金をつくり、アンダー層から立ち直った人も同じように多数みてきました
ココロは、コロコロと気持ちが変わるから、心(こころ)と偉い人はよく言ったものです
お金は何にも勝る精神安定剤、ほんとにそうです。
土日祝日なしかつ変則シフトで働き続けてたので、逆に平日銀行開いてる時間に積み立て貯金から天引き貯金を始めました。
子供のおかげで爪に火を灯すように貯めたら即無くなる(ケアの必要な子供に面倒見のよい学校や療育塾をと考えると、貧困一人親にはとんでもない額のお金が飛んでいく)生活を送ってましたが、それでも少しずつ貯まっていった。
ブラックアジアのお金に関する記事を読み、友人の勧めで投信も始めたら貯金よりずっと割りが良く驚きました。(元本保証の大手銀行のセット。個人でやるため勉強する時間と気力はまだありません)
どんなに悲しく苦しい事の多い人生でも、情報を得て、忍耐があればお金が貯まっていくのを確認するだけで安心感と自己肯定感が高まります。
今の目標は積み立てで百万円、投信で百万円、普通預金で百万円ある事です。まだ道のりは遥かに遠いけど。
ささやかですか?でもこれは以前なら実現不可能に感じる夢まぼろしでした。
それから子供のため栄養のある何かを(時短で)自炊し続けていたのもプラスになったと思えて嬉しい。近所のどこでいつ安い国産野菜、肉が入手できるか全部知ってます(笑)
いつも自分が病気にならないことを願ってます。頑張る事ができるので。泣いても悲しくても仕事はできます。酒、薬、ギャンブル、くず男を避ければ!(多分)
昨日夜にビートたけしの番組に、買い物依存症で数百万円の借金がある50代派遣社員が出ていましたが、悲惨の一言でした。
私自身誇れる人間ではありませんが、同じ依存でも貯蓄に依存したいと彼を見て思いました。
それはその通りですが
下流層は最初は苦しくてもコツコツ労働して
しょぼい賃金でもなるべく貯蓄し、投資に回し
不労所得を得るということができないからずっと底辺なので
これはもうどうやっても格差は改善できないです。