「健康」など鼻で笑っていたアメリカ人も不安を感じるようになっている

「健康」など鼻で笑っていたアメリカ人も不安を感じるようになっている

最近は、アメリカでも不健康な食生活からの脱却が言われるようになり、コカコーラやペプシのような砂糖まみれの炭酸飲料は敬遠されるようになっているし、ピザやハンバーガーのような油脂まみれの食品も避けられるようになっている。

「健康」など鼻で笑っていたアメリカ人が、そうなっている。

欧米ではビーガン(純粋菜食主義者)というスタイルも猛威を振るっているのだが、そうした人々が登場して来ているという「社会現象」に、時代の変わり目を感じる人も多くなった。

人々は、今の食品に漠とした不安感や不信感を持っているのである。

すでに食品は大量生産のために「農薬まみれ」で生産されている。野菜でも果物でも、それが収穫されるまでに莫大な農薬が散布されて、植物はそれを浴びて育っていく。当然、収穫された食物にも化学薬品が残留している。

作物の表面が化学物質にまみれているだけではなく、その内部も農薬を吸って汚染されてしまっている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「食べれば病気になる」世界に

それだけではない。収穫された食品を腐らせずに流通させるため、運ばれる段階でも食物に農薬が散布される。収穫(ハーベスト)のあとに散布される農薬なので、これは「ポストハーベスト」と呼ばれている。

加工食品になると、ここに防腐剤や添加物が混ぜられ、さらに食品がおいしく見えるように着色料も使用される。最終的に、ひとつの食品にはありったけの農薬・防腐剤・添加物・着色料が投入されるということになる。

そして、人はこういった食品を1回の食事で数種類から数十種類を同時に食べる。どんな健康的な食品に見えても、その成分をよく見ると多くの添加物が紛れ込んでおり、もはやこうしたものを避けることができない。

その結果、体内では取り込まれた化学薬品がカクテルのように混ざり、これが深刻なアレルギーや、原因不明の病気や、中毒症状や、慢性的な病気を引き起こす。

「しっかり食べないと健康になれない」というのは過去の話だ。現代は「食べれば病気になる」のである。

グローバル経済の中では、食べ物すら効率とコストの対象になっているので、ジャンクフードが現代人の主食となっている。ジャンクフードとは高カロリーで脂肪と塩分と添加物がたっぷり含まれている食品を指す。

たとえば、ピザやハンバーガーやスナックフードなどはジャンクフードの典型である。高カロリーなのに大切な食物繊維やミネラルがほとんど含まれていない。

マクドナルドやケンタッキーやピザハットのようなジャンクフードは手軽で、いつでもどこでも同じ味を素早く食べることができる。

欧米ではこのようなジャンクフードしか食べたことのない子供が増えて、それがそのままアメリカの肥満問題と不健康問題へとつながっていることを人々は知っている。

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勝手に注入・改変された遺伝子

問題を深刻化させているのは、遺伝子組み換え食品だ。遺伝子組み換え食品がどのように人間に悪いのかは、もう何度も繰り返して指摘されている。

それは人体にどのような影響を及ぼすのか厳格なテストがなされていない。だから、新しく「勝手に注入・改変された遺伝子」が、今後人間の身体にどのように影響を与えるのか分かっていない。

今まで安全だった食品でも、遺伝子が変わることで安全が担保されなくなる。それを、なし崩しに私たちは食べさせられている。

組み込まれた遺伝子は人体に有害なタンパク質を生産する可能性も指摘されている。あるいは、アレルギー反応を起こす可能性も指摘されている。

人間の身体の全細胞はタンパク質で作られている。遺伝子が改変されたタンパク質が入ったとき、それが有害なものだったという可能性はゼロではない。

さらに、無害だった遺伝子が何らかの微生物を変化させて、それが人間に悪影響を与える危険性も指摘されている。人間の体内にも多くの微生物が住んでおり、こういった微生物が遺伝子組み換え食品によって性質が変化してしまう。

