この男は有機栽培のマリファナ栽培事業に200万バーツ(約680万円)を費やし、月40万バーツ(約136万円)の売り上げを上げることも目標としていたと語っている。証拠として押収されたのは、407本のマリファナ。数百本のマリファナエキス、乾燥したガンジャ(乾燥大麻)、そしてマリファナの種子、抽出器具だった。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
「マスターK」こと小宮克久
タイ・チェンマイで3人の日本人が逮捕されている。逮捕されたうちの1人は小宮克久という41歳の男である。
なかなか面白い男で、タイで堂々とマリファナを栽培し、ツイッターでも「@MasterK72037558」というアカウントで「マスターK」と名乗ってマリファナのツイートを上げまくっていた男だ。
『タイ政府公認の大麻栽培グロワーです。人の為の研究してます。フェノハント、ゲノム判定で最高の種作ります。1000発中の1発が僕の情熱です』
このようにツイッターのプロフィールに書いているのだが、逮捕されているのだから『タイ政府公認』というのは嘘だったということになる。
近所の人もこの男がマリファナを栽培しているのは知っていて「マフィアだと思った」とか言っているので、この男は「逮捕して下さい」と言わんばかりに大っぴらだったということになる。
タイではいよいよ医療用大麻が合法化されているのだが、この男は嗜好用のマリファナを栽培していたのだから、仮に販売ルートが解明されて国外にも販売されていたというのが証明されたら、終身刑か懲役50年の懲役になるはずだ。ちなみに、最高刑は「死刑」である。
栽培していた量が尋常ではないので、周辺国の人間であったら死刑宣告だったと思うが、日本人だということもあって恐らく手加減されるので、最高でも終身刑あたりで決まるのではないだろうか。
流暢にタイ語を話せて人を丸め込むスキルもありそうな男だ。恐らくチェンマイでそれなりの人脈も作っているのだろう。
「タイを助けるためにやった」「金はある」と捜査員にアピールしているので、本人はワイロで保釈されるつもりでいるようだが、果たして金の力がどこまで通用するか注目している。
しかし、こういうタイの法律を舐めきっている悪人を保釈するような前例をタイ当局が作るとは思えないので、さすがに小宮克久の思惑通りにはいかないように思える。
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自宅に突入 逮捕の一部始終
いったい何者だったのだろうか
それにしても、小宮克久とはいったい何者だったのだろうか。興味深いことに、逮捕される3年前に、タイ在住の作家である高田胤臣(たかだ・たねおみ)氏がこの男にインタビューしている記事があった。
『38歳の日本人がタイの大学院で農学を学び始めた理由』という記事だ。(ハーバー・ビジネス・オンライン:38歳の日本人がタイの大学院で農学を学び始めた理由)
さらに、2013年にも高田胤臣氏が小宮克久をインタビューした記事があった。日刊SPA!の『和食ブームのタイでコシヒカリ作りに挑戦する日本人』という記事だ。(日刊SPA!:和食ブームのタイでコシヒカリ作りに挑戦する日本人)
こうした記事もあって、小宮克久は現地の日本人社会の中では割と知られていた男だったということだ。こんなことになってインタビューした高田胤臣氏もさぞかし仰天していることだろう。
この記事を読んでいくと小宮克久という男の経歴が追える。
・大学卒業後に香港の旅行会社に勤めていた。
・実家の旅館経営を一時期手伝っていた。
・タイでビジネスを考え始めた。
・2013年にタイでコシヒカリ作りに挑戦し始めた。
・チェンマイ大学に入学に入学。
・オーガニックファームの研究。
・チェンダオでゲストハウス「ファイナルランド」の設立
・2020年5月からツイッターを始める。
・2020年10月、マリファナ栽培で逮捕。
この男がいつからマリファナを栽培するようになったのかは正確には分からないのだが、農業をビジネスをする男が、より大きな利益を得るために「マリファナ」に目を付けたのは必然だったのかもしれない。
自制心と良心と良識は、どうやら働かなかったようだ。
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マリファナを買った日本人もいる
