世の中には遺伝的に性的に普通から外れてしまった人たちがいる。LGBT(レズ・ゲイ・バイ・トランス)などは、まさにそうだ。
「普通と違うのは個性」と開き直る人は多いし、社会もそうした個性を許容する方向にあるのだが、そうは言っても「違う」というのは往々にして無理解と直面するので「理解されない苦しさ」を抱えることになる。
LGBTの人々の自殺率が普通の人たちの自殺率よりも高いことは、NPOの調査でも分かっており、東京新聞の2022年10月の記事では「3.8倍にもなる」と述べられていた。
10代のLGBTQ(Qはクィア)で自殺を考えた人は48%、自殺未遂は14%というので、この数字を見ると相当高いことになっている。他にもさまざまな団体が調査を行っており、やはりLGBTの希死念慮が高いことが判明している。
理解されないというのは、いじめの対象にもなる。また劣等感の対象にもなる。さらに他人から好奇の目で見られたり、変質的な目で見られたりする。そのために、カミングアウトできず、ひたすら隠し続けるLGBTも多い。
しかし、隠しても現れてくるのが「本当の自分」である。
それが無理解でいじめにつながっていく。教師や両親に相談しても、彼らすらも「性の異質さ」は理解できない。だから、「自分はおかしいので、このままでは社会に受け入れられない」という気持ちに追い込まれていくようだ。
社会に受け入れられていない、理解されないというのは、想像以上に苦しいことだ。だから自殺が選択肢になってしまうこともある。