『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々』電子書籍化(完結)

『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々』電子書籍化(完結)

本日は、『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々』電子書籍化しております。『売春地帯をさまよい歩いた日々』は、これでほぼすべてコンテンツ化が終わり、これにてシリーズが完結したと考えて頂いて構いません。たくさんの書籍化に付き合って頂き感謝致します。

『売春地帯をさまよい歩いた日々』はこれで完結です

ブラックアジア内のあちこちに散らばっていた『売春地帯をさまよい歩いた日々』の多くのコンテンツのうち、正編から漏れたコンテンツを「外伝1」「外伝2」と分けて出しました。ブラックアジア内の「はぐれコンテンツ」についてもこれですべて収録が終わり、『売春地帯をさまよい歩いた日々』はこれで完結です。全9巻となりました。

『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々』

外伝2の方は、バンコクのスクンビット通りで知り合った黒人女性のことや、シンガポールの売春地帯『ゲイラン』で知り合ったスリランカ女性、そしてインドネシア・リアウ諸島で知り合った、やや系統が違う女性たちなどを含めております。そして、巻末に私が好きだったスリランカ女性であったリーパの話も収録しました。

東南アジアの売春地帯は広大な範囲に広がっていて、私がさまよい歩いてきたのは、ほんの氷山の一角であると言えます。

リアウ諸島の超巨大な売春地帯はほとんど知られていなかったのでインターネットでもほとんど情報が上がりませんでした。私自身も文章は書いても場所は絶対に誰にも言わなかったので、ほぼ私が独占していた売春地帯であったと思います。

今も、恐らく東南アジアの真夜中を駆け抜けている多くのハイエナが「誰にも言わない」で隠している売春地帯がたくさんあるはずです。私自身が取りこぼした売春地帯は山ほどあります。

ベトナム、ミャンマー、マレーシアについては私はまったく言及していません。こういう場所にも秘した売春地帯はたくさんあるのです。

また、今後は私たちが馴染みの売春地帯であっても、コロナ禍でグローバルな人の行き来が途絶えた結果、状況が変化して廃れる売春地帯と新しく生まれる売春地帯が出て混迷を迎えることもあるはずです。

私自身は、恐らく今後もアンダーグラウンドをさまよい歩くとは思いますが、大きなボリュームとなるほど分量が新たに書けるかどうかは未知数です。

そんな私に代わって、恐らく新しい世代が新しいスタイルの『売春地帯をさまよい歩いた日々』を後世にそれを記録として残していくでしょう。

鈴木傾城の『売春地帯をさまよい歩いた日々』の後を継ぐ男が、どんな売春地帯を発見し、記していくのか、今度は私自身が読者として楽しみに待ちたいと思います。

『売春地帯をさまよい歩いた日々』を読んで下さったすべての読者に感謝します。

ちなみに、このサイトはもちろん新しいコンテンツをこれから生み出し続けていきたいと思っております。これからも引き続き、どうぞよろしくお願い致します。

(鈴木傾城)

