真夜中だったが、派手な格好をした夜の女と、酔った男たちが大騒ぎしていた。相変わらず、バンコクはにぎやかだった。
ソイ・カウボーイを出て、スクンビット通りを『テルメ』の方向に向かってふらふらと歩いていく。高架鉄道BTSのアソック駅ができてからだと思うが、この当たりにも女たちが立つようになったのは興味深い。
ロビンソン・デパートを少し過ぎたとき、道のわきに立っていた女が”Oh !!”(まあ!)と言いながら、そばに寄ってきた。
“Long time no see!”(久しぶりね!)
大きく胸元の開いた白い服を着ていたが、それはセクシーというよりも、どことなく清楚な雰囲気がした。急に声をかけられたので驚いて立ちどまり、それからまじまじと彼女を見つめる。見覚えがなかった。しばし、考える。
忘れたのか……。
いったい彼女が誰なのか、猛烈に頭を回転させた。しかし、思い出せない。
ほっそりとしており、髪は肩まであり、どこか疲れた顔をしている。もし、彼女がオープンバーにいたとしたら、抵抗なくペイバーしただろう。
今、そう思うのだから、過去にペイバーしたということはあり得る。しかし、ペイバーした女を忘れることなどあるのだろうか。ますます……
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