米中の対立は、強大な軍事力を持った国家と国家の対立である。そのような状況から、いずれ世界のどこかで中国とアメリカの代理戦争が勃発してもおかしくない。最強の軍事力を持つ国家が最強の影響力を保つために、対立し、衝突し、そして戦争になる。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
平和を愛しても、それで戦争がなくなるというのは空想だ
人間社会の中で「暴力」は決して消えることがない。世界一安全な国であると喧伝されている日本ですらも、暴力的な事件は常に起きているし、新聞は新しい殺人事件を常に報じている。
今日の新聞を読んでみればいい。明日の新聞を読んでみればいい。必ず暴力の記録がそこにあるはずだ。いつの時代のどこの国の新聞でもいいから、適当にそれを手にとって読んでみればいい。
暴力が記載されていない新聞はどこにもない。
争いも衝突もない世界はない。人間の社会・文化・歴史には否が応でも暴力がついて回る。良い悪いは関係ない。様々な暴力が存在している。その暴力の中で、最も強大なものが「戦争」である。
暴力が消えることがないというのであれば、戦争も消えることはない。
もちろん多くの人は平和を愛している。戦争が生活を破壊するのは許しがたいと思う。互いに譲り合えば平和になると思う。
しかし、だからと言って人々は自分が信じているものを否定されたり、自分の持っている土地を奪われたり、自分の育ってきた文化や歴史を罵られ、蹂躙され、侵略されるようなことになると、譲り合おうとは思わない。
どうなるのか。対立し、衝突し、戦争になるのである。平和を愛しても、それで戦争がなくなるというのは空想だというのが分かる。「平和のためには相手が邪魔だ。それならば、相手を抹殺してしまえ」という平和もある。
【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)
ヨーロッパの豪華絢爛で華美な上流階級の生活を支えたもの
戦争をしたくなくても、相手が戦争を仕掛けてくるかもしれない。相手に蹂躙されたくなければどうすればいいのか。それは、相手が手出しできないくらい強大な軍事力を持つことが答えになる。
最初から戦争を仕掛けるつもりでいる国との話し合いなど何の役にも立たない。しかし、圧倒的な軍事力を保有していると、相手から攻められることも挑発されることもなくなる。
皮肉でも何でもなく、軍事力は逆に暴力を減らす効果がある。それが現実だった。
世の中には、気の短い好戦的な国もある。あるいは覇権と影響力を拡大したい国もある。あるいは、他国を自国のものにしたい国もある。そんな国が、サメのように侵略できる弱小国家を探している。
そうである以上、いくら自分だけ平和主義でいようと思っても無駄だ。すべての国家は、自分が平和であろうが八方美人であろうが、遅かれ早かれ他国の悪意を持った侵略から逃れられない時がくる。
侵略は、相手を圧倒する強大な軍事力で成し遂げられる。かつて欧州はアジアを植民地にして莫大な富を収奪してきた。それらの略奪が可能だったのは、欧州の軍事力がアジアよりも勝っていたからだ。
インドで苛烈な収奪がなされていたとき、ヨーロッパは略奪で得た富と贅に囲まれて、空前の豊かさを享受していた。
ヨーロッパの豪華絢爛で華美な上流階級の生活を支えたのは、植民地から収奪された富である。欧州は圧倒的な軍事力を持っており、それでアジアやアフリカを次々と屈服させることができた。
彼らは強大な軍事力で、ブラックホールのように世界を略奪していたのである。
【ここでしか読めない!】『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』のバックナンバーの購入はこちらから。
国家の影響力の源泉は、知性ではなく軍事力にある
やがてヨーロッパが衰退して変わりにアメリカが台頭する時代に入った。第二次世界大戦以後、世界はアメリカ一極支配の時代に入った。これがパックス・アメリカーナの時代である。
アメリカが世界を屈服させることができたのも、やはりアメリカの軍事力が世界の軍事力よりも勝っていたからである。
アメリカは、国家の成り立ちから戦争まみれであり、国民も「自由はただではない」と知っている国だ。(ブラックアジア:「自由はただではない」という言葉の裏には何があるのか?)
