コロナ禍で風俗嬢が稼げなくなって、貧困のどん底《ボトム》にまで落ちてしまったという報道はよく聞く。それはとても悲しいことであり、何とかならないのかと心を痛める人も多い。
ところで、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると大学卒の初任給の平均は大企業で21万5900円であると言われている。女性は20万9700円である。
では、デリヘルに勤めている20歳の女性はいくら稼げるのか。20日出勤で一日3万円から4万円を持って帰れるのであれば、月60万円から80万円は稼げることになる。ソープランドでは100万円から150万円を稼ぐ女性も珍しくない。
風俗は女性の容姿によって稼げる金額が天と地ほど変わってくる。風俗でも月20万円も稼げない女性も当然いる。だから、その金額は絶対的なものではない。しかし、普通の容姿であれば大学初任給の3倍以上は稼げる。
コロナで風俗では稼げなくなって60万円が20万円になりました、という風俗嬢がいるとする。それは収入が3分の1になってしまったことを意味する。収入が3分の1になってしまったというのはたいへんなことだ。
しかし、20万円という金額は極貧の賃金なのだろうか。いや、大学卒の女性の初任給が20万9700円であることを考えると、ほぼ同額である。それは十分ではないかもしれないが、極貧を示す賃金ではない。
そもそも、その前に60万円以上も稼いでいたのであれば、十分に金が貯まっていたのではないかと思う人もいるはずだ。しかし、それだけ稼いでも売春する女性や風俗の女性は、なかなか金が貯まらないのも大きな特徴だ。
夜のビジネスは、ハイリスクだがハイリターンでもある。彼女たちはリスクを取ってハイリターンを取った。表社会の女性では稼げないような額を稼いだ。もともと大金を稼いでいたのであれば、コロナ禍での不景気でも十分に耐性があるはずだ。
しかし、それだけ稼いでも、結局は多くの女性が「金がなくなって」元の貧困生活に落ちてしまう。大金を稼いでいるのに、どうしてそんなことになってしまうのだろうか……。