爆発的に増え続けていく世界人口バブルは経済と違って弾けることはないのか?

爆発的に増え続けていく世界人口バブルは経済と違って弾けることはないのか?

私たちは今、新型コロナウイルスに急襲されているのだが、こうした伝染病以外にも、環境破壊、巨大化する天災、食糧問題、戦争、天変地異……ありとあらゆる環境の激変が人口バブルを崩壊させる要因となり得る。場合によっては複合的な要因が同時進行で襲いかかるかもしれない。すべての人類にとって、これは他人事ではない。何が起きるのか分からないというのは新型コロナウイルスの経緯を見ても明らかだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

新型コロナウイルスは経済バブルを粉々に破壊した

現代文明はグローバル化を突き進んでいたのだが、グローバル化は人々の対立や衝突を極大化させるだけでなく、伝染病の危険性をも極大化させる作用があることを人類は2020年に学習した。

グローバル化をまるで斧で断ち切るかのように寸断した新型コロナウイルスは2019年までの経済バブルを粉々に破壊してしまった。

そして今、一部の人たちが何気なく思っているのは「もうひとつ別のバブルも弾けるのだろうか?」という漠然とした不安でもある。

爆発的に増えたものは、消え去るのも爆発的なまでに早い。急激に増大したものは、破裂し、消えてなくなる。バブルは崩壊する。バブルは経済だけの話ではない。自然界のすべてに見られる典型的な現象だ。

爆発的に増えたバクテリアは、エサがなくなると一瞬にして全滅する。癌細胞も増殖して増え続けると、宿主を殺して一緒に死ぬ。

バブルに乗って上昇気流にあるうちは「俺たちの時代だ」「俺たちの天下だ」と熱狂して我を忘れる。しかし、そのときが一番危険であるとは経済学者が常に指摘することだ。

生存環境が消失するので生きていけなくなる。最もバブルに適応した存在が、真っ先に死ぬ。

私たちは自分がバブルの真っ只中にあるときは、それがバブルとは気付かないことが多い。しかし、今私たちはバブルに巻き込まれている可能性がある。

人類にはただひとつ今も止まらない「凶悪なまでのバブル」を産み出しているものがひとつある。これは、私たちの生存に関わってくる危険なバブルである。

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1961年、世界の人口は「たったの」30億人だった

経済とは別に、人類を覆い尽くしているバブル。それは「人口」である。現在、いかに急激な人口爆発が起きているのかは、少し昔を振り返れば分かる。

1961年と言えば「遠い過去だ」と思うだろうか。それとも、「ちょっと昔」と思うだろうか。多くの人はそれほど大昔だとは思わないだろう。少なくとも「歴史」だとは思えないはずだ。

第二次世界大戦から16年後。昭和36年。この年は何があった年だったのだろうか。この年はジョン・F・ケネディが就任し、ハワイのホノルルでバラック・オバマが生まれた年だった。

また、エディー・マーフィーが生まれ、ダイアナ妃が生まれたのがこの年だった。あるいは、ダシール・ハメットが死に、アーネスト・ヘミングウェイが死に、ゲイリー・クーパーが死んだ年でもある。

日本では松本清張の「砂の器」がベストセラーになっていた。

イギリスでは結成されたばかりのビートルズがキャヴァーンでマイ・ボニーを歌い、アメリカではエルビス・プレスリーが映画で「好きにならずにいられない」を歌っていた。

この「ちょっと昔」である1961年は、人口がどれくらいだったかご存知だろうか。1961年、世界の人口は「たったの」30億人だった。

現在は約77億人なので、現在の半分に満たない人口だったのだ。恐ろしいことに、この世界人口は増加のスピードがさらに加速していっている。

まさに「爆発的」な増加だ。これを人口爆発と言わずに何と言えばいいのか。

人口爆発のことを英語では「Over-population」と言う。ここ百年ほどの単位で、地球は想像を絶する「人口の過剰(Over)」になっている。

人口爆発のことを英語では「Over-population」と言う。ここ百年ほどの単位で、地球は想像を絶する「人口の過剰(Over)」になっている。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

