ブラックアジア

1/2ページ

『ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々』全編ペーパーバック化完了!

ブラックアジアのルーツと言えば、東南アジアの売春地帯です。この東南アジアの売春地帯を描いて、カルト的な人気を得てアンダーグラウンドで読み継がれてきたのが『ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々』です。 書籍化されていた一部のブラックアジアのコンテンツですが、2018年に出版元が事業停止したことから電子書籍化の企画がスタートし、カンボジア編からフィリピン編まですべてを網羅し、さらに本編に収録で […]

◆「ブラックアジア」というサイト名が許されない日が来るのかもしれない

BLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動がアメリカで燃えさかっている。ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドが白人警官に殺された事件がきっかけで広がっている社会現象なのだが、これについて生まれて来ているのが「言葉狩り」である。 コンピュータの世界ではOSを起動させるハードディスクをマスター、それ以外のハードディスクをスレイブと呼ぶのは昔からの習わしだが、これは マスター(主人)スレイ […]

『ブラックアジア パタヤ編:売春地帯をさまよい歩いた日々』電子書籍化

出版社『ラピュータ』が力尽きて、鈴木傾城の書籍4冊も不可抗力で手に入らなくなってしまうのだが(ブラックアジア:ブラックアジアの出版元である「ラピュータ」が力尽きてしまったこと)、これを受けて電子辞書による『復刻』を行っている。 先日は、『絶対貧困の光景: 夢見ることを許されない女たち』を復刻した。アビーの話や、物乞いをする女性たちの話は、ずっとずっと残しておきたい。(ブラックアジア:『絶対貧困の光 […]

『売春地帯を、さまよい歩いた日々』これがブラックアジアの原点

ブラックアジアのルーツ! ブラックアジアのすべてはここから始まりました。東南アジアの闇をさまよっていた男たちを熱狂させた伝説のコンテンツ。『ブラックアジア 売春地帯をさまよい歩いた日々』の全編が、ペーパーバック(紙の書籍)と電子書籍で蘇りました。 東南アジアの売春地帯とはどんなところだったのか。貧困と社会の無理解の中で、女性たちはどのように生きていたのか。鈴木傾城が関わってきた女たちの出会いと別れ […]

ハイエナたちの夜。闇にぼんやりとピンク色に浮かぶ売春宿

カンボジア絡みつくような熱帯の空気、豊饒な土の匂い、スコールの後の揺らめく水蒸気、ほのかな風に揺れるヤシの葉、匂い立つマンゴーの実、そして寝苦しい夜に心まで熱くしてくれる夜の女たち……。 誘蛾灯に誘われる虫のように、彼女たちの誘惑に魂を奪われ、ひとときの快楽に溺れてゆく。 熱帯の国で、女たちとたわむれる。売春婦と呼ばれ、社会から蔑まれながらも必死で生きている女たちが、通りすがりの男に笑みを浮かべる […]

ダイナ・チャンの祈り。売春するカンボジア女性の地獄

カンボジア編アジアをさまよって売春をする女たちと刹那的に一緒にいても、通り一遍では彼女たちの心の中を知ることは難しい。社会的な環境も違い、文化・世代・言語さえも違う。 自分と一緒にいる娘たちの心の中に何が渦巻いているのか、その正確なところは男たちには永遠に分からないものなのだろう。 プノンペンに降り立ち、70ストリートで女性たちとたわむれる。 熱帯の寝苦しい夜、ベッドの中で彼女がどんな生い立ちで、 […]

母系社会。たくさんの男と寝る女性が「賞賛」される世界に

カンボジア編「売春婦」と呼び捨てられる女性は、どこの国でも孤立無援だ。世界中のほとんどの国が父系社会であることに根本的な理由がある。 父系社会とは、男が社会の中心にいて、血統は男性側の家系図が書かれる社会のことを指している。 世界中のほとんどは父系社会だ。 大抵、どこの国の歴史を紐解いても、女性の家系図はほとんど見あたらず、女性は男性の付属品扱いのようになっている。 それが当たり前だと思うのは、ど […]

内斜視の娘と、あばた肌の娘。純真さは、どこから来るのか

カンボジア編カラカラに乾燥したカンボジアの大地を、ふらふらとさまよう。カンボジアに着いて2日目の昼下がりだった。熱射病で倒れそうになるくらいの強烈な太陽が降り注いでいた。 向かう先は決まっていた。紅土の粉塵が舞い上がる70ストリートである。 いつもはモニウォン通りを北上して芸術大学から入るのだが、この日は毛沢東通りにいた関係上、逆側から入ることになった。 道路のほとんどをアスファルトで固めてしまっ […]

