アジアの音。インドのタブラ、中東のダラブッカ、インドネシアのガムラン

アジアの音。インドのタブラ、中東のダラブッカ、インドネシアのガムラン

音楽の根底は「声を音として自在に扱う」のと同時に、「打って音を出す」というのが最も本能的なものであるように思う。「打つ音」というのは、それだけで精神を高揚させる効用がある。原始の血が燃えるというのだろうか。打ち鳴らされる音やリズムによって陶酔(トランス)がよぎる。

かつてキリスト教は、打楽器で打ち鳴らされる音楽は人々を狂乱に導くことから「悪魔の音楽」だとして禁止したこともある。しかし、結局はそれを追放することはできなかった。

この「打つ」という原始的な行為から生まれる音は、「本能」が求めているのかもしれない。本能が求めているものであるがゆえに、人々はそれを欲しているのである。

そのため、全世界の様々な国に「打って音を出す楽器」である楽器がたくさんある。

そして、その「打ち方」や「打つ音」でそれぞれの共同体が一体感を得ている。音やリズムはそれぞれの民族がそれぞれ工夫をしており、その工夫がその国の感性になっているのは偶然ではない。

たとえば、インド人は「タブラ」のような楽器の音に自分たちの民族意識を確認する。このタブラの音を聞くと、すぐに空気感は「インド化」するほどだ。

インドの打楽器タブラ

 

タブラを聞くと、誰もが一発で「これはインドの音だ」というのが分かる。

インドに行くと、たまにインド人のストリート・ミュージシャンが道ばたに座ってタブラの音を聞かせてくれることがある。音楽が好きな人がインドに行くとだいたいはタブラにハマって、何としてでもこの楽器を持って帰ろうとするのは共通する現象だ。

タブラは小さな太鼓と大きな太鼓の二種類を組み合わせて使うのが一般的なのだが、この2つを組み合わせて使い、指で打ち方を変えたり、打つ場所を変えたり、手のひらで押さえたりして、太鼓とは思えないタブラ特有の音が出る。

この多彩さに、全世界の人が聞き惚れてしまうのである。

コナックルという伝統

ところで面白いのは、この打ち方は音によって「テ・ナ・タ・ディン・ギ」などの口頭の音が割り当てられており、これを練習の際に、口で打楽器を演じたりすることもある。それが発達して、インドでは「コナックル」というジャンルさえもできているのである。

 

始めて「コナックル」を聞いた人は、その超絶的な「舌回し」に痺れるはずだ。私の好きな歌手であるシーラ・チャンドラも、コナックルを「口」で演じている。

 

インドはこうした音楽がたくさん眠っていて、エスニックな音楽を求める人々のブラックホールでもある。

もちろん、インドの打楽器はタブラだけではない。「ムリダンガム」という楽器もまたインド特有のものだ。ムリダンガムは、水平に持って演奏する両面太鼓である。

このタブラとムリダンガムを組み合わせた超絶的な演奏がこちらだ。タブラを演奏しているのがウスタード・ザーキル・フセインというタブラ奏者の第一人者だ。打楽器でここまで多彩な音が出せるのかと、本当に惚れ惚れしてしまう。

 

 

中東のダラブッカ

ちなみに、「タブラ」というのは中東方面では太鼓全般を指している。そして、中東方面もまたインドと連なっているのか、タブラ的な演奏ができる打楽器がある。それが「ダラブッカ」である。

ダラブッカは、インドのタブラとまた違う音質があって、その音質がアラブ的な雰囲気が出て面白い。インドとは明らかに違う音なのだ。

 

 

このダラブッカの音はベリーダンスでも主流で使われるのを知っている人もいるかもしれない。

 

 

ガムランとケチャダンス

ところで、このインドのムリダンガムや中東のダラブッカを見ていると、ふとインドネシアのガムランでも音質は違うのだが、よく使われているのに気付く人もいるはずだ。

インドネシアはイスラム教の国だが、本来のインドネシアは土着のアニミズムからインドから流れてきた文化まで多彩な宗教を内包していて、その音楽もまたインド文化の影響が感じ取れる。そして、楽器もまたタブラ的なものやムリダンガム的なものが見受けられるのである。

インドネシア・バリ島の音楽と言えば誰もが「ガムラン」を思い出す。バリ特有の演奏スタイルがガムランだが、このガムランは打楽器の集合体の音楽である。

 

 

ガムランと言えば、ついでに「ケチャ」を思い出す人もいるはずだ。この踊りと一体になった「ケチャダンス」は悪魔祓いの音楽なのだが、これはインドの「コナックル」と同じで、やはり「声の打楽器」であることに気付く。

 

 

それぞれの国でそれぞれの打楽器があって、民族性と深く結びついて継承されている。あなたはどの音が好きだろう。

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