タイ警察によると、小宮克久はこの有機栽培のマリファナ栽培事業に200万バーツ(約680万円)を費やし、月40万バーツ(約136万円)の売り上げを上げることも目標としていたと語っている。
証拠として押収されたのは、407本のマリファナ。数百本のマリファナエキス、乾燥したガンジャ(乾燥大麻)、そしてマリファナの種子、抽出器具だ。小宮克久は「許可を得ている」と言っているのだが、タイ警察当局は明確にそれを否定している。
この男と同時にタイ人スタッフと日本人2人が逮捕されているのだが、他の日本人は誰なのか。
『PJA NEWS』では「仲間割れし、強盗、恐喝、不法侵入、誘拐未遂、他に不法滞在、不法就労などをしたと見られる事件」とある。例によって、タイに巣食うゴロツキの日本人だったように見える。(PJA NEWS:麻薬製造の上に恐喝、誘拐未遂等!日本人3人を摘発)
状況を見ると、「タイで手広くビジネスでやっていた小宮克久という男が、もっと金儲けをするためにマリファナ栽培を始めて、ゴロツキを集めてビジネスをしたが仲間割れして、警察に密告されて逮捕された」というところだろうか……。
マリファナの販売はインターネットで行われていたということなのだが、FNNプライムオンラインでの報道を見ると「販路は日本」となる。そうであれば、これからこの男からマリファナを買った日本人の逮捕もこれから相次ぐことになるだろう。
小宮克久は『CaLA』というSNSに関わっているという噂も流れている。以下のものだ。
このSNSは「Slack」を利用したシステムらしいのだが、このSNSの謳い文句は「大麻好きの、大麻好きによる、大麻好きの為の自由なSNS」というものだ。
「誰がいつどんなことを言ったかなど、絶対にわからないように設定してある」と書かれているが、登録はメールアドレスであり、サーバーにはアクセスログが記録されてあるはずなので会員の身元は割れる。
このシステムを運用していた日本人も逃れられないので、警察にすべて話すのは時間の問題だろう。
『CaLA』が本当に小宮克久のものなのだとしたら、登録者は一網打尽だろう。日本ではマリファナは禁止されているのだから、インターネットでマリファナを買う人間もどうかしている。心当たりのある人間はさっさと自首した方がいい。
どのみち逮捕されるのだから……。
東南アジアで「手広くビジネスをやっている日本人」と聞くと、どうも胡散臭く感じてしまいます。偏見かもしれませんが。
それは偏見。マジメにやってる人達に失礼。
手広くビジネスの具体例が挙がるなら別ですがその人の説明がそれだけなら胡散臭い。
この方はタイの警察をなめているようで、大麻栽培がばれても賄賂で逃げられると思っているようですが、ここまで大きく報道されると無理です。死刑は免れてもこれだけの大量の大麻を栽培し販売していれば、最低懲役15年から終身刑になるでしょう。
大量の販売目的の麻薬を所持していたとして、日本人が終身刑判決を受けタイの刑務所で服役していました。数年前までバンコクのフリーペーパー「DACO」にその様子が獄中通信の形で連載されていて、タイの刑務所の実態が分かり興味深くその連載を毎月バンコクに通っていた興味深く私は読んでいました。
それによると販売目的の麻薬を所持していた場合恩赦は無く、殺人は10年の判決を受けていても恩赦で数年で釈放されるのですから殺人より罪が重いという訳です。糖尿病などの病気持ちのその方の場合でもタイ政府が薬を提供する訳でもなく日本領事館も薬の提供などはしてくれませんから、自力で金を払って薬を調達しなければなりません。日本では少なくとも医療刑務所があるのですから最低限の治療はしてくれます。発展途上国の刑務所の現実はきつく、食事は一日二食ですが普通の日本人にはその不味さに耐えられないでしょう。
DACOは月二回発行されますから、噂では1回の原稿料が500B(当時のレートで1500円)が彼の命綱だったようです。彼は領事の冷たさに何度も嘆いていますが、領事の方からすれば異国に来て刑務所に入っている人間に親身になれるはずもなく心の中で「この厄介者」と思っていたのでしょう。
何度かの恩赦の嘆願の結果か、数年前やっと釈放され帰国していますがタイの刑務所での長い獄中生活はさぞ辛かったと思います。一時は悪化した糖尿病で獄中死するとまで思ったそうですから、、、、、、、。
この人はすごいコネがありそう。ACEさんも知ってる通りタイはコネ社会だし、金持ちのどら息子もよく無罪になってますよね? この人無罪になる可能性は0%じゃないと思うんですが甘いですかね?