かつて「太陽の沈まない国」と言われていたのは世界各国を植民地にしていたスペインとイギリスだった。
なぜ「太陽の沈まない国」なのか。
この二国は世界中に植民地を持っていたからだ。植民地をも領土と考えると、ある領土で太陽が沈んでも、他の領土で太陽が昇っていた。だから、比喩でも何でもなく、本当に「太陽の沈まない国」であったのだ。
この植民地から略奪した莫大な富と資源を元にして、スペインもイギリスも、あたかも永遠に続く超大国の様相を見せていた。まさに、「スペイン帝国」「大英帝国」だったのだ。
しかし、スペインは当時世界最強と言われていた無敵艦隊が壊滅したのを機に没落した。
その後、17世紀になってイギリスが産業革命を背景に台頭するようになり、20世紀前半まで世界に君臨していたのは大英帝国だった。しかし、この大英帝国もまた2つの世界大戦を境に没落した。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。
国家の衰退は必ず起きる
スペインもイギリスも国は消失していない。しかし、かつての繁栄からすると嘘のように小さな目立たない「普通の国」になっている。どんなに巨大な権力や趨勢を持った国であっても、繁栄は永遠ではないということを歴史は示している。
歴史史上、最強の帝国は「ローマ帝国である」と指摘する識者も多い。「すべての道はローマに通じる」と言われたほどローマ帝国は強大な帝国だった。しかし、それも今は昔の話である。
帝国は「いつ没落するか」は分からない。しかし、それは必ず起きるものであり、そうやって歴史はどんどん変わっていく。人が老いるのは100%確実であるのと同様に、国家が衰退するのも100%確実なのである。
そして、知らなければならないのは、一度衰退を始めた国家はその時点でどんなに優秀な政治家や実務家が出てきても、衰退を食い止めることができないということだ。
ローマ帝国も、スペイン帝国も、イギリス帝国も、世界の頂点に君臨していたときは、優秀で頭脳明晰で実行力もあった人間はみんなそこにいた。しかし、衰退を「先延ばし」することはできても、食い止めることはできなかった。
新しい国や新しい現象が台頭した時、帝国はすでに「動きの鈍い巨大な帝国」になってしまっているので、方向転換も、スリム化もできない。守るべきものが多すぎて動けず、結局は手を打てないまま衰退するがままになってしまう。
一度、趨勢や権力に陰りが出てくると、それを維持するだけで精一杯で、やがて時代に取り残されて本格的な没落が始まっていく。
これは国家の趨勢だけに見られる現象ではない。
栄華を極めた一族も絶頂に上れば、そのあとは衰退しかない。絶頂を究めた企業も絶頂に上れば、そのあとは衰退しかない。歴史に名を轟かせた企業もまた新しい時代には新しい企業に取って代わられていく。
実存するすべてのものは、「誕生、成長、成熟、老衰、死」というサイクルから逃れられないのである。
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強大なものが衰退していく
人類の歴史は諸説があるが、400万年ほどというのが現代の通説だ。これに対して恐竜の歴史は6000万年ほどある。かつて地球上に君臨していた生物は恐竜だった。
しかし、隕石なのか、氷河期なのか、何らかの事象が起きて恐竜はことごとく絶滅していった。
この生物の進化と絶滅、淘汰の歴史を見て「生き残るのは最強の生物ではない」と考えたダーウィンのような人もいる。最強が生き残るのではないとすれば、誰が生き残るのか。それは「生き残るのは変化に対応できる生物だ」という。
もちろん、生物は変化に対応しようと懸命に努力するが、それでも個体が変化できる範囲は限度がある。
たとえば、爬虫類は哺乳類になることはできない。限度を超えるほどの変化が求められたとき、結局、変化に対応できなくなる瞬間が訪れる。
そのとき、環境に対応できなかった生物は死に絶えて、その環境に適した生物が増え始めていく。
生物にとって、環境とは自然環境を意味する。
地球は多くの氷河期を繰り返しており、そのたびに多くの生物が死滅し、氷河期が終わった後にまた生き残った生物が、新しく環境に馴染んで生きていく。
国家にとっては、環境とは社会環境を意味する。
世界は多数の国家が覇を競っており、戦争や、競争や、人口の増減や、資源や、食料生産が有利な国が、他の国を押しのけて隆盛になっていき、やがて世界に君臨するようになる。
しかし、環境は常に変わっていて、何かがその国の致命傷になったとき、変化に対応できなくなって、やがて新しく社会環境に馴染んだ国家が成り上がる。社会環境は人類の歴史を変える底力がある。
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私たちが推測できるものではない
無敵艦隊が無敵でなくなったあとの「スペイン帝国」はどうなったのか。1800年代になると経済崩壊寸前に追い込まれて、結局混乱のまま国家崩壊した。7つの海を支配できなくなった「大英帝国」はどうなったのか。もちろん、経済崩壊寸前に追い込まれている。
今、強大な「帝国」として認識されている国はアメリカである。
アメリカは強力な軍事力を持ち、世界中の富を独占し、世界の隅々にまでその影響力を行使してきた。アメリカはこれからも世界に君臨できるのだろうか。一時的な停滞や問題があったとしても、まだまだ趨勢を保つ国なのだろうか。
