鈴木傾城のひとりごと2。小説『背徳区、ゲイラン』は5月の中旬に刊行します

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5月中旬に『背徳区、ゲイラン』という小説を出版する予定ですが、私がこの小説を書きたいなと思ったのは、今までずっとシンガポールの売春地帯で出会ったリーパというスリランカ女性のことが忘れられないからです。

リーパについては『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々』の最後の章に書いている通りなのですが、私にとっては彼女の印象が東南アジアの歓楽街をさまよっていた人生の中でもっとも鮮烈に印象に残った女性でした。

路上に立つ彼女の険しい横顔や食い入るように誰かを見つめる、凶悪ともいえる視線に、私は今もくらくらするくらい惹かれています。残念ながら、リーパの写真は一枚も残していません。本当に残念です。

でも、リーパ以前とリーパ以後の私の女性の美の概念は、ガラリと変わったといってもいいと思います。

彼女は私には極度に優しかったのですが、他人は誰も信じていないようなところがあって、その二面性がとてもスリリングだったのを今でも強烈に覚えています。20年以上たっても、まだ印象が薄れないのだから相当な存在感です。

リーパのことはすでに『ブラックアジア外伝2』に記しているので、今度はあのときのリーパを思いつつ、彼女をモデルにしてシンガポールの売春地帯ゲイランで起きていたいろんな出来事や当時の事件を結びつけて、ひとつの世界を構築してみたいなと思いました。

小説『スワイパー1999』でも、私が出会った実在の女性たちと、その当時にスワイパーで起きていた事件や悲哀をリンクさせて小説にしてまとめましたが、リーパをモデルにした小説も同じことをしてみようと思いました。

ただ、モデルはリーパですが、小説とリアルは別物のですので、名前はリーパではなく他の名前にしています。

彼女を取り巻く女性たちのことも覚えています。リーパと親しい女性もいましたが、リーパを毛嫌いしている女性もいました。そうした女性たちも登場します。

この小説は「ブラックアジア的小説」なので、リアルでドキュメンタリータッチな書き方をしているのですが、ラストはちょっとしたどんでん返しも用意しています。アンダーグラウンドの女ならではのどんでん返しを用意しましたので、楽しみにお待ち下さい。

5月中旬に発売される予定ですが「まだ鈴木傾城の小説を読んだことがない」という方は、これまで刊行されたいくつかの小説を読んで待っていただければと思います。鈴木傾城の小説は、今のところ、どれも裏の世界の女性を扱った小説ばかりです。

『小説 スワイパー1999』
『小説 スワイパー1999 カンボジアの闇にいた女たち(鈴木 傾城)』実在の女性たちと実際に起きた事件を組み合わせて作られた鈴木傾城のブラックアジア的小説。コミック『アジア売春街の少女たち スワイパー1999』の原作です。
カリマンタン島のデズリー
ブラックアジア的小説『カリマンタン島のデズリー: 売春と愛と疑心暗鬼(鈴木 傾城)』
『町田・青線地帯/グッドナイト・アイリーン(鈴木 傾城)』
『町田・青線地帯/グッドナイト・アイリーン(鈴木 傾城)』かつて町田の闇には異国の女たちがいた……。日本人を憎みきった台湾の娘、そして妖艶なタイの娘。町田の青線地帯には何があったのか?

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