芸人が素人の女性に手を出して叩かれているのだが、私自身は事件そのものよりも、社会の変化のほうに関心がある。
すでに時代はキャンセル・カルチャー(集中的な批判を浴びせて対象を表社会から排除する動き)となっている。不品行を攻撃された人間は、下手したら完全に消し去られることになる。
しかし、その程度がどうであれ、人間は長く生きていればいくらでも不品行を経験しているのも事実だ。要するにキャンセル・カルチャーは誰にでも降りかかる問題でもある。
もちろん、不品行にもレベルがある。レイプだとか、未成年淫行だとか、暴力などは批判されて然るべきだ。しかし、不倫だとか、風俗通いだとか、痴話喧嘩だとか、アルコールの失態なんかは本人と家族の問題である。こういうのでも社会的に抹殺するのは行き過ぎにも見える。
たしかにそれは褒められたことではないかもしれないが、叩きのめして社会から抹殺するほどでもない。とは言っても、今は「溺れる犬は叩きのめして殺してしまえ」の時代なので、いったんキャンセル・カルチャーのターゲットになると、嵐のような批判が湧き上がって社会的に抹殺されることになる。
改めて言うが、著名人や公人だけがキャンセル・カルチャーの対象になるわけではない。目立つ人間はターゲットにされやすいが、普通の人間であっても馬鹿な言動をしてターゲットになったら一瞬で社会から抹殺されてしまう恐れがある。
現に、学生でも一般女性でも普通のサラリーマンでも、SNSで不用意な発言をしたり、悪ふざけの動画を何気なく上げたことによって人生が破壊されるほどの非難や批判を浴びて社会的に再起不能なまでに追い込まれたケースも見かける。
そういう世の中になってしまったのである。明日は、あなたがキャンセル・カルチャーの対象になってしまうのかもしれないのだ。私はどうか。私だって、これから何があるのかわからない。