今年はこうなるという予測は無意味。不意打ちの出来事がいつでもやってくるから

今年はこうなるという予測は無意味。不意打ちの出来事がいつでもやってくるから

2024年がどういう年になるのかはわからないが、現代の弱肉強食の資本主義を見ていると、ますます暮らしにくい社会になりつつあるというのが理解できるはずだ。2024年も「予測不能な出来事」が突発的に日本や世界を激震させる可能性も十分にある。予測は無意味だ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

2024年はアメリカの大統領選挙の年だが……

2024年がどういう年になるのか、さまざまな人が「予測」したり「予言」しているのだが、私自身は「世の中は不確実の連続」と思っているので、そういうのはどれも信じていない。

ここ数年を振り返っても、不確実性が世の中を激震させていたのは記憶に新しい。

2020年にパンデミックで世の中がズタズタになるとは2020年1月1日の時点でわからなかった。2021年はコロナ禍が収まるのか収まらないのかも誰もわからなかった。2022年にはロシアがウクライナに侵攻することもパレスチナとイスラエルで激しい衝突が再燃するとも誰もわからなかった。

とすれば、2024年も「何が起こるのか誰も見えていないし先のことは何もわからない」という事実は認めなければならない。

2024年は台湾でも、インドでも、ロシアでも、アメリカでも、選挙がある。台湾で親中派の政権が登場したらアジア情勢は変わるだろう。インドはモディ首相が再選し、ロシアではプーチン大統領が再選するだろうが、ここで何らかの波乱があったら、多くの予測が変化して世界は未知の領域に入るだろう。

そして、アメリカだ。

アメリカではバイデン大統領が再選できるのかどうか、誰もが懐疑的に思っている。再選を目指すバイデン大統領の最大の障壁は自らの年齢だ。2024年の再選時、バイデンは82歳になる。アメリカ史上、もっとも高齢の大統領である。

別に年齢が高くても絶大な政権担当能力があれば問題ないが、バイデン大統領にはそれほどの能力があるようにも見受けられない。2023年12月時点での世論調査では、バイデン大統領の支持率は40%台前半で、不支持率は50%を超えている。

一方で、バイデン大統領は、共和党の候補者であるドナルド・トランプ前大統領と再戦する可能性が高くなってきている。ドナルド・トランプの再登場があったとするならば、世界は再び混沌に見舞われるだろう。

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中国も国としてのピークは終わってしまった可能性

ウクライナ情勢もどのような落としどころがあるのか誰もわからない。ロシアも戦争で疲弊しているのだが、プーチン大統領は国内を独裁でコントロールしており、どれだけ経済疲弊しても政権は揺らぎそうにもない。

一方で、欧米はすでに「ウクライナ支援疲れ」となっており、早く戦争を終わらせたがっている。

中国は2023年に深刻な不動産不況が発生して、今もなお中国経済の大きなダメージとなっている。中国の不動産市場は、2020年まで急成長を続けてきた。しかし、2021年からは、中国政府が不動産バブルを抑制するために融資規制を強化したことで、市場が急速に冷え込んだ。

とくに大手不動産開発会社である中国恒大集団は巨額の負債を抱え、2022年9月にとうとう債務不履行(デフォルト)を宣言した。これは、中国の不動産市場における大きな転換点となった。

中国恒大集団のデフォルトがきっかけとなり、他の不動産開発会社にも不安が広がり、市場はさらに冷え込んだ。その結果、住宅価格は大幅に下落し、住宅ローン不履行率も高まった。

中国の不動産問題は、中国の経済成長に大きな打撃を与えている。不動産は、中国のGDPの約20%を占める重要な産業である。雇用にも大きな影響を与えている。こうした問題が2024年も、それ以降も延々と中国を苦しめることになる。

そして、中国はとうとう日本と同じ高齢化問題に苦しむことになる。中国の65歳以上の高齢者人口は2億5000万人を超え、総人口に占める割合は18.7%に達している。中国の経済的ピークはもう終わったと見るのが正しい。