切ないほほえみ。スワイパーの、哀しい眼をして男を見る娘

カンボジア編彼女と出会ったのはスワイパーと呼ばれる売春村だった。黒一色の服に身を包んだ彼女を一目で気に入った。 まだほんの小娘だというのに、彼女はひどく陰のある瞳をしていた。黒目がちの瞳がじっと相手を見つめる。そして、ほんのりとほほえむその姿は他の娘たちの力任せの誘惑とはひと味違った魅力があった。 しかし彼女はほほえんでいたが、何か哀しみを抑えているように思えた。実際、彼女は哀しいことがあるようで […]

ホームシック。狭い部屋の中で母親に手紙を書くベトナム娘

カンボジア編カンボジアの首都プノンペンにはあちこちに置屋が点在している。 隆盛を誇った70ストリートが徐々に縮小するのと対照的に、市内の置屋は数も勢力も増しているようだ。勢い、夜になったら男たちは市内の置屋をふらふらと夢遊病者のように巡ることになる。 プノンペンの夜は人の姿が極端に減る。治安は悪く、銃を持った強盗が横行するので、人々は巻き添えを恐れて家から出てこない。 隣国タイでは夜中になっても子 […]

カンボジアの置屋。「置屋」とは一体どういう場所なのか?

カンボジア編昔、日本では売春宿の建物を「置屋(おきや)」と呼んでいた。現在では、もう置屋という言葉をあまり聞かなくなってしまったが、それは置屋の存在そのものが目につかなくなってしまったからである。 しかし、まだ経済が発展途上にある国では置屋が健在だ。タイでは地方に行けばソンと呼ばれる置屋が必ずある。 フィリピンでもカーサと呼ばれる置屋が溢れているし、インドネシアもインドも置屋があちこちに点在してい […]

70ストリート。プノンペンでもっとも荒廃していた売春地帯

カンボジア編カンボジアの首都プノンペンの地図を見ると、この都市が区画整理によって計画的に作られたことがよく分かる。 道はだいたいが碁盤目のようになっている。また、主要な道路は人名か番号表示になっているので分かりやすい。このプノンペン北に「売春ストリート」と呼ばれる通りが存在した。それが、70ストリートである。 1990年代後半、ここは東南アジアの売春地帯でもっとも凄まじい場所だった。一本のでこぼこ […]

サイバーン。あなたが好き。だからこの写真をあなたに……

カンボジア編シアヌークヴィルのプントッマイで、ひとりの陽気な娘と会った。 若々しく弾けるような肌に、顔中が口になってしまいそうな大きなビッグ・スマイル、そして猫の目の色のようにころころと変わる表情としぐさが忘れられない。彼女の名はサイバーンと言った。 夜中10時過ぎ、ピンクの街灯が灯った売春ストリートを、いつものように、ふらふらと歩いていた。置屋の前を歩くたびに女性たちが喚声を上げて声をかけてくる […]

バイバイ・トゥ。置き去りにしてきた彼女を思って慟哭する

カンボジア編カンボジアには雨期と乾期がある。二月は乾期だ。ちょうど涼季から暑季に切り替わり、身が焦がれるような灼熱の太陽が大地を照らす。 カンボジアの大地を覆っている紅土は、猛スピードを上げて突っ走る車やモトバイクに煽られて舞い散り、白い服はすぐに茶色く染まってしまう。 道路わきに生える草木は茶色の粉塵が積もって、その重みで葉は垂れ下がっている。ほとんどの葉が紅土の茶に塗りつぶされているので、一見 […]

マイはベトナムに帰った。バスルームで頭を振っていたマイ

ベトナム語で「マイ」は「梅」という意味になる。ベトナム人の女の子でマイという名前をつけられる娘は多いようで、ベトナム社会に関われば、あちこちで「マイ」と知り合うはずだ。 印象深かったマイは2000年当時スワイパーの15番館に在籍していた娘だ。彼女の優しさが好きだった。 マイと知り合ったのがいつだったのか、あまり覚えていない。最初はスワイパーの多くの女性に混じっていて目にとまらなかったからだ。 いつ […]

スワイパー。カンボジア人の憎悪の中で存続した闇の売春村

カンボジア編プノンペンから延々と11キロ、国道5号線をウドン方面に北上する。 ムスリム(イスラム教徒)の寺院を左手に、クメール人の高床式の粗末な家を右手に見ながら、さらに奥へ奥へと突き進んで行くと、今はもう古びて色あせてしまった「コンドームを使いましょう」という看板が見える。 それを左折すると、そこは「スワイパー」と呼ばれる村である。 ここは「不浄の聖地」だ。地獄に堕ちるのは避けられそうにないほど […]

63ストリートの妖怪。闇の中で、意味もなく笑い続ける女性

カンボジア編真夜中のプノンペン。売春地帯63ストリートを外れてふらふらと闇夜の中を歩いていると、薄暗がりからひとりの男がゆっくりとやってきて腕をつかんできた。 振り返ると、男は無表情なまま”Bombom?”(セックスか?)と聞いてくる。 返事しないで男の背後の置屋を眺めた。黒いフィルターを貼ったガラス戸が入口になっている。 このあたりでは有名な「來來」などと同じような店構え […]

