2023年に公開されたタイの映画『レッドライフ(Red Life)』を観た。タイのインディーズ映画としては珍しく劇場公開された映画ということなのだが、貧困の中でもがきながら生きる層に焦点を当てており、見応えがある。
映画は、強盗やかっぱらいをして生きている無学の男「ター」と、母親がセックスワークをしながら学費を捻出していることに複雑な感情を持って生きている貧しい女子高校生「ソム」の二人が中心として物語が展開する。
無学の男ターは同年代の「マーイ」を愛しているのだが、このマーイもストリートでセックスワークをして生計を立てている女性だった。
ターは強盗で生きている仲間と一緒にいるのだが、盗む相手もバンコク中央駅にやってくる田舎者だったりするので、危険な仕事のワリには実入りが少なく、数日をしのげるくらいしか稼げていない。
しかも、思いきりも悪いので見張りなのに警察に逮捕されたりする。逮捕されたターを見逃してもらうために、恋人マーイは警察官と寝てターを不起訴にしてもらったりしていた。
ターは、恋人マーイがセックスワーカーであることに不満を感じており、早く仕事を辞めてほしいと考えている。しかし、「じゃあ、あんたが養ってくれるの?」と返されると無言になる。とても、自分にはマーイを養うような収入もないからだ。
カタギになろうとして荷物運びの仕事もしてみるが、仕事は不安定ですぐにクビになってしまう。結局は稼ぐために、強盗仲間とつるんで危険な仕事をするしかない。
そんなターの焦燥を見て、マーイは役所に連れていって結婚届を出す。しかし、相変わらず貧困は変わらないので、彼女は身体を売り続ける。そこでターはもっと危険な強盗をするようになって、ますます人生を行き詰まらせてしまう。