中国武漢から始まったコロナ禍は、全世界で人を孤独に追いやる社会環境を作り出した。飛沫感染を避け、濃厚接触にならないために、収束するまでは家でじっとしていることが求められている。
人と会っても気軽に触れ合うこともできない。感染しないようにそれなりの距離を置く必要があり、店に入ってもアクリル板で仕切られ、マスクで相手の表情を読み取れない。ひとりで暮らしている単身者は、ことさら孤独を感じることになる。
それは大きなストレスである。特に、人との交わりの中で生きる喜びを見出すタイプの人にとって、絶え間ない孤独感は押し潰されそうなストレスとなる。
当初、半年から1年くらいで何とか収束するのではないかと言われていたコロナ禍だが、1年過ぎた今もなお4度目の緊急事態宣言を発令して、なかなか収束する感じがしない。
こうした中で若年層や女性の自殺が増えているのだが、これは経済的な側面ばかりではなく、人間関係が希薄になって孤独に追いやられてしまった憂鬱が引き金になってしまっているというのは推測できる。
ただ、ストレスを感じたからと言ってすぐ自殺に向かうのではない。その前に激しいストレスから「逃れる」ために、四苦八苦してもがく。
ゲーム依存、ネット依存になる人もいるのだが、時には恒常的に過食したり、アルコールに向かったりする人もいる。しかし、孤独感がそんな行為で癒やされるわけではない。
執拗で消すことができない深く強い孤独感は「誰かと会って濃厚接触する」しか癒やせないのである。だから、「最悪のタイミングで最悪の選択をする」人も出てくる。それは、どういうものなのか?