そうすると、既存毒性が増大する可能性や、休眠していた遺伝子が活動する可能性があることを科学者は指摘している。

つまり、遺伝子組み換え作物によって、原因不明の疾患が表面化する可能性がある。トウモロコシや大豆を見て、昔と同じように見えても、すでに遺伝子レベルから違うものになってしまっている。

わけのわからないものを食べて、健康でいられると思うほうがどうかしている。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

水を普通に取ってもまた発癌物質

人間は食べ物と同時に水も摂取しているが、食べ物を作る過程で莫大な農薬が散布され、それが土壌に染み、さらに雨によって流されて、川に合流する。さらに、ここに生活排水と産業廃棄物が混じっていき、飲料水の質を悪化させる。

殺虫剤、除草剤、各種化学物質、バクテリア、病原菌、塩素、石油、合成洗剤、重金属が川の水に混じる。

水道の水は濾過されているが、そこに塩素が混ぜられていく。水道の水を飲めるのは日本を含む一部の国だけだ。基本的に、もう水道の水は人間の飲むものではなくなっている。

日本の水道水でも、塩素・鉛・トリハロメタン等の有害物質が含まれていることが確認されている。トリハロメタンには発癌物質が含まれている。しかし、調理されるものは水道の水を使わざるを得ない。

食べ物の中に含まれた莫大な残留農薬・添加物・化学薬品で癌になる確率が高くなっているというのに、水を普通に取ってもまた発癌物質が身体に入っていくのである。

人間は水を飲まないで生きていくことは不可能だ。その水が汚染された時、人間の身体もまた汚染されていくというのは避けられない事態なのである。

こうした環境から防衛するために、最近は多くの人が飲み水をペットボトルの水に置き換えて飲むようになっているのだが、それは経済負担を増す動きであり、貧困層は汚染された水を飲めという話になる。

こうして水を飲むという生命に欠かせない行為でも、うかうかしていると大量の危険物を取り込んで癌を発病させる元になってしまうことになる。

突っ走るのか、引き返すのか?

しかし、皮肉なことがある。これだけ食環境が悪化しているのに、医学の進歩によって人間は長生きできるようになっているのである。

私たちは、現代の先進国に老いても活動的な人たちが溢れていて、彼らが活き活きとしているのを見ている。そういった高齢層を見ると、自然と若い自分たちも「かなり生きられるのではないか」と無意識に思う。

そうかもしれない。しかし、それが大きな錯覚である可能性もある。これからも私たちが健康と長寿を維持できる保障はどこにもない。

多くの添加物がさらに食品に混ざり込み、ジャンクフードがもっと食べられるようになり、遺伝子組み換え食品しか選択肢が消え、水も汚染され、抗生物質が効かなくなる悪夢の世界が臨界点を超えた時、社会は急激に悪化していく可能性もある。

今は「環境の悪化」よりも「医学の進歩」の方が目覚ましいので、どんなに環境が悪化しても人間は問題ないように見えるのだが、もし「医学の進歩」を凌駕するほどの環境の悪化が来ないと誰が言えるのか。

環境の悪化にも、「これ以上は超えてはいけない」という臨界点があるはずで、それがどこなのかは私たちは分かっていない。

私たちは、子供の頃からジャンクフードに囲まれていた。農薬・添加物・化学薬品にまみれた食べ物を食べ続け、汚染された飲料水を飲み、環境ホルモンで撹乱されてきた。

だから、私たちは不安になっており、健康志向の流れが台頭するようになって、ビーガンのような突出した集団をも生み出すようになっている。もしかしたら、人間は「そろそろ超えてはいけない臨界点に近づいている」というのを本能的に悟っているのかもしれない。

人々は今の食品に漠とした不安感や不信感を持っている。この漠とした不安を抱えたまま人類は食品汚染に向かって突っ走るのか、それともどこかで引き返せるのかはまだ分かっていない。(written by 鈴木傾城)

人々は今の食品に漠とした不安感や不信感を持っている。この漠とした不安を抱えたまま人類は食品汚染に向かって突っ走るのか、それともどこかで引き返せるのかはまだ分かっていない。

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