映画

◆アンナ・カリーナの映画『女と男のいる舗道』で1962年の売春の実態が分かる

(2019年12月14日、アンナ・カリーナが亡くなっている。彼女はフランスを代表する多くの名作に出ている女優だったが、ブラックアジア的には、この『女と男のいる舗道』がベストだ。フランスの売春を描いた映画である) タイ・バンコクの売春地帯のひとつにはスクンビット通りがあるのだが、このスクンビット通りには「ナナ」と呼ばれる駅や区域がある。 初めてこの「ナナ」という場所が売春地帯になっていると知ったとき […]

◆『カルメン故郷に帰る』はなぜカルメンで、カンカン娘のカンカンとは何か?

高峰秀子の映画に『カルメン故郷に帰る』という映画がある。 1951年の映画なのだが、この映画は日本で初めての総天然色、すなわち「カラー」で撮られた映画で、今観てもその映画に映る軽井沢の風景の美しさに見とれるほどだ。 ところで、この映画が制作された1951年というのは、昭和26年であり、まだまだ昭和20年の敗戦の空気が残っていた時代でもある。しかし、この映画はコメディであり、映画にはそうした暗さは微 […]

◆インド人の女性を扱ったある短編映画『私は娼婦なの?』

ある短編映画を紹介したい。『私は娼婦なの?』という小さなドラマなのだが、そこで演じられているインドのセックスワーカーの言動がなかなか殺伐としていてリアルなのだ。それで関心を持った。 インドは欧米のハイエナですらもなかなか踏み込めない場所なのだが、その理由はインド女性が先進国のハイエナが太刀打ちできるレベルではないことにある。 猛烈なまでに拝金主義であり、やってくる男たちを憎み、憎悪を見せ、打ち解け […]

◆映画『赤線地帯』に見る、1950年代の日本の裏社会の出来事

日本は1945年に敗戦を迎え、日本に上陸したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)はすぐに公娼廃止指令を出した。 しかし、日本には「遊郭文化」が根付いていたので、そう簡単に売春ビジネスは消えなかった。遊郭は「特殊飲食店(カフェー)」に鞍替えして生き残った。 政治家や官僚も遊郭で政治を語り、男は遊郭で友情を深めるのが当たり前の時代だった。GHQの命令には、日本人の上から下までみんな反対した。 やがて、 […]

◆映画『ボーダーライン』に見るメキシコの麻薬戦争の行方

アメリカで2015年に公開された映画『ボーダーライン』はメキシコの麻薬戦争をテーマにしたものである。監督はドゥニ・ビルヌーブ、主演はエミリー・ブラントで、世界中でヒットしている。 原題は『Sicario(シカリオ)』。 これはスペイン語で言うところの「殺し屋、暗殺者」であると言われている。この原題は映画ではとても重要な意味を持つのだが、ネタばれになるのでここでは詳しくは書かない。 メキシコを舞台に […]

◆『そして、ひと粒のひかり』。麻薬を運ぶ17歳の女性の物語

アフガニスタンやミャンマーのケシ、アルゼンチンやコロンビアのコカ、北朝鮮の覚醒剤。ドラッグを製造しているのは、そのほとんどが貧困国だ。 そして、ドラッグは貧困国から先進国に運び込まれる。貧困国がドラッグを扱うのは、それが高く売れるからだ。違法であっても、リスクを負うしか生きる方法がない。 だから、ドラッグ問題は貧困問題である。(貧困層が金持ちに売りまくることが可能な、割りの良い商品) このドラッグ […]

◆古き良き香港を映した名作「慕情」の著者ハン・スーイン死去

2012年11月2日。映画「慕情」の原作者だったハン・スーインが死去したという。映画「慕情」がいくら名作だと言っても、もう知っている人はいないはずだ。 これは1955年の映画であり、まさに「大昔」と言ってもいいほど昔の映画だからである。また観たことがあるという人でも、すでにその内容すらも覚えていないに違いない。 しかし、このロマンチックな主題歌は未だに聴かれる。 題名は”Love Is […]

◆シルビア・クリステル死去。エマニエル夫人で一世風靡した女優

シルビア・クリステルが死んだ。2012年10月18日、60歳だった。癌を患い、2012年7月には脳卒中を起こして寝たきりになっていた。 それから3ヶ月で亡くなっているので、最期は意識もなかったのかもしれない。全世界の女性の性意識を転換させた女性の静かな死だった。 シルビア・クリステルという女優は、多くの映画で人々に感銘を与えた女優ではなかった。50本近くの映画に出ていたが、ただひとつ「エマニエル夫 […]

◆伝説の映画『エマニエル夫人』に仕掛けられていたものとは?

2012年6月に、映画『エマニエル夫人』を演じていたシルビア・クリステルが脳卒中で入院したという記事が掲載されていた。 エマニエル夫人と言えば、1974年の映画だから、もう40年近くも昔の映画なのに、いまだ語り継がれる不思議な映画である。 なぜ不思議かというと、映画自体は名作でも何でもなく、原作すらも駄作で読まれることもないからだ。 しかし、この映画は映像美とシルビア・クリステルの美しさだけで、全 […]

◆ナンナーク。死んだ後から始まる愛。タイの美しいオカルト

かつて、タイは水の都であり、バンコクも水都として有名だった。それを非常に美しく、そして印象的に映画の中に取り込んでいたのが、1999年にタイ史上大ヒットを飛ばした映画「ナンナーク」だった。 この映画はオカルト映画である。しかし、そこに描かれるタイの原風景の美しさや人々の暮らしは、オカルト映画を見ていることを忘れさせるような「郷愁」に満ち溢れていた。 このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。 […]

◆エマニエル夫人。汚れて「いない」と感じるのは恐ろしいわ

エマニエル夫人という書籍は1963年にフランスで刊行された書籍だ。最初は出版社も著者の名前さえも印刷されない「謎の書物」だった。 しかし、これが出版されるや否や、大きな話題になり、フランスでは爆発的な売れ行きを示した。 著者は誰だか分からないのだが、詮索されるようになると「エマニエル・アルサン」が著者だと言われるようになった。 しかし、今度はこのエマニエル・アルサンが誰だか分からないのでまた騒ぎに […]

◆ドラッグに覆われたメキシコの現状をよく描写した映画3本

アジアと共に私がよく訪れていたのがメキシコだが、このメキシコの貧困地帯の荒廃ぶりは、アジアで言えば1990年代のカンボジアや、都市スラムが延々と広がるインドを彷彿とさせるものだった。 メキシコは、ドラッグ・売春・暴力・腐敗・貧困と、すべての退廃と悪徳が凝縮されており、このような殺伐とした環境の中で自由に動き回りたい旅人にはうってつけの国だった。 もっとも、それは2000年代までの話で、それ以降のメ […]