桜花(SAKURA)。何もできない素人女性が見せてくれた決意

カンボジア編セックスに言葉は要らない。交渉も指で数字を差し示したら、大抵は通じてしまう。どこの国でもそうだ。 そして、どこを巡っても、特に現地の言葉を真剣に覚える必要はさらさらない。そのほとんどは少々の英語のみで場を乗り切ることができている。 言葉など道具のひとつにしか過ぎないから、適当に使えればいいだけで、必要な言葉は自然に覚えるし、それ以上のものは現地に根を貼りたい人間だけが覚えればいい。 夜 […]

アプサラを踊る娘。貧困地区に棲む天使(アプサラ)の笑み

カンボジア編カンボジアの国王はノロドム・シアヌークである。彼はかつて絶対的な主権を握り、王宮で優雅な生活に明け暮れていた。 その王宮ではカンボジアの恵みを讃えるためのダンスを国王に見せるために選りすぐりの美しい娘たちが寝泊まりし、練習に明け暮れていた。 そのダンスと言うのが、クメール・ダンスである。ゆったりとした音楽に合わせて女性らしい優雅な動きでアプサラ(天女)が舞う姿は素晴らしい。誰もが、反り […]

プノンペン市内にあったスラム売春地帯「ブディン」の消滅

カンボジア編夜、プノンペンの独立記念塔を川沿いに向かっていくと、明るくショーアップされた観覧車やメリーゴーランドが目に入る。その遊園地の手前を右に入ると、そこはブディン地区になる。 川沿いには不法居住者が住まうスラム街が広がっているが、ソティオロス通りの一帯は置屋が並んでいた。賑やかな遊園地のところが光だとすると、こちらは影の部分だ。 明日の見えない生活に困窮した男たち、女目当てにライフルを持った […]

カンボジア警察。目の前で、ベトナム娘を殴り始めた警察官

UNTAC(カンボジア暫定統治機構)時代、外国からやって来た国連軍兵士たちの日給は130ドルだった。 命を張って戦って1日に1万6,000円。これが高いか安いかは人によって判断の分かれるところだ。 ではUNTAC時代のカンボジア警察官の日給はいくらだったのだろうか。カンボジア警察は月給制なので25日勤務だとして当時の月給9ドルを割ってみる。 すると一日わずか44円という数字が出てくる。同じような仕 […]

プントッマイ。素朴なカンボジア・シアヌークヴィルの夜

カンボジア編カンボジアで海を臨むことができる唯一の場所はコンポンソムだ。別名はシアヌークヴィルという。 ヴィルというのはフランス語の村(ヴィル)を指している。かつて、ここにはシアヌークの別荘があったので、そういう名前になったらしい。 ポル・ポト政権時代には地名が旧名のソム港(コンポンソム)と変えられたが、ポル・ポト政権が瓦解してから再びシアヌークヴィルに戻された。現在ではシアヌークヴィルの方が通り […]

BIBA(ビバ)。シアヌークヴィルの田舎ディスコで……

カンボジア編シアヌークヴィルのプントッマイには「BIBA(ビバ)」というディスコがある。ディスコと呼ぶにはいささか気恥ずかしいこぢんまりとしたところで、入口の手前はテーブル、奥がステージになっている。 空いているテーブルに案内されて席に着くと、一斉にビールガールが自分の所属する会社のビールを飲んでもらおうと売り込み攻勢してくる。 適当に選んでビールを飲んでいると、音楽が変わってみんな輪になって踊る […]

ベトナムから来た娘。カンボジアの売春地帯で地獄にあえぐ

カンボジア編カンボジアの売春地帯にはベトナム女性が入り込んでいる。カンボジアで売春地帯をさまようといえば、必ずしもクメール(カンボジア)に出会うということにはならない。むしろ、ベトナム女性に出会うことが多い。 70ストリートでも多数のベトナムから来た女性が売春業に携わっていた。 主流になっている首都プノンペンの売春地帯と言えば63ストリートだが、ここでも多数の女性がベトナムから来ていた。 はじめて […]

ワイルド・マリー。野良仕事をする女性の手は嫌いではない

カンボジア編70ストリートで、数え切れないほどの女を抱いた。強く印象に残っている女もいれば、もう忘れかけている女もいる。 70ストリートで一番印象に残った女は誰だろうと、ときどき考える。そうすると、ひとりの天真爛漫な娘が脳裏に浮かんでくる。 この砂塵の舞うストリートを入って中ほど、南側の並びのひとつの建物で、ひとりのクメール(カンボジア)娘をホテルに連れて帰った。彼女は自分のことを「マリー」と言っ […]