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日本はもしかしたら中国よりも悲惨かもしれない

日本はどうか。日本はもしかしたら中国よりも悲惨かもしれない。少子高齢化はすでに止められないものとなっており、年金や医療、介護などの社会保障費は、高齢者人口の増加に伴って増大するばかりとなる。

年金や医療、介護などの給付を維持するために、政府はひたすら税率や保険料の引き上げをするしかない。

これを積極財政の転換で乗り切ったとしても、地域の人口が減少して地方から壊死していき、地域のコミュニティが崩壊、住民の孤立化、経済活動の停滞、移民増加による社会の混乱、イノベーションの枯渇などは大きな社会問題となる。

政治家は沈没する日本の諸問題に対応する能力はない。岸田政権も、当初は「令和の所得倍増」とか言って実質賃金を19か月連続でマイナスにしてしまう無能政権なのだが、この政権が終わったとしても日本の悪夢は終わるわけではない。

後に続く政治家もまた無能揃いだからだ。

野党も与党も、世襲のぼんくらや、アイドル崩れや、ハニトラにひっかかる人間や、大言壮語して実行が伴わない無能や、外国のカルト教団に選挙を手伝ってもらうような人間や、売国反日活動家や、国籍不明の人間や、寝てばかりの高齢者や、裏金づくりで忙しい人間が政治家になっている。

すでに「日本は詰んでいる」とも言われるようになっているのだが、そうであればなおさら政治家は粉骨砕身して日本を立ち直らせなければならないはずだ。ところが、日本の政治家はまるっきり能力も気概もなく、日本を漂流させているだけである。

結果として、弱肉強食の資本主義の中で一部の「強者」がマネーを総取りして、残りは無理やり貧困に突き落とされていく容赦ない格差社会が定着しようとしている。どうにも薄気味悪い社会になっているのが今の日本なのである。

果たして2024年には、こうした問題の解決の糸口が見つかるのだろうか。私はまったく期待していない。2024年が終わる頃はもう岸田政権ではなくなっていて、もっと質の悪い政権が日本を混乱させているかもしれない。

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「2024年はこうなる」という予測はまったく無意味

2024年がどういう年になるのかはわからないが、現代の弱肉強食の資本主義を見ていると、ますます暮らしにくい社会になりつつあるというのが理解できるはずだ。

年々、暮らしやすい社会になっていると思う人は少数派で、ほとんどの人は「より厳しい社会になっている」と感じている。2024年もその延長線にあって、社会の厳しさは増していくばかりとなるように見ている。

そして、2024年も今はまだ考えたこともないような「予測不能な出来事」が突発的に日本や世界を激震させる可能性も十分にある。

いくら「2024年はこうなる」という予測を立てても、世の中が予測できない大きな理由は「誰も考えもしなかった出来事が突如として起こる」からである。世の中を変える大きな「見えない変数」が存在しており、それが飛び出してきた瞬間にこれまでの予測はすべて無意味となる。

私が「今年はこうなる」みたいな予測は、それが何であれ、誰が言ったものであれ、1ミリも信じないのは、「予測不能な出来事」「見えない変数」がいつでも現れることを経験則として知っているからである。

2024年も、今時点ではまったく私たちが考えもしなかった出来事が不意に起きて、社会を動揺させていく。

予測不能な出来事がいつでも起こりうるということは、私たちが社会を生きていく上で、常にリスクを抱えていることと同義である。それについて備えることは不可能である。なぜなら、それは常に不意打ちとなるからだ。

私たちがしなければならないのは、起こった出来事に対して自分がどのようにうまく対処するかである。予測して当たるかどうか一喜一憂するよりも、不意打ちの出来事の中でいかにうまく生き延びるのか、そこにかかっている。

世界も激動があるだろう。日本にも激動があるだろう。また個人ひとりひとりにも、それぞれ想定していない何かが降りかかるだろう。いよいよ2024年が始まった。今後も注意して生きていきたいと思う。

病み、闇。
病み、闇。: ゾンビになる若者、ジョーカーになる若者

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