『売春地帯をさまよい歩いた日々』外伝2

収録されているコンテンツ

二〇一四年。久しぶりにタイの首都バンコクの夜をさまよい歩いていると、ちょうどソイ・アソークは反タクシン派に道路封鎖されて、大勢の人々が気炎を上げているところだった。ソイ・アソークと言えば売春ストリートであるソイ・カウボーイが近くにあるので寄ってみると、ほとんど客がおらず閑散としていた。女性たちが店に誘うが、あまり惹かれることもなく、様子だけを見てからすぐにそこを抜けて、今度は歩いてナナまで行ってみる。淫靡《いんび》な歓楽地であるナナ・プラザも久しぶりだったが、やはり一周してすぐに関心を失って...
二〇一九年。真夜中のスクンビット通りはストリート売春をするタイの女たちで溢れているのだが、アラブ人街から歩いてそうした女たちを見つめながらスカイトレインのナナ駅近くまでぶらぶらと歩く。私の前にでっぷりと太ったアラブ人女性とその家族が歩いていて道をふさいでいるのだが、その歩みがゆっくりなので私もそれに合わせてゆっくりとまわりを見ながら歩いていた。スクンビット通りは以前とそれほど変わりはない。しかし、ストリート売春をする女たちの数は以前よりも減っているような気がする。一時的なもので季節的な要因が...
タイのパッポンやナナやソイ・カウボーイは派手な女たちで彩られている。その裏側でヤワラーやルンピニー公園の暗闇でひっそりと立つ女たちの存在もある。売春ビジネスの世界の表と裏だ。プノンペンもまた、売春ビジネスに表側と裏側を作り出しているように見える。現代のプノンペンの売春ビジネスはリバーサイドのガールズ・バーが制したのだというのは、プノンペンに来て一日目ですぐに分かった。もはや売春する女性を、荒んだ小屋に詰め込んだような売春宿は時代遅れとなっている。今やケバケバしいネオンと、原色の服を着た派手な...
カンボジア・プノンペンの136ストリートには、今や数多くのガールズ・バーがひしめいており、それがプノンペンの歓楽街の中心となっている。それぞれの店が女性を常時10人から20人ほど用意して中には24時間営業で女性をシフトさせながら営業している店もあって、それぞれに欧米人の客が入っている。どこの店も店頭に数人の女性が客寄せしており、その声に釣られて店の中に入ると、大勢の女性が顔見せにやってくる。そして男は気に入った女性をひとり選んで談笑したり軽いスキンシップをしながら会話し、気に入ったらペイバーするし、合...
ゲイラン・ストリートのLor20を入ると、すぐに右側に折れる小路がある。食堂「三友斉」の裏に当たり、夜中に行くと外灯のない小路は闇に吸い込まれるように暗い。小路に入る入口も奥もインド系の男たちで溢れ、人種の違うアジア系が入って行くと全員がよそ者を見るような目つきでこちらを注視する。アジア系が主のゲイランでもこの小路だけはインド系が多数を占めており、それ以外の人間が「よそ者」になるのだ。構わず小路の奥へと入って行くと、サリーを着た女たちが思い思いの格好で立ったり座ったりして客を待っている。スリランカ...
ゲイラン・ストリートがシンガポールにおける置屋街の代表だとしたら、オーチャード・タワーは売春ディスコ群の代表になる。そして中でもクレイジー・ホースは現在のオーチャード・タワーのディスコの中ではダントツの人気を得ている。真夜中にオーチャード・タワーへ出入りする女性たちは99パーセント売春女性たちだ。当然、クレイジー・ホースに出入りする女性もまたそうだ。店内には英語が飛び交い、彼女たちは英語の渦の中を泳ぎ回って相手を捜す。オーチャード・ロードの西の外れにオーチャード・タワーはある。昼間は欧米人御用...
夜の零時過ぎ、シンガポールのオーチャード・タワー4階にあるディスコ「クレイジー・ホース」に行く。すでに顔馴染みになった女たちが入口であきれたような顔で笑いかけてきた。二日も三日もこんなところに通う客も珍しいに違いない。どうかしてる、と彼女たちの顔には書いてあった。彼女たちはビジネスで建物の内外に立っているが、男は連日連夜遊び回っていることになる。たしかに「どうかしてる」と思われてもしかたがない。しかし、やはり知らない顔よりも知った顔の方が彼女たちには気が楽なようで、三日目にもなると顔馴染みと...