暴力を振るうのが一番うまい国が頂点に立つ。今はアメリカがそうだ。だから、アメリカが世界を支配している。それが「歴史」の姿である。勘違いしてはいけない。国家の影響力の源泉は、知性ではなく軍事力にあるのだ。
最強の軍事力を持つ国家が最強の影響力を持つ。最強の軍事力の頂点に立つ破壊兵器は「核」である。核兵器の凄まじさは、1945年の広島・長崎の原爆投下で明らかだった。
そのため、第二次世界大戦が終わった1945年以後、アメリカもソ連(ロシア)も最強の兵器である「核」を大量生産して優位に立つために何でもしていた。
ところが、アメリカやソ連が追求してきた核ミサイルは、それを使えば人類そのものが破滅してしまうほどの破壊力を持つ。互いに核兵器を装備するようになると、それは使えない武器になってしまった。
だから、ベトナム戦争でアメリカは強大な軍事力を持っていながらも、ソ連が背後にいるベトナムに対して核が使えず、長期戦に耐えきれずに敗退した。
アメリカは戦争に敗北した後、自信喪失し、不景気に苦しみ、その後10年間も立ち直れないでいた。
ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』
米中の対立は、強大な軍事力を持った国家と国家の対立
強大な軍事力に自信を失った時期、すなわち国家が弱体化した時は、国民も経済も不調に苦しむ。このアメリカを立ち直らせたのはレーガン大統領だったが、レーガン大統領のスローガンは何だったのか。
それは「強いアメリカ」だった。
レーガン大統領はアメリカの軍事力を復活させることに力を砕き、この軍事力を背景にアメリカは立ち直ることができた。一方でソ連は共産主義の経済運営に失敗して圧倒的な軍事力を維持することができなかった。
結局、軍事力が衰退すると共にソ連という国家は自壊してしまった。
現在、強大なアメリカに対抗し得る権勢を持っているのは中国である。この中国は、凄まじい勢いで軍拡を成し遂げており、かつてのソ連のようにアメリカに対抗し得る強大な軍事国家として台頭するようになっている。
中国は、この強大な軍事力を背景にして一帯一路を展開し、世界を次々と自国陣営に引き入れるようになっている。こうした侵略はアメリカの覇権に挑戦するものである。アメリカは激しく警戒し、中国と対立するようになっている。
この米中の対立は、強大な軍事力を持った国家と国家の対立である。
そのような状況から、いずれ世界のどこかで中国とアメリカの代理戦争が勃発してもおかしくない。最強の軍事力を持つ国家が最強の影響力を保つために、対立し、衝突し、そして戦争になる。
2020年代はコロナと共に幕を開けたが、コロナが落ち着いたら米中の対立はより先鋭化していくことになるだろう。私はアメリカと中国がやがて軍事的な衝突を起こすと信じている。
これからは武力で敵を殲滅するより
財力で敵を上回るのを目指す戦争になると思います。
お金を持ってるだけで偉いと思って
貧困層を馬鹿にしまくる連中が
テロで殺されるような事件もあると思いますが
基本経済戦争でしょう。
喧嘩と同じ、弱そうなところに攻めてくる。日本は、攻められても強く、しぶとくなければならない。
攻められても、持ち堪えられていれば、攻めている方に弱点ありと同盟国が参戦してくる。同盟国も
自分の打算で、助ける価値があるし、敵をやっつけるチャンスだと判断すれば日本側に着くのであり、
その前提は、日本がしぶとい防衛をすることであることを認識しなければならない。
今度の選挙で、諸外国との関係は、あくまで友好的な話し合いで解決などという詭弁を弄していた
日本共産党と、あろうことか共闘し票とりにのめり込んだ立憲民主党は大敗した。日本の国民は分かっているのだと、ちょっと安心した次第。