インドの経済発展。30年後はもしかしたら日本人がインドに出稼ぎに行っているか?

インドの経済発展。30年後はもしかしたら日本人がインドに出稼ぎに行っているか?

インドは若者が非常に多い国であり、しかも人口も今年中には中国を抜いていくのは間違いない。インドの人口は14億人となって世界一である。内需が拡大していけば、今度はインドに14億人市場が生まれていくのである。すでにインドは急激に変わりつつある。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

成長が楽観視されている国、それがインドだった

世界は景気後退《リセッション》に入るかどうかの状況になっていて経済状況は芳しくないのだが、そんな中で成長が楽観視されている国がひとつある。

それはインドである。

今、欧米で起きている経済的混乱をモノともせず、インド経済は今年も拡大のペースが止まらず、GDP成長率は7%を超えるのではないかとも推測されている。この7%というのは中国の5%よりも高い。

日本は長らく平均1%以下の成長率に甘んじて「停滞」もいいところだが、そんな日本を尻目にインドは7%の成長なのだから尋常ではない。

しかも、昨今は中国と欧米の対立から、中国に進出していた企業がこぞってインドにシフトする動きもあって「次の高度成長国はインドで間違いない」と金融関係者も見ている。

中国は他国の技術やサービスをアンフェアな方法で盗んでは自国で展開するという手法を平気でやってきた。

欧米はそれでも「中国が経済成長したらこうした悪癖も次第に消えるはずだ」「経済成長したら政治も民主化するはずだ」と考えていたが甘かった。中国はますます独裁国家に近づいていき、やり方も改まらなかった。

すでに欧米と中国の溝は非常に深いものとなっており、もはや修復不可能なところにまで到達している。

アメリカは中国をグローバル経済から切り離して中国を排除しようとしており、こうした動きが是正されないのであれば、中国はもう捨てられた国家であると言っても過言ではない。

その代わりに台頭しているのがインドなのである。

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それでもインドが「経済成長する」という点では疑いもない

人口動態を見ても、中国はこれから高齢化して人口が減少する国であり、徐々に国の活力も消えていくだろう。

一方でインドは若者が非常に多い国であり、しかも人口も今年中には中国を抜いていくのは間違いない。インドの人口は14億人となって世界一である。内需が拡大していけば、今度はインドに14億人市場が生まれていくのである。

興味深いことに、中国は最近「人口は14億もいなかったのではないか?」という疑念が湧き出ている。ニューズウィークも報道しているのだが、中国の人口は実際には10億人程度であったのではないか、というのだ。

中国の統計はどれもこれも信用できないというのはいつものことなのだが、そうであれば人口統計も中国政府の都合の良いように誤魔化されていたとしても不思議ではない。

人口が多いように見せかければグローバル企業から金を引っ張ってこれるので、多めに見積もって世界を騙していたというのはあり得る話である。

しかし、インドは逆で、14億人と言われている人口は実は「アウト・オブ・カースト」の人たちを厳密に数えていないのでもっと多いのではないかという噂さえも飛んでいるくらいである。

人口が多い国で経済発展が始まったら、その国で成功した企業は国内の豊富な内需の翼に乗ってどんどん巨大化していく。さらに外国からもグローバル企業が大量に入り込んで国内が活性化する。

企業間の競争も激しくなる。そして、それがまたその国の経済成長をブーストすることになるので、ますます成長していくことになる。

もちろん、インドも格差問題やカースト問題や宗教問題や人種問題など、ほとんど解決不能な国内問題を抱えているので、一気に先進国に躍り出るようなことにはならないのだろうが、それでも「経済成長する」という点では疑いもない。

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すでに東南アジアでは「インドブーム」が起こっている

私は7年ほど前までは「インドにはまだまだ投資したくない」「インドはまだ大きく変わらない」とずっと思っていたのだが、今のインドの経済成長や人口動態などを見ていると、そろそろ考え方を変えなければならない時期がきたと思っている。

1990年から「次は中国の時代」と言われるようになって、この30年は確かに中国の経済成長は目覚ましかった。これからインドに起こるのは、これまでの30年の間に中国で起こったことと同じものになるのかもしれない。

それこそ、この30年でインドは大躍進して中国を追い抜くばかりか、停滞していく日本をも一緒に追い抜いていく可能性もある。

日本人はまだ「日本がインドに抜かれるなんてありえない」と思っているかもしれないが、私は今のように日本がまったく成長しないまま凋落していくのであれば、経済成長していくインドに30年の間で抜かれる瞬間がきても何ら不思議ではないとも思っている。

日本が経済成長できず、インドが飛躍的な経済成長するのであれば、あとは時間の問題でさえもある。

まずはインドで中間層が爆発的に増えていくことになる。仮にインドの人口の20%が中間層に躍り出たとすると、それだけで2億8000万人の人口となる。日本の人口の2倍以上のインド人が中間層になるのだ。

逆に日本では貧困化が進んで中間層が消えてしまって仮に5000万人くらいであったとしたら、中間層の人口はインドの4分の1しかいないということになる。

ついでに言うと、絶対貧困を数億人も抱えるインドの深刻な格差問題だが、これも経済発展によって、インドの経済が拡大する中で絶対貧困の層も経済的恩恵を得るようになり、経済的格差が縮小する可能性も高い。

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30年後はもしかしたら日本人がインドに出稼ぎに行っている?

これだけ中間層がインドに増えたら、インドの方が国際的影響力が高くなっていくのは当然のことである。実際、すでに東南アジアでは「インドブーム」が起こっており、インド人の観光客を両手《もろて》で歓迎している姿もある。

最近、日本でもインド映画が一部にブームになっているのだが、国が豊かになっていくと、映画やドラマのような文化的な娯楽にも大金が流れ込むようになる。そうすると、ますます世界の人々がインドに注目するようになるのは当然のことだ。

こうした文化の輸出もインドの人々に自信を付けさせて、世界もインド人に敬意を払うようになっていく。インドの女性たちも欧米でブランドを買い漁って着こなすような姿も出てくるだろう。

すでにこのような動きの萌芽があるが、この10年、20年、30年で、こうした姿がより顕著になっていくはずだ。

そういうこともあって、私は「いよいよ時代が変わって、自分のインドに対する考え方もバージョンアップしないといけない」と思うようになってきている。

「インドは遅れた国」「インドは貧しい国」ではなく、逆に「日本に追いつき、日本を追い越していく国」という認識に切り替えなければならないと考えている。

今、インド人が日本に出稼ぎに来ているのだが、30年後はもしかしたら日本人がインドに出稼ぎに行っているような、そういう逆転劇ですらも起こり得るかもしれない。

変わり始めると、怒涛の勢いになる。
どれくらいインドがすごい国になるのか、私は固唾を飲んで見守っている。

ブラックアジア・インド編
『ブラックアジア インド・バングラデシュ編編 売春地帯をさまよい歩いた日々』書籍(ペーパーバック)版&電子書籍版

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