今はそうでもなくなってきたのだが、以前は私の知り合いの女性はほぼ99%は何らかのセックスワークにかかわっていた女性だった。日本でも多くの風俗嬢に会って話を聞いてきたが、たまに以前インタビューした女性から近況を知らせるメールをもらうこともある。
10年前に風俗嬢だった女性がまだ風俗の仕事をしていることもあれば、すでに風俗を辞めたという女性もいる。その中のひとりは風俗嬢を辞めたあとに昼職を何年か続けて結婚したのだが、彼女は「今の夫には自分が風俗嬢であったことは隠している」といった。
「バレたら離婚されると思います」
そういえば、だいぶ前の話になるのだが、「自分が風俗で働いていたことを伝えたほうがいいのだろうか?」と尋ねられたこともあったのだが、このような問題は難しい話でもある。
人は誰でも長く生きているうちに「人にいえない過去」や「人にいえない過ち」を持つようになる。それが性的なものであればあるほど、人は用心深くそれを封印して、自分も忘れようとする。
女性が過去を持ったとき、愛する人には言うべきなのだろうか。それとも墓場にまで持っていくべきなのだろうか。