以前、シリコンを入れたが肉芽腫になって乳房に膿が溜まってしまった風俗嬢に会ったことを書いた。(◆シリコンを入れたが、肉芽腫になって乳房に膿が溜まってしまった風俗嬢のこと)
実は、シリコンを入れたが合わずに除去して、大きな手術痕が付いてしまったり、萎んだまま戻らなくなってしまったりした女性は大勢いる。風俗嬢の中にもシリコンを除去して崩れた胸のまま仕事をしている女性も多い。
そうした女性からは馴染みの客が急激に消えていく。本人がいくら風俗で働き続けたいと思っても、胸が問題を抱えたままでは指名客(常連客)が付きにくいので、苦戦した挙げ句、業界からひっそりと消えていくことになる。
女性が胸を失うのは豊胸手術の失敗や、肉芽腫だけではない。乳がんでも患部の除去が必要になったりすると、乳房の全体や一部がなくなってしまうので、風俗嬢としては致命的なことになってしまう。
2022年11月。まだ肌寒い空気が残っていた平日のある日、私は地下鉄・銀座線の外苑前駅でひとりの風俗嬢と喫煙可の喫茶店で待ち合わせして会っていた。
彼女は乳がんで乳房の一部を除去したのだが、それでもなお風俗で生きたいと思っていた30代後半の女性だった。
私の著書である『暗部に生きる女たち: デリヘル嬢という真夜中のカレイドスコープ』や、『デリヘル嬢と会う: 彼女は、あなたのよく知っている人かも知れない』を読んでくれていて、連絡を受けたので興味を持って会ってみた。
私は別件に用事があったので話せたのは一時間なのだが、いろいろ話を聞いて思うことも多かった。