今の日本が生きにくいのは、貧困地区と金持ちの地区が分かれていないから?

今の日本が生きにくいのは、貧困地区と金持ちの地区が分かれていないから?

少子高齢化も解決できない日本は、ゆっくりと国としての体力を喪失している。アンダークラスの増加が止まらない。そんな現状からして、やがては経済格差による棲み分けが始まっていくのは明白だ。気が付いた時は、間違いなくアンダークラスだけの地区が出現している。そして、日本もそれを受け入れるようになる。世界中の多くの国は最初からそうなっていて、それが自然なのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

日本の街は富裕層地区と貧困層地区に分離する

今はまだ「格差を是正しろ」という意見が大勢を占めているのだが、そのうちに「もう格差は是正されない」と人々が気づくと、貧困層(アンダークラス)はそれを受け入れるようになる。

騒いでもどうにもならないのであれば、人はもう騒がなくなるのだ。そして、それが格差の固定化につながる。

格差が固定化すると、ひとつの国なのに、まるで見えないレイヤーでもあるかのように人々が分離していく。考え方も、暮らし方も、教育も、買う物も、すべてが違ってしまうので、やがて生活圏がはっきりと分離していくのだ。

今でも「アッパークラス(富裕層)エリア」と「アンダークラス(貧困層)エリア」がうっすらと区分けされつつあるのだが、今後はそれがもっと明白になっていく。

街を歩いただけで、この地区は金持ちだけの土地、この地区は貧困者だけの土地というのが瞬時に分かるほど、雰囲気も住民層も違ってくるようになる。

そして、そうなったあとに、金持ちは金持ちの経済圏、貧困層には貧困層の経済圏へと明確に分かれていくはずだ。

日本は今、経済圏が金持ちも貧困層も同じだ。金持ちも貧困層も、同じ近所のスーパーで買い物をして、同じようなものを持っている。これも、いずれは分離していくことになる。

日本以外のすべての国は、だいたいそのようになっている。そうだとしたら、日本もそうなっていくのではないかと想像できるはずだ。

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日本では消えたはずの「スラム」ですらも姿を現す

日本には「あからさまな貧困地区」というのがないが、経済格差による分離がどんどん進んでいくと、いずれ必ず貧困地区が出現する。

日本がどこまで衰退していくのか分からないが、十数年後にでも日本の社会保障が崩壊したら一気に絶対貧困層が現れるので、今の日本では消えたはずの「スラム」ですらも姿を現すだろう。

貧困地区に住む人々というのは、建物のメンテナンスなどされておらずボロボロになっていても、いろんなものが壊れていても、安全性が確認できなくても、治安が悪くても、とにかく「安ければ安いほど良い」という層(クラス)である。

どんなに居住条件が悪くても、そこが安ければその一点でそこに住む。なぜなら、そうするしか選択がないほど生活が行き詰まっているからだ。ホームレスになるくらいなら、まだ貧困地区の方がマシだろうと考える。

すでに日本も月給換算で言うと10万円程度の収入しかない若年層や女性や端した年金しかもらえない高齢者が増えている。

グローバル化した社会で日本企業はどんどん人を削減する。そして、日本政府はもう財政赤字に追い込まれているのだから、生活に困窮したアンダークラスがもっと増えていくと彼らを救済することはできない。

そういった人たちが都市で暮らすためには、月4万円や5万円のワンルームですらも高すぎる。彼らが求めているのは月2万円や3万円ほどの住居であり、それくらいで住めるのであれば、条件が悪かろうが何だろうがそこに入るだろう。

だから、老朽化して本来は売り物にならなかったはずの住居ですらも、値段を下げれば人が入るようになっていく時代になる。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

極端に安い粗悪品がそこで出回るようになっていく

今、どん底の若年層は、それぞれの街のそれぞれのネットカフェなどにひっそりと暮らしている。

しかし、ネットカフェなどのキャパシティを超えるほどの若年層や中高年が増えたら、日本でも明確にアンダークラスだけが住む街(エリア)がいずれ生まれる時代が来てもおかしくない。

かつてのドヤ街である大阪のあいりん地区、横浜の寿町、東京の山谷のような場所に人が流入していくかもしれないし、あるいは新たにそのような場所がどこかに生まれるかもしれない。

そうした場所では、建物がスラム化しても誰かがそこに住み着き、そうした人たちが増えていくと逆に金持ちや中産階級が逃げ出していく。すると、そこがアンダークラスだけの地区になっていく。

次に、「アンダークラスだけ」を相手にしたビジネスがそこに集まってくる。たとえば、品質の悪い食品、売れ残りの食品、身体に悪い粗悪な食品、賞味期限が切れた食品、場合によっては食べ残し食品も、公然と流通するようになる。

そういった食品しか売れないのだからそうなっても仕方がない。貧困地区では安ければ安いほど売れるからだ。高い食材、高い食品は見向きもされないから、さらに「安いだけ」の粗悪品が集まる。

そして、貧困地区では、貧困地区でしか通用しないアンダークラスのためだけの「食文化」がそれによって生まれていくのである。

食べ物だけではない。着る物も「訳あり」「キズモノ」「流行遅れ」「安い材質」で作られた極端に安い粗悪品がそこで出回るようになっていく。

日本では100円ショップのような粗悪品売りのショップが幅を利かせるようになっているが、まさに100円ショップ程度の粗悪品だけしか売らない店ばかりになるのが貧困地区である。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

経済格差による棲み分けが始まっていく

そういった地区が生まれると、どうなるのか。実は、そういった地区が生まれると、逆にアンダークラスは月給10万円でも「それなりに楽しく暮らせる」ようになっていくという皮肉な状況になる。

その地区から出ない限りは、その地区の中だけで生計が十分に成り立つからだ。

世間からはアンダークラスと言われ、住んでいるところは貧困地区と言われるようになるのだが、そこで暮らしていけるようになれば、アンダークラスはそこから出なくなる。そして安い給料でも暮らしていけるので、それを受け入れるようになる。

現在は非正規労働者の多くは「賃金を上げてほしい」と思っているのだが、明確なる貧困地区が生まれると、やがてそういった欲求も不満もなくなって、安い給料を受け入れるようになっていく。

「給料が安くて生活できない」という切実な問題がなくなるからである。貧困地区で暮らせば生きていけるので、給料の安さを受容できるようになる。

貧困地区の出現は、アンダークラスを貧困に固定させることになるのだが、それでもアンダークラスは貧困地区を望むはずだ。

何しろ家賃も安くて物価も安くて、まわりはみんな自分と同じアンダークラスである。その地区の中であれば安い給料でもそこそこ生きていけるとなれば、貧困地区は「それなり」に生きやすい環境なのだ。

少子高齢化も解決できない日本は、ゆっくりと国としての体力を喪失している。アンダークラスの増加が止まらない。そんな現状からして、やがては経済格差による棲み分けが始まっていくのは明白だ。

気が付いた時は、間違いなくアンダークラスだけの地区が出現している。そして、日本もそれを受け入れるようになる。世界中の多くの国は最初からそうなっていて、それが自然なのだ。

貧困格差が解消される見込みがないのであれば、そうなった方が実はアンダークラスには幸せなのだと日本人も気づく日がくるはずだ。

上を見ない限り、同じ境遇の人たちと暮らしていける。恐らく多くの人は認めないし、抵抗すると思うが、今の日本が生き苦しいのは「貧困地区と金持ち地区が明確に分かれていないから」かもしれない。

日本人はいつかそれに気づく日がくるのだろうか?

『ブラックアジアインド番外編 絶対貧困の光景 夢見ることを許されない女たち(鈴木 傾城)』

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