◆外こもりをする男たちが困窮し、私が困窮しなかったのは「ここ」が違った?

◆外こもりをする男たちが困窮し、私が困窮しなかったのは「ここ」が違った?

2005年頃、安田誠というペンネームを使って『外こもりのススメ – 海外のほほん生活』という本を書いたのは、33歳の棚橋貴秀氏だった。

この「外こもり」というのは「引きこもり」の対比として作者は使っていて、「日本で引きこもりをするなら、海外で引きこもりをしたほうが楽しく暮らせる」という主旨で使われた。

この当時はFX(為替証拠金取引)が大流行していた時代で、この作者もFXをやっていて、ふたりの日本人に指南していた。しかし、損を出したことで逆恨みされてタイで殺されてしまった。

この事件についてはブラックアジアでも取りあげたことがある。(ブラックアジア:タイ邦人殺人。殺されたライター。そして犯人の2人の男たち

棚橋貴秀氏が生きていたら「外こもり」という言葉はもっと一般化していたかもしれない。彼のやっていたことは、今ではFIRE(経済的自立と早期退職を目標とするライフスタイル)という言葉に置き換わって続いている。

日本政府は「国民総活躍時代(死ぬまで働け時代)」を推進しているが、働かないでぶらぶらと生活したい人は多いので、「フリーター」だとか「外こもり」だとか「FIRE」だとか、「ぶらぶらして暮らす」系のジャンルは言葉を変えながらも、延々と続いているのだった。

基本的に「働かなくても投資(という名のバクチ)で暮らせばいい」というわけで、「FXで儲けて国外で安く暮らす」とか「暗号資産で儲けて国外で安く暮らす」とか「レバナスで儲けて国外で安く暮らす」と、バクチの対象が変わってぶらぶら暮らす生き方が提示される。

ただ、それで長く「外こもり」できている人は見たことがない。どれも暴落する局面があるし、資本主義はバクチで生活を維持できるほど甘くはなかった。バクチでコンスタントに儲けるのは想像以上に困難なことだ。

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

ブラックアジア会員登録はこちら

CTA-IMAGE ブラックアジアでは有料会員を募集しています。表記事を読んで関心を持たれた方は、よりディープな世界へお越し下さい。膨大な過去記事、新着記事がすべて読めます。売春、暴力、殺人、狂気。決して表に出てこない社会の強烈なアンダーグラウンドがあります。

貧困・格差カテゴリの最新記事