フランスの社会学者エミール・デュルケムは、『自殺論』を書いている。
自殺に関して言えば「あなたはなぜ自殺したのですか?」と聞くことができないので、デュルケムは自殺者のさまざまな属性を分析して分類を計り、自殺には4つの種類があるということを突きとめた。その4つというのが以下のものだ。
1. 集団本位的自殺
2. 自己本位的自殺
3. 宿命的自殺
4. アノミー的自殺
このうち、上から3つについて噛み砕いて言うと、以下のようになる。
1. 社会のために、お国のために、組織のために自ら死ぬ
2. 無気力、空虚、絶望を感じて自ら死ぬ
3. 社会・組織・家庭が理解してくれないから自ら死ぬ
これらの死については、どういう状況なのか光景が目に浮かぶはずだ。時代によって、自殺にはさまざまな理由が増えたり減ったりしていくのだが、現在は「自己本位的自殺=無気力、空虚、絶望を感じて自ら死ぬ」が多いように見える。
ところで、デュルケムの『自殺論』の中で4つ目の「アノミー的自殺」は非常に興味深い。もしかしたら、すでに日本では「アノミー的自殺」が増えているのかもしれないと思うこともある。
そもそも、「アノミー」とは何か? これを、わかりやすく説明したい。