セックスワーカーにとって、ストーキングしてくる男たちの問題は深刻だ。吉原のソープランドでもトップランカーの女性が殺されるという事件があったし、ガールズバーの女性もめった刺しされて殺される事件もあった。
夜の女性がこれらのニュースが他人事ではないのは、彼女たちにとってはストーキングされるのは日常であり、実にありふれたことであるからだ。
女性たちは接客の一環として接しているのだが、一部の男たちはそれを勘違いして「彼女は本気で惚れている」「自分は愛された」と勝手に思い込み、しつこく連絡してきたり、店外デートに誘ったり、つきまとったり、交際を迫ったりする。
女性たちは危険を感じて「NG」対応をしたりするのだが、そうすると逆恨みしてSNSにあることないことを書いたり、女性を待ち伏せて暴力を振るったりする。
店も「この男はヤバい」と思って出禁《できん》の処分をしたりするのだが、そうすると携帯電話の電話番号も変え、変装してやってくる。さすがに、そこまでされると店も見抜けない。
殺人事件などが起こったら報道されるが、そこまで至らないストーキング行為が蔓延していて、女性たちを苦しめているのだ。こうした事件は、騙す女性が悪いとはいわれるが、実際はほぼ100%「男が悪い」といえる。
こうした男たちは「愛」に飢えている。夜の世界にもその感情を持ち込み、つき合ってくれそうな女性を物色する。そして、たまたま優しくしてくれた夜の女に対しても、「愛された」と勘違いする。それが間違いなのだ。
アンダーグラウンドの女たちは、カネのために疑似恋愛を演じているだけだが、それをストーキングする男は客観的に考えられない。愚かだが、自分が愛されていると思い込んでしまう。
愛が欲しければ表社会で探せばいい。応えてくれる女性もいるだろう。しかし、アンダーグラウンドで愛を探すのはやめたほうがいい。99%の女性は愛なんかない。1%くらいはいるかもしれないが希有だ。
例えてみれば、それは蜜蜂を見つけるために海の中を探しにいくようなものだ。菜の花畑には蜜蜂がうなるほどいるかもしれないが、海の中にはいない。わざわざ海の中に潜って蜜蜂を探すのは無益なのだ。