CATEGORY 野良犬の女たち

◆「普通の男は風俗嬢と付き合おうとは思うな」というのは覚えておくべき教訓

以前、五反田で取材したことのある30代のデリヘル嬢の女性から2年ぶりに連絡がきたので歌舞伎町の喫茶店『集』で会ってきたのだが、久しぶりに会うと一見してまったく分からないほど風貌が変わっていた。 かつては茶髪でカールした髪型だったのだが、それがボーイッシュなショートの金髪になっていて、ファッションセンスがやや派手気味に変わっていた。化粧も変わっていて、以前よりも派手な感じになっている。 私が「全然前 […]

◆セックス産業にいた女たちは、予測しないところで過去を暴かれる

一部の女性は生きるためにもがいている。そして人生のどこかで闇に堕ちる。生きるために身体を売り、食べるために荒んだ世界で荒んだ男たちと会う。 やがて何とか最悪期を脱して表社会に戻り、ごく普通の生活を取り戻して社会に羽ばたいて行こうとするとき、「堕ちた過去」が邪魔になっていく。 堕ちた過去はその女性の人生の一部である。その時期は必死で生きていたという証拠でもある。その堕ちた過去があったから生き延びてい […]

◆ストリート売春するトランスジェンダー(2)。彼女はニューハーフではない

電話に出た対応の男は若い声で丁寧だったが、畳み掛けて押し付けるような雰囲気を持っていた。私がトランスジェンダーの女性が出勤しているのかどうかを確認したら、「ウェブには在籍中になっているが接客中で2時間後になる」と言われた。 「時間がもったいないので、それならあきらめるよ」 私がそのように言って電話を切ろうとすると、「ちょっと待って下さい」と数秒ほど待たされてから、このように勝手に話を進めていく。 […]

◆ストリート売春するトランスジェンダー(1)。日本がパンドラの箱を開ける日

新宿の西口から東口に向かうために思い出横丁のガード下のトンネルのようになった通路を歩く。この通路はいつしか改装されて明るく清潔になったのだが、以前からホームレスたちがダンボールを敷いて寝る場所には違いないので、今でも都会のどん底《ボトム》がどうなっているのかを垣間見ることができる。 この日も三人のホームレスが通路の脇でダンボールと毛布と寝袋を敷いて、プラスチックのお椀を道ゆく人たちの前に置いて物乞 […]

◆美のオーラを発していた彼女は、いかにして男が徹底的に嫌いになったのか?

フェミニストの「男性憎悪《ミサンドリー》」は男女の分断を深めていく一方で、女性の立場をより悪化させているように見えることもある。(自分の男性憎悪を吐き出すためにフェミニズムという看板を使う女性がいる?) まるで男という存在そのものが「この世の悪」のような勢いで、激しく批判と攻撃を繰り返したら、男の側もまた激しい憎悪を女性に持つ。そうした憎悪の連鎖がジェンダーを起点にした分断と対立を限りなく煽って、 […]

◆「職歴の空白」という不利に苦しむ風俗嬢たち。世間の風は凍えるほど冷たい

先日、刑務所上がりの知り合いといろいろ話をしていたのだが、ご存知の通り日本ではカタギになろうとして履歴書を開いて、正直に「刑務所に勤めていました」と書いても評価されることはない。 つまり、前科がある人間はいくら刑務所の中で更生したところで、それで再び表社会で普通に働けるようになるとは限らない。履歴書に正直に前科を書いたら、その時点でほとんどの面接は落ちる。 前科があることを言わなければバレないこと […]

◆坊主。風俗嬢を最も苦しめるのは、待機場にいて自分「だけ」が選ばれないこと

2020年からのコロナ禍で風俗の世界では風俗嬢も客も減ったのだが、2020年の秋頃から風俗嬢は戻りはじめ、2021年にはまだ緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が行われていたにもかかわらず客の方も戻って来るようになってきた。 2022年はオミクロンが流行して感染者数は増えているのだが、もう夜の世界では誰もコロナを恐れている人間はおらず、いまや風俗は新しい女性が次々と風俗に飛び込むフェーズとなっている […]

◆夜に馴染んだ女性は、表社会に戻りたいと思っても戻れない体質になっている

2022年1月17日、オミクロンの感染が広がったことで、日本政府は東京・千葉・神奈川・埼玉・三重・岐阜・新潟・長崎・宮崎・熊本の一都九県に、新たに「まん延防止等重点措置」を適用する方向で検討に入っている。 風俗嬢は2020年から2年、コロナ禍による環境の激変でひたすら耐えて生き延びてきたのだが、やっとコロナ禍も終わると思われた11月から突如としてオミクロンの流行が始まって、またもや危機にさらされて […]

◆まさに今、「未経験」の女性たちが何人もアンダーグラウンドの門をくぐっている

11月に入ってからオミクロン株という新たな変異体が登場して再び世界は混乱しているのだが、売春や風俗の世界はどうなっているのかというと、これがまったく影響がなく、もう誰もがコロナに飽きて通常に戻りつつある。 今までコロナを恐れて売春や風俗の世界から足を洗った女性も戻って来ているし、コロナで経済的ダメージを負った昼職の女性も「未経験」として新たに夜の世界に飛び込んで来ている。 私自身は情報をもらうため […]

◆「恋人が風俗で働いているのを黙認する男」が必ずしも最低ではない理由とは?