貧しい国、悲惨な境遇、追い詰められた女、絶望……。そう並べると、女性たちは誰もが意気消沈して暗い目をしているという光景が目に浮かぶと思う。それは正しくもあり、間違ってもいる。女性たちの態度は、ひとりとして同じではない。確かに押しつぶされている女性も圧倒的に多い。ところが、中には信じられないほどの傍若無人の態度と、度胸と、果てしない強情な性格を持った女性もいる。一瞬も気を緩めることができそうにない、根っからの悪女である。セクシーだけれども、狡猾で、傲慢で、協調性のかけらもない女。Foxy Lady(悪賢く...
南国インドネシアのリアウ諸島は新鮮な果物や魚介類が採れてうまい食事に事欠くことがない。パサル(市場)に行くと肉も野菜も果物も魚も豊富に山積みされている。よく分からないものがたくさんあるので、実際に食べるかどうかはともかく、長い間見ていて飽きることがない。高級なホテルのレストランでも、道ばたのワルン(屋台)でも、その国、その地域、その場所で、日本とは違った料理がたくさんある。リアウ諸島・ビンタン島の『ビンタン・プラザ』は、たくさんの屋台が集まったオープンの「屋台村」のようなところだ。シンガポー...
インドネシア・リアウ諸島のカリムン島の売春村『パヤ・ラブ』はひどく遠いところだった。走っている途中で左のヘッドライトが消えてしまうような恐ろしく年季の入ったタクシーが延々と夜の山道を上る。途中で陥没だらけの道となり、サスペンションの劣化したタクシーは弾けるように揺れた。バイクで向かっている男もいたが、やはり陥没のひどい砂利道には難儀しているようで、スピードを落として足をつきながら走っている。バイクの後輪が舞い上げる砂塵でフロントガラスが曇った。やっと売春村『パヤ・ラブ』の入口にたどり着くと遮...
売春地帯。「女の地獄」の生々しい現実は、覆い隠される。多くの男たちはそこに利用価値を見出しているので、誰もが見て見ぬ振りをしている。それは地獄ではないと心から信じている男もいるが、女の選択権を奪っているのだから、支配者側に立っている人間の思考だ。そして、「普通の女性」は関わりたくないという生存本能が働くので、知らないでいいのであれば知らないでおこうと無視を決め込む。途上国の売春地帯の実態は、よほど覚悟した女性でないと直視できない。かくして、堕ちた女の世界は表社会からかき消され、底知れない漆黒...
セックスを動画や写真で記録するのが好きな男たちの存在はもう当たり前のように知られていて、そんなことは改めて言うようなことではない。しかし今はすでにその時代を経て、数年も前から女たちがセックスを記録し始めていることに気づいている人はいるだろうか。男たちが自分の抱いた女を想い出に残したいのであれば、女たちもまた自分の売春相手を想い出に残したいと思っても不思議ではない。いよいよ数年も前からそういう時代に入っていることをひとりの女を通して知ることになった。彼女はインドネシア人で、カリムン島の一角にあ...
二〇一四年。久しぶりにバタム島に行きたくなった。インドネシアに行かなくなった十年以上も経っていた。インドネシア語は、もうほとんどすべて忘れた。しかし、バタム島に向かう船の中で、まわりの人たちが話す言葉のイントネーションを聞いて、懐かしくて仕方がなかった。この優しい響き。この郷愁。好きだった。インドネシアは、私にとってとても大切な想い出に満ち溢れた国で、今もたまらなく愛しい。この言葉を聞いていると、かつて知り合った女性たちの柔らかな笑みが次から次へと浮かんで来て、甘酸っぱい感情がこみ上げてくる...
シンガポール・チャンギ空港に着いたのは夜中だったが、そのままタクシーに乗り込んで、まっすぐにゲイラン・ストリートへ直行した。ゲイランはシンガポールの売春地帯だったが、同時にホテル街でもある。運転手も売春地帯に向かう日本人をさほど奇異に感じないようで、黙ってゲイランまで連れて行ってくれた。ゲイランで適当なホテルに宿を取って時計を見ると、午前二時に近い。ニヤリとした。ゲイランに立つ女たちが増えるのは、午前一時を過ぎた頃だったから、それはハイエナにとってまったく好都合な時間帯だったのだ。すぐにイン...
ブラックアジア
『ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々(一覧)』

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