ここ10年ほどで、モデルの世界は「外観の多様化」が非常に進んできていて、「ボディ・ポジティブ」という考え方がモデル側から提唱されている。
「ボディ・ポジティブ」で目立つのは、かなりサイズオーバーな女性たちである。しかし、本来のボディ・ポジティブはオーバーサイズの女性だけを指すものではない。
小柄な身体、大柄な身体もすべて認めるとか、肌の色がなんであっても認めるとか、障害を持った身体を認めるとか、高齢の人の身体を認めるとか、本来は「モデルとしてはふさわしくない」と思われてきた身体を認めるものであった。
これは社会運動のひとつである。
人間の美は「ひとつ」ではなく、人間の身体も「ひとつ」ではないので、枠にはめられた杓子定規な「美」を否定して、「もっといろんな美を認めよう」とはじまったのが運動が「ボディ・ポジティブ」だったのだ。
もちろん、人間には好みがある。当然、「私は痩せてスラリとした従来のモデルが好きだ」という人もいる。「ボディ・ポジティブと言われても、どうしても、これだけは受け付けない」と思う個性もあったりするだろう。
しかし、自分の好き嫌いとは別に「いろんな身体があり、いろんな個性があり、今まで欠点だと思っていたものでも個性として愛せる人もいるんだ」という柔軟な受け入れを促すのが「ボディ・ポジティブ」という運動なのだ。
私自身は、この「ボディ・ポジティブ」の考え方を知ったとき、「やっと世間は私に追いついてきたのか」とほほえましく思ったのだった。
私は東南アジアの歓楽街(Red Light District)に長らくいた。そこでは「ボディ・ポジティブ」の考え方をいち早く身につけた男が、もっとも多くの果実が得られる世界でもあったのだ。
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