世界がまとめて崩壊する危険性が高まった

今後、どうなるのか。人は現在よりももっと医学の恩恵を受けて長生きできるようになる可能性も指摘されている。様々な病気の治療法や特効薬が次々と開発されているのだ。アンチエイジングの研究も進んでいる。

一方、途上国では新しい命が次々と生まれ、やはり医療の発展で新生児の死亡が減り、結果的にどんどん人口が増えていく過程にある。

2020年は世界人口が77億人を突破したが、これは単なる通過地点でしかない。今後、人口は100億人をも突破する。2050年には早くもそうなる可能性がある。2050年というと遠い未来のようだが、たかが30年後だ。

最も人口が増えるのはインド圏とアフリカ圏である。

しかし、単純に人口が増えていくというのは、この人口バブルが順調に継続した場合、という但し書きがある。バブルは膨らみきると自ずと臨界点がくる。

何が人口増加のバブルを破裂させる針になるのかは分からないが、いろんな要因が兆候として現れている。

私たちは今、新型コロナウイルスに急襲されているのだが、こうした伝染病以外にも、環境破壊、巨大化する天災、食糧問題、戦争、天変地異……ありとあらゆる環境の激変が人口バブルを崩壊させる要因となり得る。場合によっては複合的な要因が同時進行で襲いかかるかもしれない。

すべての人類にとって、これは他人事ではない。何が起きるのか分からないというのは新型コロナウイルスの経緯を見ても明らかだ。

破滅がいつ来るのか、地球の限界はどこまでなのかは誰にも分からない。予測も意味がない。

地球の限界が分からない以上、バブルがいつ崩壊するのかの予測はできない。しかし、約77億人の人口で、これだけ環境破壊が行われている。ジャングルも消失危機、水源も枯渇危機、大気汚染も深刻化、土壌汚染も深刻化している。

今後さらに人口が増えながら、これらの危機は奇跡的に回避できるのだろうか。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

常識的に考えれば、人口爆発は壮絶なまでのバブル

バブルは弾けなければいいのだが、弾けないバブルはない。またバブルの真っ只中にいるときは、バブルがバブルとして認識できないことの方が多い。

「今回だけは破裂しない」
「これだけは他と違う」

そう考えるのである。バブルを正常を思う人が増えるのがバブルの特徴でもある。人口バブルでも「これまで順調に人口が増えてきたのだから、今後も大丈夫だ」と考える人も多い。

しかし、常識的に考えれば、人口爆発は壮絶なまでのバブルなのだから、それはやがてどこかで頭打ちしてその後は「反転する」と考える方が自然だ。

株式市場でもバブルが弾けて50%以上も株価が下落することはよくある。仮に人口バブルが弾けて「50%下落」するとしたら、それこそ35億人以上が死に絶えるとしても不思議ではない。

もちろん、日本も巻き込まれる。なぜなら、日本も人口バブルの恩恵に授かってきたからだ。

日本の人口は江戸時代はだいたい3000万人くらいだったと言われている。明治の初めで3400万人、そして大正に入る頃には5000万人に増えた。昭和元年で約6074万人、戦後1945年は約7214万人だった。そして、現在は1億2000万人である。

人口バブルの崩壊に巻き込まれて50%の人口が消失するのであれば、日本人も約6000万人が死に絶えるということだ。そして、6000万人が残る。

人口6000万人の頃だった日本とは、いつ頃の日本なのだろうか。昭和初期だ。昭和初期と言えば、そんな大昔ではないと感じるかもしれない。その通りだ。だから、人口バブルが起きているということなのだ。

この人口バブルは、いつ、どこで、どのような原因で、どれくらいの規模で弾けるのかは分からない。50%というのはひとつの例だが、それ以上かもしれないし、それ以下で収まるかもしれない。

何も分からないが、分かることがあるとすれば「人口爆発はバブルなのだから、いずれ弾けるときがくる」ということだ。新型コロナウイルスが蔓延する中で、私たちはこうしたことを考えるのも良い機会なのかもしれない。

映画『ワールド・ウォーZ』。人類が滅亡していく映画は数多く作られ、それぞれが大ヒットしている。人類はそうした予兆を感じ続けているのだろうか。

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