社会の裏側を野良犬のようにうろうろしているとすぐに気付くのは、思慮深い人間よりも、むしろ思慮に欠けた人間の方が多いということだ。 それもそうだと思う。アルコールやドラッグや危険な性病や騙しや詐欺や犯罪が剥き出しの場所なので、まともな人は近寄らない。必然的に享楽的で、短絡的で、自滅的な人間が集まることになっても不思議ではない。 遠い昔に見た欧米社会のどん底《ボトム》を描いたドキュメンタリーで、登場人 […]

◆コロナ禍で外見にも清潔さにもこだわらない客層が風俗で目立つようになった

2020年のコロナ禍で3月あたりは風俗業も大人しく自粛していたのだが、そのうちに誰も自粛を守らなくなって、秋頃にはすっかり通常営業と化した。 2021年に入ってからは、政府がいくら「蔓延防止等重点措置だ、緊急事態宣言だ」と言っても、風俗業界は完全に無視して普通に営業している。 もちろん客は減っている。守るべきものがある男たち、コロナで二週間も休んでいられない男たち、感染が恐ろしいと思う男たちは風俗 […]

◆コロナ禍で困窮する風俗嬢。大金を稼いでいたのに、なぜそうなったのか?

コロナ禍で風俗嬢が稼げなくなって、貧困のどん底《ボトム》にまで落ちてしまったという報道はよく聞く。それはとても悲しいことであり、何とかならないのかと心を痛める人も多い。 ところで、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると大学卒の初任給の平均は大企業で21万5900円であると言われている。女性は20万9700円である。 では、デリヘルに勤めている20歳の女性はいくら稼げるのか。20日出勤 […]

◆吉原ソープランド(2)。何もかも「偽名」で成り立っている吉原という世界

湊川さんは芹沢《せりざわ》加茂さんの徹底的な接客を、半ば嫉妬のような感情が交じった口調で褒め称え、そうした「吉原伝説」を彷彿とさせる女性が他にもたくさんいて、「ちょっと可愛くてマットがうまくてNN(生・中出し)できる子なんか、それだけではトップになれない」と言った。 売れっ子はみんなそうなのだ。そうした女性が何百人もいる。しかし、「吉原伝説」の女性たちは、もはやそうした次元を超えた存在なのだと言う […]

◆吉原ソープランド(1)。ソープランドを渡り歩いた吉原ソープ嬢と吉原伝説

2020年8月、東京都葛飾区にある老舗ソープランド「亀有角えび店」が家宅捜査・摘発される事件があった。(ブラックアジア:ソープランドは風営法による「兵糧攻め」によって、いずれ自然消滅してしまう) これはソープランド内で客の男が盗撮していたのがバレて、女性や店員が男を激しく叱責・罵倒したのだが、それに恐怖した男が警察に駆け込んで、店長が恐喝容疑で逮捕され、店はガサ入れが入ったという事件だった。 ソー […]

◆裏社会の成功体験は、より女性を堕とす。「あの年代」の女たちが戻っている

2020年は中国発コロナウイルスによって女性の苦境が鮮明化しつつある。自殺が増えているのだが、先が見通せなくなった10代の女性の自殺も多い。 コロナ禍によって雇用者数は減少しているのだが、その多くは非正規雇用者である。7月時点で前年同月比131万人の減少である。言うまでもないが、非正規雇用者の割合は男性よりも女性の方が多い。 休業も女性の方が男性よりも3.9倍多い。女性はコロナ禍で男性よりも追い込 […]

◆真夜中の世界では誰でも稼げるわけではない。適性がなければ地獄に堕ちる

昼間の仕事よりも夜の仕事の方が稼げると思っていないだろうか。昼間の仕事で稼げなくなったら、夜の仕事で稼げばいいと思っていないだろうか。 確かに夜の仕事は昼間の仕事に比べて高収入であるのは間違いない。水商売や風俗は高収入の代表でもある。 しかし、真夜中の世界はうわべだけは華やかだが、そこには「安定」などまったくない。生活の保障もない。 ホストにしても、どこかの店に所属したらすぐに安定的収入が入ってき […]

◆「自由」の本当の正体は、世間に背を向けた風俗嬢が知っている?

今まで多くの風俗嬢と会ってきたのだが、振り返って見ると記憶に残るのはやはり強烈な「自分」を持ち合わせている女性だった。 私は一度会った女性とは二度と会わないのが基本なのだが、もう一度会ってみたいと不意に思う風俗嬢がふたりいる。 ひとりは肩から背中から太腿まで大きな鯉の絵を入れた風俗嬢で、見かけはごく普通の女性に見えたのだが、服を脱ぐとまったく異質な世界を背負っていた。 東南アジアで見る刺青というの […]