閲覧注意
今の時代の人々に「貞操を守るのは大切なこと」と言っても鼻で笑うはずだ。「一生をひとりの人と添い遂げなさい」と言われても、そんな誓いを守れる人はほとんどいないはずだ。
これは、男性でも女性でも同じだ。今の男女は最終的に誰かと一緒になるまでに何人かの異性と肉体関係を持つ。時には同時並行で何人もの異性と付き合う人もいるし、結婚して離婚してまた違う人と結婚する人もいる。
かつては、こうした行為は「不道徳」であるとして糾弾されていたものである。処女や童貞で結婚し、一生をひとりの相手としか性行為をしないことが正しい人間の生き方であると宗教も社会も強く人々に言った。
もちろん、こうした時代にもカネのために身体を売る女たちの存在と、その女たちと好んで関わる男たちもいた。売春というビジネスはいつの時代でも消えることはなかったし、不品行は時の為政者や宗教家がどんなに強く圧力をかけても生き残った。
しかし、彼らは今の社会から見ると考えられないほど表社会からは拒否・拒絶・弾圧されていたというのは忘れてはならない。それこそイエス・キリストの時代から売春する女たちは「神に背いた女」として毛嫌いされていた。
15世紀のヨーロッパになると、売春する女たちへの拒絶反応はますます深まっていくようになっていた。そして、中世は「貞操」が極度に求められるようになっていた。
なぜか。
そこには恐怖の「ポックス」があったからだ。「ザ・ポックス」こそが、人々を恐怖で道徳に縛りつけた存在だったのだ。