南国インドネシアのリアウ諸島は新鮮な果物や魚介類が採れてうまい食事に事欠くことがない。
パサル(市場)に行くと肉も野菜も果物も魚も豊富に山積みされている。よく分からないものがたくさんあるので、実際に食べるかどうかはともかく、長い間見ていて飽きることがない。
高級なホテルのレストランでも、道ばたのワルン(屋台)でも、その国、その地域、その場所で、日本とは違った料理がたくさんある。
リアウ諸島・ビンタン島の『ビンタン・プラザ』は、たくさんの屋台が集まったオープンの「屋台村」のようなところだ。シンガポールのホーカーのインドネシア版とでも言うべきかもしれない。
街の中心部から外れているが、地元の人々や中国人たちが古くなったバイクで集い、酒を飲み、飯を食らっている。
この場所には、ふたりの女性の思い出があった。奇しくも、ふたりとも名前がリーナだった。
ひとりはウエイトレスで、もうひとりは華人向けのカラオケ屋で働く女性である。ふたりとも気の優しいかわいい女性であったが、このふたりのどちらも抱くことができなかった。
その日、夜もどっぷりと日が暮れる頃になると、ホテルを出てひとりふらふらと街を歩き、流しのオジェッ(バイク・タクシー)を捕まえて、ビンタン・プラザまで連れて行ってもらった。
広場のようなところのど真ん中に安物のテーブルとイスが見渡す限り並べられており、それを取り囲むように数十軒のワルン(屋台)が集まって、どれもが香ばしい臭いを立てていた。
ナシ・ゴレン、ミー・ゴレン、ナシ・チャンプル、サテ・アヤム、サテ・サピー、ミ・バソなどをその場で作って提供するのである。
テーブルは大勢の人でごった返し、華人に連れ出された夜の女も多かった。
さらにこのワルン集合体を囲むように建物が建っているが、それは現地の男たちが集まるビリヤード場であったり、連れ込みホテルであったりする。入口左わきにはディスコ「クラブ5」も……
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