中国やロシアと言った国に、アメリカは取って代わられるようなことがあるのだろうか。
実際のところ、アメリカがまた復活するのか衰退を余儀なくされるのかは、変化の渦中に生きている私たちにはまだ分からない。評論家や陰謀論がまったく当てにならないのはいつもの通りで、誰も将来を見通せない。
アメリカは1930年の世界大恐慌の時に「もうアメリカは終わりだ」と言われた。1975年のベトナム戦争の敗戦の時も同じことが言われた。2000年のITバブル崩壊の時も同じことが言われた。2008年のリーマン・ショックの時もやはり同じことが言われた。
しかし、そのたびに蘇って現在に至っている。
とは言っても、アメリカもまた誤りの多い人間が試行錯誤しながら政治経済を運営する国のひとつである。いずれは凋落していったとしても何ら不思議なことではない。アメリカという国もまた、歴史上起きた他の帝国と同じく勃興と没落の物語を辿ることになる。
ただし私たちが覚えておかなければならないのは、「没落がいつなのか」は現代に生きる私たちが推測できるものではないということだ。それは10年後かもしれないのだが100年後かもしれないのだ。
アメリカはすぐにでも没落すると言う人もいる。しかし、私自身は、アメリカが今後も「帝国」であり続ける底力があると考えており、少なくとも私の寿命よりも、帝国としてのアメリカの寿命の方が長いと考えている。
「5G」の時代に入り、そこから派生するイノベーションもアメリカが生み出すと信じているし、人工知能、自動運転、ロボット、ドローン、3Dプリンター、ブロックチェーン、フィンテック等々、次世代の主役もすべてアメリカが制覇するのは確実だ。
そうしたテクノロジーによる繁栄の「余波」は数十年に渡って続くだろう。であれば、まだまだアメリカに賭けた方が確率が高いと考えている。数十年後の答え合わせが楽しみではある。もし、私自身が生きていればの話だが……。(written by 鈴木傾城)
アメリカはすぐにでも没落すると言う人もいる。しかし、私自身は、アメリカが今後も「帝国」であり続ける底力があると考えており、少なくとも私の寿命よりも、帝国としてのアメリカの寿命の方が長いと考えている。
とりあえずアルトリアグループ、ABインベブ、コカコーラ、P&G、ダウデュポン、J&Jといった
私が年金代わりに株式を永久保有しよう決めているグローバル企業群は永遠に存在してくれることを期待します。
アメリカ、シナ、ロシア、朝鮮の国家群は別に今すぐ滅んでくれてもいいです。
アメリカ本土は広大で、カルフォルニア州だけで日本の国土より広いと言うと驚きでしょうが事実です。
ハワイ州とアラスカ州を除いたアメリカ本土には、ウエスタンタイム・マウンテンタイム・セントラルタイム・イースタンタイムと4つの時間帯があります。
車でLAからNYにフロリダ経由で9600km走ったことが有りますが、1日が23時間になる日が3回あったのも本土に4つの時間帯があるせいです。州境を超えると時計の針を1時間進めなければならないのは、車で旅行すると大きなロスタイムです。
1時間あれば100km移動できるのに、その日は諦めて宿探しをしないとホームレスになってしまいます(笑)。どこまでも続くインターステートハイウェイを走るとアメリカの日本とはスケールの違う大きさが分かります。
こんな国広大な国とまともに戦って勝てる訳が無いのですが、戦前の日本では大和魂で勝てると迷信を信じていたのです。戦争は消耗戦と同時に石油が無ければ戦闘機も軍艦も動かせませんから、この一点で自国で石油が大量に算出するアメリカに最初から負けると分かっている戦いでした。
山本五十六は2回もアメリカに行っているのですが、その時アメリカに寝返って真珠湾攻撃をしてアメリカを参戦させる口実を与えたと言うスパイ説があります。アメリカのどこまでも続くフリーウェイを走っている時にふと考えたことが有ります、本当かもしれないなと。
現在も過去も謀略やかく乱戦も平気でするアメリカですから、現在の米中貿易戦争で中国をつぶしたら当分アメリカに対抗する国は現れないでしょうね、、、、、、。
USAが現時点で最強で最恐の「帝国(絶大な覇権を握る存在)」であるのは間違いないと思います。ただし、あれが果たして「国家」なのかというと大いに疑問です。
むしろ、欧州的な、近代的な意味においての「国家」を否定する集団がでっち上げた「国家もどき」ではないかと。彼らは自由(勝手)に強欲に任せて経済活動したいけれど、「国家」というのはそれに制限をかけてくる存在だから、その制約を取っ払うための偽装としてUSAを立ち上げたのではないかと思うのです。そしてグローバル企業群は、もはや国家の枠組みとか関係なく強大な力を得たので、もしUSA自体は衰退しても特に影響を受けず君臨し続けるのではないでしょうか。
現在USAの支配下にある人民が星条旗を掲げて熱狂しているのを見ると、彼らは一体何に対して忠誠を誓っているつもりなんだろうと、不思議な気分になります。
かつてソビエト連邦という人工国家があってUSAの最大の敵対勢力とされていましたが、あれは担いでいた神輿と唱えるお題目が違うだけで、そもそもの成り立ちにはUSAと同根のものが関わっていたように思うのです。